輝林さんが語る、WEBTOONの和風ロマンスファンタジー作画のコツ
今回は、comicoで大人気連載中の和風ロマンスファンタジー『声なき贄姫と黒龍の結婚』の作画担当・輝林(きりん)さんにcomico編集部がインタビューしました!
和風ロマンスファンタジーに挑戦してみたいけどハードルが高そうに感じる...実際に連載されている漫画家さんの作画ノウハウを知りたい方はぜひご覧ください。
——本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします!
作画担当・輝林:
『声なき贄姫と黒龍の結婚』で作画を担当しております、輝林と申します!これまで描いてこなかった男女の恋愛作品、初めての和風ファンタジー作品を描いており、日々勉強中の身ですが、どうぞよろしくお願いいたします!

——これまで輝林さんはcomicoでオリジナルのBL作品を3作発表されて、その後、担当編集からのオファーで和風ロマンスファンタジーの作画を担当することになったそうですね。新しいチャレンジだったと思いますが、オファーがあったときの感想を教えてください。
作画担当・輝林:
はい。和ものは時代によって文化が大きく変わるので、勉強しがいがあるジャンルだと思っています。もともと和ものが好きでいずれ挑戦してみたいと思っていたので、素敵なご縁をいただけてとても嬉しかったです。
一方で、女性を描くのがあまり得意ではなく、BLばかりを描いてきた私が女性主人公を動かしていくことに少し不安もありました。ですが、だからこそ自分を成長させる絶好のチャンスだと思ったので、前向きにお話をお受けしました。
——主人公の彩芽をはじめ、どの女性キャラも魅力的に描かれているので、そんな不安があったというのは驚きです!輝林さんの努力の賜物だったのですね。
▼輝林さんのオリジナルBL作品はこちら!
左:https://www.comico.jp/comic/7058
中:https://www.comico.jp/comic/907
右:https://www.comico.jp/comic/8401
——1人で作る作品と原作付きの作品では、作り方にどのような違いがありますか?
作画担当・輝林:
1人で作る作品だと、自分の中で作品のイメージが全てできているので、担当さんと相談しながら読者さんに満足いただけるように作っていくのですが、原作付きの作品では、原作者さんのほうに作品のイメージがあるので、シナリオを見て初めて知る情報が結構あります。
これまでの話と関連する情報は以前のシナリオを読み返し、より理解を深めた上でネームを切ったり、今後に関わるような補足情報はメモにまとめて常に世界観のアップデートをしたり……。原作者さんのイメージを崩さないよう、このような作業を大切にしています。
——コマ割りや演出を考える上で、意識していることはありますか?
作画担当・輝林:
まずは原作者さんがイメージしているものを優先しつつ、読者さんが読む上で疲れない画面の流れになるよう心掛けています。例えば前のコマから次のセリフへの視線の繋ぎ方だったり、エフェクトで視線誘導をしたり、ですね。
——読みやすい画面構成は、そうした配慮を元に作られているのですね。
作画担当・輝林:
また、一番の見せ場は、WEBTOONならではの「長さを使った演出」にして、インパクトを出すようにしています。日々、他のWEBTOON作品を読んで、画面構成や演出を勉強中です!
——和風ロマンスファンタジーならではの和装や建築物などが繊細で美しい本作ですが、世界観を構築する上で映画やドラマ、漫画など、何か参考にされているものはありますか?
作画担当・輝林:
comicoで連載中の『白狼の妻』はもちろん、見開き漫画の作品も、和風ファンタジーの雰囲気づくりをはじめ、いろいろな部分で参考にさせていただいていますね。着物については毎回配色に苦労するので、資料になりそうなものがあればとにかく写真を撮り、参考ストックを溜めています。
——読者さんには、ぜひ本作の素敵な着物デザインにも注目して読んでもらいたいです。続いて、キャラクターデザインについてお伺いします。帝が初登場した第25話では、輝林さんの作家コメントに「(帝の)キャラデザめっちゃ楽しくてパターンめっちゃ出しました」とありましたが、キャラクターデザインがすぐに決まったキャラクター、逆に難航したキャラクターはいますか?
作画担当・輝林:
最初にキャラ設定資料をいただいたのですが、テキストからぱっと容姿のイメージが浮かんだのは茉莉でしたね(笑)。対して難航したのは朔で、特に彼の衣装は苦戦しました。和を取り入れながらも、神様である浮世離れした感じを出すのに一晩中迷走した記憶があります。
<悪女・茉莉のキャラクターデザイン>
<ヒーロー・朔のキャラクターデザイン>
——第1話の作家コメントで「茉莉の悪い顔を描くのは最高に楽しかったです」とおっしゃっていましたが、一読者として、私も茉莉の悪役顔のトリコです。また、朔が茉莉を蔑む表情と、彩芽に見せる甘い表情のギャップも好きなのですが、こうした表情のバリエーションを増やすためのコツはありますか?
作画担当・輝林:
表情は私の課題の一つなのですが、とにかく悪い顔は悪役令嬢もので勉強しています!色んなジャンルの作品を参考にするのももちろんいいかと思いますが、学びたいものが明確にある場合は、作品の方向性を絞っていますね。朔については冷酷王子の溺愛ものを読んだり、乙女ゲームが好きなので、キャラクターを攻略しながら学ばせてもらったりしています。
——本作の作画で、特に思い入れのある回はありますか?
作画担当・輝林:
どの回もそれぞれいろんな思い入れはありますが、やはり作品の顔になる第1話と第2話です。どの作品でもそうだと思いますが、最初の数話で続きを読むかどうかが決まると思うので、通常より時間をかけて作画しました。原作付きの作画は初めてなので、第2話の朔の初登場シーンなどは、どうすればシナリオ通りかっこよく黒龍様を降臨させることができるか、ネームで時間をかけたところなので特に思い入れがありますね。
——朔の初登場シーンは、黒龍の姿で雷鳴を轟かせながら降臨し、そして人の姿となり彩芽を抱えて現れる場面が印象的でした。こだわって作られたシーンとのことですが、こういったシーンを描く時に意識していることがあれば教えてください。
作画担当・輝林:
ただバンっと登場するだけでは登場するまでの緊張感がなく、インパクトもなくなってしまうので、「ため」を作って緩急を出すようにしています。第2話では稲妻が落ちて、茉莉が目を開けるといつのまにか人影が……それは朔だった! といった感じで、わかるまでに焦らす時間を入れています。
——他に、作画にあたってシナリオをふくらませたところや、輝林さんお気に入りの演出はありますか?
作画担当・輝林:
第20話のラスト、朔が彩芽を迎えにくるシーンがお気に入りです。彩芽の涙から雨の描写。羽が翻って、朔が彩芽を抱きしめている……このシーンはシナリオでも細かく描写されていましたが、美しく流れるような演出にできたのではないかと。シナリオで細かく描写されている部分は、大松さんがこだわりたいシーンだと思うので、そこはシナリオから崩し過ぎないよう構成しています。
——原作と作画がわかれているからこその、素敵な相乗効果を感じるお話ですね!ちなみに本作は週刊連載ですが、原稿作業の合間のリフレッシュはどのようなことをされているのでしょうか?
作画担当・輝林:
小休憩ではソーシャルゲームが多いですが、寝る前や休息日はがっつりアナログ原稿をインクで塗ったり、イケメンを攻略したりしています(笑)。
在宅で好きなことをやっているとはいえ、仕事ですので学校や会社のようにある程度時間を決めて、切り替えのメリハリをつけるようにしています。
——最後に、現在開催中の「comico和風ロマンスファンタジーWEBTOON作画コンテスト」(2025年5月31日(土)応募〆切)に応募される方へ応援メッセージをお願いします!
作画担当・輝林:
和風ロマンスファンタジーは馴染み深くもあり、その時代の文化を調べないと分からないことも多い、難しいジャンルだと思います。だからこそやりがいのあるジャンルだと思いますので、ぜひチャレンジしていただけたら嬉しいです!
——輝林さん、連載中でお忙しい中インタビューをお受けいただき、ありがとうございました!
●「comico和風ロマンスファンタジーWEBTOON作画コンテスト」開催中!
お題のシナリオを元に、あなたならではのキャラクターデザインでWEBTOON原稿を作ってください。着色は不要です。
入賞者は全員担当付き!
応募〆切は2025年5月31日(土)。ご応募お待ちしています!
https://note.com/comico_jp/n/n2019e01f1cd8
※記事原案提供:comico編集部