『国際コミック・マンガスクールコンテスト2022』受賞作品決定。受賞者には将来の仕事に向けてのオファーも多数。
例年、世界中の学生から多数のマンガ作品の応募が集まるコンテスト「国際コミック・マンガスクールコンテスト」が今年も開催され、7月1日に審査結果が発表されました。90の国・地域の1,317校の学校が参加登録を行い、前回以上の1,600点を超えるマンガ・イラスト作品の応募がありました。今回は計44名の受賞者・応募者に、協賛社から将来の仕事に向けてのオファーがあったとのことです。
今回は日本の大手出版社である集英社・KADOKAWA・講談社、大手電子書籍サイトのBookLive・LINEマンガ、クリエイターを支える製品やサービスを提供するワコム・pixiv、海外の出版社であるKi-oon・DUPUIS・レッドセブンがゴールドスポンサーとして協賛しています。
国内は勿論、海外のコミック・マンガ市場の広がりを受けて、才能ある学生とマッチングを図りたいと、各社がより意識を強めている傾向が感じられます。実際にマンナビにて調査したアンケートで、回答をいただいた漫画編集者の半数以上は海外漫画家に対して、将来的に発掘を考えていたり、発掘したいものの手段や言語の壁があると考えていました。
※漫画編集者実態調査アンケート2021年版-Q13.海外漫画家の発掘状況
このような才能ある漫画家志望者を国や言語の壁をこえて獲得しようという動きは、今後もますます強くなっていくと想定されます。
各受賞作品には審査員・協賛各社から、プロ目線での丁寧かつ温かいアドバイスが贈られました。コマごとの見せ方やストーリーの改善ポイントなど、受賞者はもちろん、アドバイスを見るだけでもご自身の作品に活かせる内容が詰め込まれています。
審査員コメント
池田真理子:集英社 マンガMee 副編集長
マンガmee マンガMeets
国際コミック・マンガスクールコンテストに作品を制作しご応募いただいた皆さんありがとうございました。皆さんの応募作品である「旅」がテーマの作品を読んでいるあいだ、宇宙、過去、人間の内面など2次元を超えた場所に連れていってもらい、イラスト・マンガの力を存分に味わうことができました。特に心に残った作品に共通するのは、やはりキャラクターの心情が強く伝わる作品でした。また着彩や構図、コマ割りも斬新なものが多くこんなアイディアもあるのかと驚かされることも多かったです。今後もまた皆さんの作品と出会えることを楽しみにしております。
土方 隆:KADOKAWA コミック第二統括部コミック第四編集部
兼 タテスクコミック部 編集委員
https://group.kadokawa.co.jp/
二度目の審査ですが、きれいにまとまった作品も多くなってきました。テーマは「旅」ということで、いまの世界、現実以外の世界、心の世界といろんな旅を楽しめました。説明的なマンガを否定はしませんが、やはり、ワクワクドキドキする物語としての「旅」はもっと見てみたいなと感じました。作画部門では、優れた描写力をもっている方もいらっしゃいましたが、原作テキストを超えてマンガとして表現していた作品のネーム力と発想は素晴らしいものでした。原作があるなら、セリフで説明するより、やはり、絵で表現したほうが、コミック化の甲斐があるというものですからね。前年同様ですが、漫画はネームが本質と思います。しかし、それを余すことなく伝えるためには、ビジュアルの押しも欠かすことのできない力です。多くの作品に触れることで世界中のマンガ熱を感じる日々でした。ありがとうございました!
鈴木一司:講談社第四事業局ヤングマガジン編集部編集長
https://www.kodansha.co.jp/
世界中からの多数の応募、またその内容の多様さに感銘を受けました。そして同時に、漫画にせよ、webtoonにせよ、バンド・デシネにせよ、本質的には絵で紡ぐ「物語」に変わりはないという感慨もありました。残念ながら受賞に至らなかった作品にも目を見張る内容のものは数多くありましたが、その中で一歩抜きんでていた作品はどれも、描かれていることが分かりやすく伝わってくるという一つの特徴があったように思います。分かりやすく物語の構成を練れているか、また作画の面でも起きている出来事がよく伝わるように描けているか、講評や他の投稿作品も参考にしながら、皆さんがより多くの人を楽しませる作品を描いて下さるのを心から期待しております。
鹿島 拓也:BookLive コンテンツ本部 コミック編集2部 部長
https://booklive.jp/
https://www.manga-nino.com/
前回からさらに多くの作品が集まり、選考にも熱が入りました。今回のテーマは「旅」ということでしたので、どんな「旅」の表現が見れるのか楽しみにしていましたが、応募者の皆様のアイデアは、想像をはるかに超えるものばかりで驚かされました。読者はほんの数ページ捲るだけで作品を評価し、気に入らなければ即読み飛ばしてしまうため、皆さんは、冒頭でどれだけ読者に興味を持たせるかを必死に考えネタを出し続ける必要があるのですが、1つのテーマで、これだけの引き出しがあることが証明されたので、受賞された方も、今回は残念ながら落選した方も、読者のために興味をひく場面を盛り込む努力を惜しまなければ、必ずプロに近づくと思います。これからも、表現できる場にどんどんチャレンジして、腕を磨いていってください。
伊勢 遥:LINEマンガ第1編集部編集長
https://manga.line.me/
1人の創造から生み出されてきた「マンガ」というエンターテインメントが、色々な考え方や文化が反映され、世界中で大きく拡がっていることに大変感銘を受けました。これからもこの素晴らしい取り組みが続いていくことを願うと共に、一夜にしてさまざまな言語で読まれ、その人の人生を変えてしまうような物語が生まれる。そんな未来を楽しみにしています。
矢野 幸治:ワコム クリエイティブビジネスユニット
JP ビジネス/JPAP マーケティング バイスプレジデント
https://www.wacom.com/ja-jp
今回も多くの国や地域から素晴らしい作品が集まり、楽しく拝見させていただきました。今年のコンテストの共通テーマは「旅」でしたが、国際色豊かで多種多様な世界観やコンセプトの個性的な作品が印象的でした。プロデビューを目指す学生も作品を応募されていると思いますが、このコンテストはプロのアーティストや出版社の方々からのアドバイスを得ることができるユニークなものです。貴重な機会を生かして、これからもより良い作品を制作していかれることを期待しています。ワコムも皆さんが作品制作に集中できる使いやすい道具をご提供し、皆さんの今後の活躍を応援しております。
池田 春菜:pixivコミック編集部編集長
https://www.pixiv.net/
今回の国際コミック・マンガスクールコンテストへたくさんのご応募がありましたこと、大変嬉しく思います。今回の応募作品はどれも熱量が高く、話したことのない皆様の人物像が目の前に浮かんでくるようでした。日本の漫画のルーツと呼ばれる「鳥獣人物戯画」が生まれてから800年余り。 そしてインターネットの普及から早30年ほど経った現代では、世界中のどこからでも漫画を読むことも作ることも、発信することもできるようになりました。そうして、このように文化も言葉も違う僕らが、イラストと文字を通じて同じ気持ちを共有できることは何より素晴らしい営みだと思います。たまには休んで好きな漫画を読んで、描きたいものを描き続けられることを心より願っています。
Kim Bedenne:Ki-oon東京オフィス代表
公式サイト Twitter
皆さんこんにちは、ご応募ありがとうございました。今年もたくさんの国から応募があり、感激しました。Ki-oonは 漫画が専門の会社なので、特に漫画の作品に注目にしていたのですが、どのジャンルを見ていても面白かったです。この2年間、コロナや色々なことがありましたが、この困難な時期に漫画やコミックが非常に求められていて、皆さんも前に進もうとする気持ちが伝わってきました。このように漫画やコミックは今まで以上に必要とされている芸術なのです。今回は、モノローグやナレーションを駆使した作品を通して自分自身を見つめ直した人が多かったように感じました。それ自体は悪いことではないのですが、漫画に関して言えば読者が主人公に感情移入ができるようなものというのは会話シーンのセリフです。例えば印象的な名言を考える、そういったことが作品評価の分かれ目になるのです。皆さん、おめでとうございます!来年もよろしくお願いします。
李泫錫(イ・ヒョンソク):レッドセブン代表取締役
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この度は意欲溢れる多くの作品に出会うことができ、とても嬉しく思います。コミック部門のある出品作品では、絵の表現や込められたメッセージから、早くも才能を感じられる作品もあり、作品の中では既にプロのような作品もありました。将来有望な新鋭作家の短編に出会えたことをとても光栄に思います。プロになる前の学生たちが持てるもっとも大きな権利や利点は「自由」です。プロは既に作品を通して大衆と出会い、大衆が媒体に望む欲望にある程度答えなければならない義務があります。よって、本人が表現したいものを素直に描くことに躊躇してしまいます。しかし学生はこのような点からは自由です。そんな学生の皆さんにはさらに胆大な漫画というメディアで、新たなやり方で自分の色を表現して欲しいです。出品作全体の「完成度」にこだわるより、大胆に手持ちを見せる勇気ある作品がもっと存在してもよかったのではないかと思います。続いて共に世界を動かすトップレベルの作品を作っていく勇気ある挑戦者たちと出会えること心からお待ちしております。ありがとうございます。
スカウトまで至らなくても見どころのある受賞作品には、協賛社や審査員のプロフェッショナルから、具体的なアドバイスを受けられる機会もあります。参加せずともアドバイスを見るだけでも腕前があがりそうです。
学校:Victory Christian International School
ペンネーム:kanins(Philippines)
作品名:PAGPAG(英語)
受賞コメント:
こんにちは!CLIP STUDIO PAINTの皆様のご厚意で開催された今年の国際コミック・マンガスクールコンテストの総合グランプリに選ばれたことを大変光栄に思っています。
私の作品『PAGPAG』は、日常生活にどう意義を見出すかということをテーマにしています。今年のテーマは「旅」なので、読者が共感できることを願って、そして願わくば琴線に触れればと思い、人生という旅について描きたいと思いました。
正直なところ、私を手伝って、支えつづけてくれた友人や家族の支えが無ければ、作品を応募できる形にして、入賞することはできなかったと思います。ありがとうね!そんな友人や家族には私が描いた作品に何かを感じてくれて、支えてくれたことに心の奥から感謝しています。
繰り返しになりますが、CSPの皆様、そして審査員の皆様、コンテストを開催し、グランプリに選んでいただき、ありがとうございます!
協賛各社からの作品への感想(開く)
漫画として楽しめる要素が高いレベルで詰まっていました!フィリピンの風土を感じさせる民俗学的な要素で読者の興味を引きつつ、出会い、課題、口論…と、必要な要素をしっかり提示できていました。導入だけで「この作品、おもしろい!」と思わせられています。その先も読みやすく工夫されており、構成もしっかりしていた印象です。また、キャラクターの表情が魅力的で、特に女の子がかわいかったです!
講談社
フィリピンの文化的背景を元に「人生の意味」を問うた本作。生きているが“最後にはどうせ死ぬから無意味“と決めつける男と、死者でありながら“先を目指すために意味を求める”少女の狭間で巻き起こる交流を日常の範疇をでない中で描き切り、読んだ者に共感を生む構成と創造性を讃えての贈賞となります。
BookLive
人生という壮大な“旅”というテーマがしっかりと伝わってきました。色づかいやコマの使い方が独特で飽きずに読めました。
ワコム
作品が読みやすくて、台詞に説得力があります。テーマや設定が独創的で、哲学的な内容でありながら、わかりやすさを保っています。作画は目に優しく、色のコントラストが適切に使われています。最後の二重のひねりは、面白く、感動的でした。小さなユーモアのタッチが、深いテーマにもかかわらず、物語を軽やかにしています。主人公が物語の早い段階で人間的な面を見せたり、死ぬ前の少女についてもう少し知ることができれば、このコンビはさらに面白くなったかもしれなく、キャラクターへの愛着がより深まったでしょう。
Ki-oon
起承転結がしっかりあり、読み応えがありました。印象的なシーンの見せ方も上手で、記憶に残りました。心情もきちんと表現されており、出てくるキャラクターにも愛着がわいて良かったです。冒頭部分(1~2P)でもう少し引き込まれるような作りにすれば、尚良いと思いました。
ファンギルド
深い悲しみと思いやりを感じる素敵な作品でした。また、過去から現在に振り返っていく形式のストーリーテリングにも引き込まれる手法で素晴らしいです。主人公の男性がもっと主人公とわかるように、1ページ目などから、アップやぶち抜きの立ち絵があるとさらに没入感を増やせて素敵になると思います。最初、主人公が女の子かと思いました!キャラクターの出し方が変わると更に魅力が増えると思います!
まんがたり
設定の面白さ、キャラクターの魅力が強みだと思います。「人生に意味がない」と伝えるシーンの前に幽霊を一度受け入れているようなやりとりがあるため、急に突き放したかのような違和感がありました。最初からかたくなに人生に意味なんてないと拒絶し、その理由が妻の死だったと判明する流れの方がその後の男性の心情変化もクライマックスに向けてより効果的に演出できるのではと思います。(日本の感覚かもしれないですが)人物のカラーがグレーや紫で描かれているとそちらが幽霊や人外のように見えてしまうので、ミスリードさせたいなど何か意図している場合は、演出の部分をもう少し工夫してみると活かされます。
株式会社アムタス
とても美しい作品でした。色使いが本当に上手くて、明るく、暖かく描かれている少女が死んでいて、灰色で生気のない男が生きているというサプライズも独自性があって良かったです。ストーリーも二転三転して、伝えたいテーマに合っていました。素晴らしい!
Tapas Media
学校:Chungkang College of Cultural Industries
ペンネーム:JAY HuH / 제이 허(Korea South)
作品名:FREESTYLE LIFE(韓国語)
受賞コメント:
こんにちは、JAY HuHです。
まず私の作品をコミック部門賞に選んでくださった審査員の皆様に心より感謝申し上げます。マンガコンテストに挑戦するのは初めてですが、最善を尽くしました。
FREESTYLE LIFEは、私が高校時代に考えた漫画を22歳の大学生になった今、リニューアルして応募し、受賞したわけですが、私には本当に意味深いことです。各シーンごとに興味を引くために、どのように表現すれば良いか悩みながら作業しました。
また、この漫画を読んで本当に私がLAに渡り、交換学生としてダンスを習ってきたかを聞いてくる方がいますが、実は一度もアメリカに行ったことがありません。実は、この作品は私のアメリカ旅行への念願を描いた漫画ですが、いただいた賞金は私のアメリカ旅行計画に大切に使わせていただきます。
おかげさまで世界に羽ばたきたい私の夢に一歩踏み出すことができて本当に感謝しています。今度はもっと面白くて魅力的な漫画を披露したいと思います。
株式会社アムタスから、作品に対する詳しいアドバイスをいただきました。
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協賛各社からの作品への感想(開く)
新しい世界に出会った喜びが色から、動きから溢れ出しています。後半の山場の展開がやや弱く、もっと先がよみたくかんじました。ストーリー全体の見せ場について、構成を練ってみましょう
集英社
パキッとした鮮やかなカラーリングとインパクトのある絵が素晴らしいですね!ダンスという題材とも上手くマッチしていて、最後まで楽しく読めました。ダンスにかける青春の味わいもよかったのですが、展開が読めてしまったのが残念でした…!単なるいい話、で終わらないように、「裏切り」や「カタルシス」を最後に持ってくるなど、メリハリを意識するともっとよくなりそうです!
講談社
描き込み、画面から熱量に驚きました!また、どのキャラクターも活きいきしていて読んでいて楽しい気持ちになれました。
LINEマンガ
夢のあるお話ですね。カラフルな色づかいと躍動感に見ているだけでも楽しめました。
ワコム
とても前向きになれる作品で、ダンスの表現も素敵で素晴らしい作品でした。表情が生き生きしていて素敵ですね。ラストがちょっと弱い気がしました。いじめてきた人たちにきちんとダンスで派手にやり返し、スカッとするシーンをもっと強く入れてもらえたら更に没入感を深めることができると思います。個人的にはとても好きなラストシーンなのですが、もともとのきっかけであるいじめてきた人たちに対しての何かしらのアンサー(見返すのか、もうそんなこと気にしないということなど)がわかりやすく表現されるとさらに素敵だと思いました。
まんがたり
画面構成のオリジナリティや、描写力があります。ストーリーについてはダンスチームの仲間と出会い、いじめっ子をダンスの実力で見返すといったシーンがこのお話の盛り上がりになると思うのですが、そこが描かれずに終わってしまったのがもったいないです。キャラクターの成長や、ダンスと出会ったことで変わった部分、挫折などキャラを深掘り出来る要素はたくさんあるのですが、逆に要素が多すぎたために描き切れなかったような印象があります。登場人物や、クライマックスに置くところの整理をしてエピソードを考えてみることが大事です。
株式会社アムタス
学校:台南應用科技大學
ペンネーム:theYOUNG(Taiwan)
作品名:京那巴魯 - 尊貴的死者之地(中国語)
受賞コメント:
このコンテストに応募する前に、マンガ創作の道を諦めようと考えたことがありましたが、周りの人からの応援と父のアドバイスを受けて、創作を継続することができました。今回の応募のきっかけは先生からの紹介です。
今回のコンテストは、私の今までの人生において、一番印象に残る体験です。私にとっては、はじめての国際的なコンテストで、一つの作品を完成させるのも、もちろん受賞するのも初めてです。最初は自分が受賞するなんて思ってもみなかった、もちろん、友達もそうでした。国際的なコンテストでもあるので、自分より優秀な応募者はたくさんいるはずです。
私は大学四年間で学んだものを、今回の作品制作に活かしました。創作時に一番印象に残ったページは、見開きの、山頂に登ったシーンのページです。主人公がキナバル山に登頂したときの画面であり、最後まで頑張れば報われるという象徴でもあります。
今回のコンテストは私に絵描きの道に進む力を与えてくれました。これからも漫画家とイラストレーターの道を歩んでいきたいと思います。現在は創作チームを結成し、順調であれば、小さな出版社も作りたいと思います。プロの創作者を目指し、創作の道に進んでいきます。
LINEマンガから、作品に対する詳しいアドバイスをいただきました。
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山の魅力、魔力の伝え方に引き込まれました。なのでクライマックスはショックでしたが、それもマンガの技量が高いことによります。主人公の背景やキャラクターを伝えられるとさらに読者は興味を覚え忘れられないドラマとなったでしょう。
集英社
まず、この骨太なテーマに取り組んだこと、そしてそれを説教臭くなく漫画の形に落とし込めていることに脱帽です。リアリティを損なわない高い画力や、読者の予想を上回る巧みな構成も高評価でした!物語の最後でちゃんと盛り上がってくれたり、実際の事件に物語という形で救いをもたらしている点も好感を持ちました。
講談社
二度と戻らない「生」を手放したことに気づかないまま存在の尊さを寄与してくれる聖地キナバル山――短いページ数の中で起こる主人公男性の心情描写が良い意味でこたえました。 生きるということは、山をよじ登るようなものである。つまり、登れば登るほど、断崖絶壁は一層険しくなるが光もあるこの喪失感を「生」ではなく「死」をきっかけに魅せた構成が光っていました。
BookLive
作画レベルは投稿作の中でトップクラスかと思います。登山の苦しさと主人公の人生を重ねる演出は、一歩一歩の重さを感じさせる臨場感がありました。遭難で死んでいたというエンディングもうまく繋がってると思います。
LINEマンガ
読み応えのあるストーリーでした。きちんと文字まで読ませるよう作り込まれていると感じました。
ワコム
絵に個性や力、迫力があり印象に残りました。特に地震が起き、山から落ちるシーンは臨場感があり良かったです。主人公が情景を説明するセリフが多く感じたので、もう少し絵やモノローグで補足できればと思いました。
ファンギルド
マレーシアのキナバル山の登山中に地震が発生した2015年の事故をモチーフにした物語。そこにいたであろう人物に焦点があたっており、その登山を志す人物の心情がうまく描かれています。イラストも見やすいのですがやや表情がかたく感じますので、周りの人物との対比などをうまく使うとよいと思います。死後の世界を表現するのであれば物質や場所など現世との境や超えていった表現などがあってもよい気がします。
ソルマーレ編集部(NTTソルマーレ株式会社)
絵もとてもうまく、ストーリーも読ませる作品でした。特に個人的にはおもしろかったのは、過去から今までの主人公の軌跡をめぐりながらも、動機、性格、そして山に対してのことを知れる構成は、このページ数で表現するのはとてもおもしろかったです。ラストのメッセージもよかったです。死んでしまっていることを見つけるまでがはやかったので、そこに時間を使ってもいいかなと。そうすると更に没入感が増えるかなと!
まんがたり
主人公の人生を読者も一緒に感じていける構成になっているのがこの作品の一番の魅力だと思います。クライマックスに向けてしっかりストーリーの盛り上がりや見せ場を描けているため、読み切りとしてよくまとまっていると思います。
株式会社アムタス
とても説得力があり、胸が熱くなりました。短い時間で主人公のブライアンのことを理解し、応援せずにはいられなくなりました!物語の展開がとても良かったです。
Tapas Media
学校:大葉大學
ペンネーム:林煜雯_Gwen(Taiwan)
作品名:太陽和雨(中国語)
受賞コメント:
まず、審査員からの評価ありがとうございます。たくさんの優秀な作品の中から選ばれ、賞をいただき、本当に感謝しています。
旅のテーマの表現は、自身の人生経験から生まれたものです。台湾の要素も加えて、自分にとっては個人的な感情がたくさん含まれる漫画です。また、審査員からの貴重なアドバイスをたくさん得られたことで、まだまだ改善できることがたくさんあると分かりました。これからは引き続き能力を向上させ、プロの創作者を目指していきたいと思います。審査員からのアドバイスを感謝いたします。
受賞した事がゴールではありません、将来、人の心を癒す漫画を作りたいです。この目標に向けて、頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
レッドセブンから、作品に対する詳しいアドバイスをいただきました。
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協賛各社からの作品への感想(開く)
光や天気の効果が素晴らしく、登場人物たちが生きているような効果をもたらしていました。登場人物の表情をもっと大きく、画面から読者に訴えかけて強い印象を残すような絵でかいてみるとさらに印象が強まったとおもいます。
集英社
これも縦は意識しつつもまだまだがんばってほしいところです。絵柄もカワイイところもありながら、全般的に質が一定ではないのが残念です。窓を雨が打っているところとかかなり大ゴマですが、もっと縦を時間として演出できる手法でドラマチックにできたのではないでしょうか。
KADOKAWA
非常に読みやすく、気持ちのいい作品でした!コマ運びのテンポなどの画面構成が上手です。ウェブトゥーンの表現を使いこなしていますね。ストレートなお話ですが、しっかりとした読み応えがありました。画力も高く、キャラクター二人にも好感が持てます。全体的なレベルの高さを感じました。
講談社
webtoonという媒体の特性を活かし、変化する表情や情景を読者に伝える構成が魅力的でした。惜しまれるは物語の目的を序盤に明示することで少女がもっと「祖母とこうしたかったという後悔・希望」のカタルシスに繋がったと思われます。ただ、今までに亡くした大切な人のことを思い出せるような作品であることに疑いはありません。
BookLive
コミカルさとエモーショナルさの塩梅がすばらしく、今は会えないおばあちゃんをもう一度会いたいと思うヒロインの気持ちが伝わりました。ただ一方で予想の範囲内に落ち着いてしまっているので、もう一捻り加えるチャレンジを!
LINEマンガ
切なくも心温まるストーリーでした。空白の使い方が上手で読みやすくも印象に残る作品でした。
ワコム
少女と祖母の会話は、真実味を帯びた瞬間がよく書かれています。表情もよく描かれていて、まるで二人と一緒に電車の中にいるような感覚になります。照明の使い方も雰囲気が出ていて良いです。しっかりした演出があるおかげで、結末は感動的です。絵は、特に人体比率と色調の面でまだ改善することがありますが、作者にとっては良いスタートの作品だと思います。
Ki-oon
とにかく安定的で、コマも読みやすく色の使いもすごくうまかったです。ただ、もう少し大胆なコマ使いとかの演出面での挑戦があってもよかった気がします。
レッドセブン
セリフがテンポよく、サクサク読めました。また、絵やストーリー、伝えたいことが一貫している点が高評価でした。もう少しだけ、読者さんを裏切る展開があるとさらに面白くなると思います。
ファンギルド
少女とおばあさんの記憶をたどる旅。出会いと別れそして成長、優しい記憶。窓から見える天気の移り変わりと時間の流れがうまく表現できております。また、登場キャラの表情と色合いから優しさも伝わってきてホッと和みました。ラストの一言はとても共感できる作品になっていると思います。
ソルマーレ編集部(NTTソルマーレ株式会社)
とっても素敵な絵でした!絵が素敵なので、もっともっと大きなサイズで大胆な構図を増やすと更に読み応えを増やせて良いと思います。ストーリーもいいので、構図を更に引き込めるための他の人が使っている構図を研究したりして、ぜひ表現を増やしてみてください。webtoonの使える構図が増えること、アップと俯瞰を増やせることが、読み応えを増やせることにつながると思います。
まんがたり
シチュエーションをうまく使っての演出が上手です。電車から見える景色や、過去の思い出と今の旅行の景色をリンクさせて、おばあちゃんとの思い出をより鮮やかに描けています。 全体的に書き込みが少ないので、どこにいるのかを説明する背景や、夏休みであれば電車に他の旅行客のモブなどを書いてシチュエーションをもっと演出できるはずです。
株式会社アムタス
短いながら優しい作風の作品ですね!おばあちゃんが「一番美しい景色はあなたよ」と言った時のXinXinの表情が見たいと思いました。もう少し大人にならないと言葉の意味が分からないのか、それともその瞬間に考え方と態度が変わったのか気になりました。
Tapas Media
学校:永平高中
ペンネーム:方方(Taiwan)
作品名:THE JOURNEY(英語)
受賞コメント:
今回部門賞をいただき、とても光栄です。
コンテストに参加する前に、私はイラストをメインに創作していました。応募の目的は、自分に勉強のチャンスを与えることと、自分の漫画作品を作ることです。
受賞の連絡をいただいたときは本当に驚きました。審査員からの評価、本当にありがとうございます。私は旅のテーマを考えたときに、成長と生命が深い課題だと感じました。高校生である私、家族との関係が変わりつつあると感じましたので、家の猫ちゃんをモデルに、主人公をイメージしました。猫ちゃんの旅を通して、自分と絵の中のキャラクターが少しずつ成長できたらと期待しています。
創作過程のストーリー設定、言語とコマ割りは私にとって、新しい挑戦です。家族と友人たちからの応援とアドバイスに感謝しています。
今回、貴重な体験ができてとても嬉しいです。今後の自分も、好きな方向に進めるよう願っています。
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絵柄もある意味完成されてますし、かわいらしいですね。話もほぼ理解できます。特に目新しい話ではないですが、ハートフルではあります。
KADOKAWA
非常にかわいらしい作品でした!子供向けアニメのような明るくあたたかい絵柄が見ていて楽しいですね。全体的な流れは緩急が意識されていて好印象。ただ、コマが多すぎて読みづらい箇所がいくつかありました。また、終わり方が簡潔だったのが少し寂しく、満足感を削いでいるように思いました。
講談社
キャラクター、色合、絵のタッチ、全てが可愛いです!不思議な猫のちょっと切なく、でもハッピーな旅に心温まりました。
ワコム
物語に何か新しいものはまったくないはずなのに、絵から常に感じる暖かさが老若男女問わずほっこりできる作品だと思わせてくれました。主人公のマイペースさとどこか少し不思議な物語で、誰もが嫌な気持ちにならないある種の完成形。センスがあることは間違いないため贈賞となりました。
BookLive
ベルギーの有名マンガ『Tintin』を読んでいるような気分になる温かい絵柄でした。猫の初めての旅が癒し系作品になれましたが、今度はもっと内容を含めた作品が期待できればと思います。
LINEマンガ
学生とは思えない完成形の表現力。温もりに満ちている配色もすごく良かった。
レッドセブン
ストーリーはオーソドックスな印象ですが仔猫ちゃんがとにかくかわいく健気です。色使いも温かみを感じますし、仔猫とのかかわりによって周りにもその温かさが広がる感じがします。イラストからも優しさが伝わってきます。
ソルマーレ編集部(NTTソルマーレ株式会社)
まず絵がすごく素敵でした。その上でストーリーも読み応えがあってとても素敵です。電車でおばあちゃんのおにぎりを上げるシーンなどとてもよかったですね。このシーンで、過去のおばあちゃんとのエピソードをもっと入れ込んで上げるなどすると、冒頭からおばあちゃんと主人公の子猫の関係性が更に深めて知れることになり、共感性が増すかもしれません。素晴らしかったです。
まんがたり
学校:成都大学
ペンネーム:Niello5(China)
作品名:旅程(中国語)
受賞コメント:
まずはコンテストの審査員に感謝を申し上げます。たくさんの作品から選ばれたことは、本当に光栄です。
今回はCLIP STUDIO PAINTのメルマガから、コンテストの情報を知りました。将来は漫画家になりたいので、自分を鍛えるため、今回のコンテストに応募しました。私は初めてコンテストに参加したので、受賞できるのは本当に意外でした。各審査員からプロ目線のアドバイスをいただけるのも、本当に滅多にない機会です。主催者の工夫に感謝します。
漫画を描く上で、私が一番悩んだ部分はコマ割りです。物語を分かりやすく伝えると同時に、全体の画面の構成と美しさを実現することは、私が目標とするところです。
まだまだ未熟で、改善する点はたくさんあると思います。これからの創作の道で、もっと上達し、自分を超えたいです。
協賛各社からの作品への感想(開く)
マンガらしい洗練された絵柄、構図で非常に読みやすかったです。オリジナリティのあるキャラクター造形や、見せ場づくりを意識してみましょう。
集英社
あえて、魔術師の性別や年齢は原作では記述ないですかね? まあそれはいいとして、よく消化して、きちんと漫画に仕上がっています。
KADOKAWA
非常に丁寧に描かれた作品でした!読みやすさ、見やすさはトップレベルです。読者を意識した構図や、ほどよい密度感を実現できています。主線が細く、背景と馴染んでしまっている部分があるので、太くするとかトーンにこだわるとかでさらに見やすい絵を目指してみてほしいです。また、自分ならではというオリジナリティが絵柄や構図で出せるとよりレベルが上がるのかなと思います。
講談社
魅力的な絵でキャラクターに熱を感じ、どこかの時代・世界で実存した感覚すら覚えました。コマそれぞれの力の入った絵でインパクトを読者に与え、演出もしっかり考えられている印象です。人間ドラマを描くセンスが間違いなくあるのでそれを活かせる原作との出会いを期待し贈賞となります。
BookLive
コマのメリハリ演出がとても良かったですし、セリフも長くないいいテンポだったと思います。オチも綺麗に終わりましたし構成力のある作品になれたと思います。
LINEマンガ
作画、コマ割とマンガの構成が上手でスルスルと読み進められました。キャラクターの個性もきちんと出ていて、続きが読みたくなりました!
ワコム
導入部を大きなフレームで描くことで、主人公の恐怖や苦しみをすべて表情に出すことができ、メッセージがよく伝わってきます。マジシャンというのは、やはり簡単な仕事ではありません。見開き2ページで、師匠が弟子に魔法をかける様子を大きなコマで表現しているのも巧いです。線画はまだ未熟だが、登場人物の表情に工夫が感じられます。コマが少し小さすぎるので、最大で3列くらいにしたほうが、ページがすっきりしていいと思います。
Ki-oon
基本デッサンが良く、人物の演技を消化できる程度でした。線が柔らかく、良かったです。
レッドセブン
キャラクターの複雑な心情をうまく表情で表現されており、高評価でした。コマの見せ方も効果的で、世界観に入り込みました。
ファンギルド
少年の表情の描き方がよいと思います。この表情の変化によって少年との絆の深まり、成長がうまく表現できていると思います。キャラの口や目のアップなどのコマをの使用がほとんどなかったので、アップを使用し話の緩急をつけたりするとよいと思います。
ソルマーレ編集部(NTTソルマーレ株式会社)
絵が綺麗で、伝えたいことが分かりやすいです。
Planeta Cómic
非常に魅力的な絵柄でした。表情、背景、建物や小物、構図など含めて非常に素晴らしいと思います。あとは、更に大きな顔のアップのコマや、大ゴマを使って「コマのメリハリ」をつけると良いと思います。今は細かいコマが多すぎるので、読者の「目を留める大ゴマ」があると、読者のテンポが生まれて良いと思いました。大コマで感情を爆発させたものをみたいです。
まんがたり
魔法使いのバックボーンや回想を随所に描くことで、少年の言葉が魔法使いの心を動かせたという流れが上手く演出できています。アクションシーンでコマの中に絵がすべて入っていると窮屈に見えてしまうので、コマから絵をぶちぬきにするなどメリハリを意識してください。また、モノローグの文章はシナリオ通りじゃなくとも、絵にしてわかる部分も多々あるので、セリフの整理をすると見やすい画面作りになると思います。
株式会社アムタス
表現が力強く、空間と動きを上手く活用しています。最初と最後の演出は特にインパクトがあり、魔道士の回想はどれも魅力的でクリエイティブでした。
Tapas Media
学校:学校法人角川ドワンゴ学園 S高等学校
ペンネーム:KIKA(Japan)
受賞コメント:
このたびは、国際コミックマンガスクールコンテストのイラスト部門にて、グランプリをいただき誠にありがとうございます。
この作品は私にとって新たな表現に挑戦した作品です。「旅」というテーマをいただいた時、どう表現しようかとても迷いました。このご時世では国外、国内の移動ですら憚られます。しかし、目を瞑って見知らぬ土地に思いを馳せ、想像すれば、たとえ部屋の中であろうと旅に行けるのではないかと思い、人はきっとどこへだって行けるという想いを、この作品に込めました。
各社様の方々にも身に余る評価を受け、嬉しい限りです。今後も皆さまの心に響くような作品を作れるように、頑張っていきたいと思います。この度は本当にありがとうございます。
協賛各社からの作品への感想(開く)
横たわって飛行機の模型から外界を想像する表情にリアルさがあります。旅支度も描かれていますが、画面が暗く気づきにくいのが勿体なかった。室内は表現しつつも様子はもう少し伝わる彩色にしてもよかったのではないでしょうか?
集英社
星形のライトの煌々と輝く画面上部と他の箇所の暗部の対比が面白く描けている。登場人物が夢を見ているのか、あるいは飛行機の模型を手に想像をしているのか、そういった点が曖昧にされている点も物語の広がりを感じられる工夫を感じた。ただ、全体として暗すぎるため細部の確認がしづらく、明度を上げもっと小物に拘るなどの改良の余地はあるのかなと感じた。
KADOKAWA(スニーカー文庫編集部)
・おそらく絵がとてもうまいのだろう。キャラは特に可愛い。だがイラスト1枚をパッと見たとき1番見せたい部分は星の電灯というのでは感情が見えてきにくくノイズになると感じる
・柔らかいテイストながら、ダイナミックな構図に惹かれました。
・淡い光源と少女の組み合わせが良かった。女の子可愛い
・外から差し込む自然光と温かみのある光の、丁度混ざり合う色加減がとても綺麗だと思いました。
・これ一枚でストーリーが見える構図が良い。
BookLive
暖かい光に包まれて、幸せそうに眠る女の子の表情が素敵だなと思いました。南の島への旅行を夢見てるのか、旅立って帰ってきた後なのか小さな部屋に詰まったストーリーが気になりました。
LINEマンガ
キャラクターをクローズアップし、細部まで描き込んだ数少ないイラストレーションです。装飾品や小物から感じられるキャラクターの特徴によって、少女がとても愛おしく思えます。星形のランプの光は柔らかく夢幻的で、見る者を一緒に夢を見るよう誘ってくれます。ただ、輝度がやや低すぎ暗い為、細かい部分を十分に味わうには少し努力が必要で、残念です。もっと強い光で特定の要素を強調し、画像の背後にある物語(例えば少女の顔、彼女が手に持っている飛行機など)をよりよく強調できるとよかったと思います。
Ki-oon
光をうまく使って作品の要所要所に非常にうまく読者を誘導していますが、さりげないながら仰々しくなく、とても効果的でした。構図と光源が作品上部の美しい照明から窓から差し込む光に目を導き、ゆっくりと昼寝、または休憩している主役の少女に辿り着く形になっています。表情と照明が柔らかな雰囲気を醸し出し、構図によってとても身近に感じられて、この心地よい瞬間に立ち会っているようでした。画面の奥行きから作者は遠近法をよく理解しているとも感じました。
Tapas Media