「花丸漫画」100号記念マンガ賞特別企画② 門沢実和先生編
―「花丸漫画」100号記念マンガ賞の特別企画として漫画家3名の方にインタビューしていきたいと思います。第2回目は電子コミックス①②巻発売中の「砕いて混ぜてやさしく食べて」の門沢実和先生になります。
まずは漫画家を目指そうと思われたきっかけを教えてください。
門沢実和:
子供の頃から絵を描くことは好きでしたが、漫画を描くためのスペースも、道具を集める財力も、物語を描きあげる根性も、ネタもありませんでした。ただ、なんとなくいつか漫画を描いてみたいなという気持ちだけを抱えたまま大人になり、パソコンで漫画を描いてみたところ、これなら描けそうだ!と漫画制作の楽しさに目覚めました。漫画家になろうと思ったのは、最小人数で作品を作り上げることができ、締め切りはあっても基本的には自分のペースで納得いくまでクオリティを追求できる環境に魅力を感じたからです。
―幼い頃から絵は描かれていたのですね。そこから漫画家を目指すにあたり、どのようなことをされたのでしょうか。
門沢実和:
好きな漫画の分析とマンガラボ!への投稿です。マンガラボ!は、特に4ページから作品を投稿できるので、オリジナル漫画を描いた経験がない初心者でも、気軽に投稿しやすい点がとても魅力的でした。
―ハードルが低く、気軽に投稿できるのが良かったのですね。マンガラボ!には「捨てる前に拾わせて」を投稿されました。投稿時に意識したポイントがありましたら教えてください。
門沢実和:
起承転結、見せゴマ、キャラの関係性などはざっくり考えた気がします。
―「捨てる前に拾わせて」を拝見するとキスシーンがサムネイルで使用され、読者の興味関心引きやすいものになっているなと勝手ながら感じました。そこで担当編集がつき、打ち合わせを重ね、花丸漫画で「砕いて混ぜてやさしく食べて」の連載が始まりました。立ち上げ時のお話も伺えればと思います。
門沢実和:
「砕いて混ぜてやさしく食べて」は、もともと短編の予定が、なにかの奇跡で長編連載になった作品です。作者は、当初「嫌味でスケベな雌お兄さん受けで翻弄される攻め視点」を描きたいという個人的な願望から企画を提案しましたが、担当さんには受け入れられず……何度も修正を重ねるうちに、性癖とは真逆の、非常にストイックな変わり者が主人公になっていましたが、結果、いい子が生まれて大切なキャラになったので修正を粘ってよかったなと思います。

―自分では考えつかなかったような新たなお話やキャラクターが担当編集との打ち合わせを通じて生まれる、まさに担当編集がいるひとつのメリットですね。他に担当編集から受けた印象深いアドバイスがあれば教えてください。
門沢実和:
担当さんに「伝わらなければ意味がない」と教えていただき、商業という場所で漫画を描くとはどういう事かを非常に考えさせられましたし、多分、今後も考え続けるだろうと思います。
―商業連載する上で大事なポイントだと思います。先程「砕いて混ぜてやさしく食べて」はもともと短編予定が長編連載になったと仰っておりました。変更に伴い苦労されたこともあるのではと思いますが、いかがでしょうか。
門沢実和:
1話のネームは既にできている状態で、長編にするのであれば、物語の着地点を見失わないためにテーマが欲しいということで、「恋愛が困難な主人公が恋するまでの物語」という設定にすることにしました。

最初は、主人公の詩季の過去の恋愛トラウマを原因にするつもりだったんですが、過去の一度のトラウマでそこまで心を閉ざすかな?と思いまして。それに、閉ざしたとしても5話くらいで終わってしまうな、とも考えたんです。そこで、「人に好かれすぎるせいで色々トラブルに巻き込まれる」という、ちょっと現実離れした設定に変えました。これなら詩季も度々事件に巻き込まれて長編にできるだろうし、現実にはないことだから読者さんもキャラも傷ついたって軽傷で済むかな、と思ったんです。ですが、軽症で済むなんて予想は大間違いでした!!というのも、最初は詩季の気持ちが全くわからず……何故ならモテて苦しんだ経験など作者は一度もないので。


ですが、話が進むにつれて、当事者の人間からすれば、軽めの搾取とか性被害なんてものはこの世にはないんだってわかってきて、認識の甘さに後悔しましたし、こんなに苦しむとは!?というくらい詩季と一緒に苦しみ、一緒に泣いてましたね。
―キャラクターと共に苦しみ、共に泣き…何と素敵な、グッとくるお話をありがとうございます。ここからは漫画家を目指す方も気になる漫画制作への取り組みのお話もできればと思います。
話作りを考えるにあたり、よくインプットが大事だと言われます。このあたりの考えについていかがでしょうか。
門沢実和:
全ての経験が無駄なく漫画の糧になっていると思います。ただ漫画的な絵をほぼ描かなかった期間があるので、ずっと描き続けていたら今もっと自由に描けたかも!とは思います。
―ちょっとした経験でも話に活かせたり、新キャラを考えるきっかけにもなったりしますよね。また、連載中にどんどん門沢先生の絵がブラッシュアップされていってすごい!と、編集部でも話題になったと伺いました。BL 作品に限らずではありますが、絵の見せ方も大事な要素だと思います。絵の部分で意識されたことを教えてください。
門沢実和:
絵は中身を見ていただくきっかけになる部分であり、読者さんへのサービスだと思っているので、極力資料を見て、丁寧に描くように気をつけています。
―なるほど。「資料を見て丁寧に描く」、基本的ではあるけれどとても大切な事ですよね。 もし門沢先生がBL作品を描く際に気をつけていることがあれば教えてください。
門沢実和:
作者の性癖を押し付けるのではなく読者さんに極力負担なく受け入れてもらえる形にして提供するのが大事だと思いますが、模索中です。あとはBL漫画は恋愛が主軸なのでヒューマンドラマにしすぎない事です。
―なるほど、貴重なアドバイスありがとうございました。最後に、門沢先生と同じく商業漫画家を目指している方への応援メッセージをお願いいたします!
門沢実和:
今は商業以外でもSNSなどで漫画を見てもらうことはできる時代だと思うので、描き手は自分がどこで咲きたいのか、誰に何を伝えたいのかを考えるのが大切だと思います。その上で、もし商業作家になりたいのであれば、まずは一本漫画を完成させて自分以外の人に感想を聞いて、素直にそれを受け入れ、ブラッシュアップするのがデビューへの近道だと思います。ただデビューをしてからが漫画家であり、本番なので!応援しております!
■「花丸漫画」100号記念マンガ賞
ボーズラブコミック電子雑誌「花丸漫画」は2025年11月に100号を刊行予定!
この記念すべき節目に、これからの花丸を一緒に盛り上げて下さる方を幅広く募集します!
胸キュン、エロス、青春、日常、ダーク、シリアス、ブロマンス...男同士の愛のカタチに限界はない!溢れる想いがつまった作品を心よりお待ちしております。
【応募概要】
形式:4Pから応募OK/過去作も投稿OK/ネームもOK/1人何作品でも応募OK/BLならテーマ不問!
応募資格:プロ・アマ・性別一切問わず。他社でデビュー経験のある方も大歓迎!
【賞】
〇大賞...1本以上確約
・賞金10万円
・担当編集GET
・「花丸漫画」連載権確約
・2025年11月1日先行配信予定「花丸漫画」vol.100に受賞作 or 新作を掲載!
※連載のタイミングは要相談。受賞後、連載作品は編集と打ち合わせの上決定。
〇期待賞
・賞金3万円
・担当編集GET!
【応募の詳細はこちら】
https://manga-lab.net/contest/312