ジャンプルーキーから連載へ!笠間三四郎先生のデビューの裏側
従来は出版社に直接電話をかけて作品を編集者に見てもらう持ち込みが一般的でした。ただ近年はコロナ禍の影響やより持ち込みをしやすい環境を整えるべく、漫画を投稿できる漫画家志望者向けのサイトを提供したり出張編集部へ出展頻度高める出版社もおられます。今回はそれらをすべて体験された笠間三四郎先生に漫画家になろうとしたキッカケやそれぞれの思い出、デビューしたからこそ感じる漫画家志望者におすすめの方法についてお話を伺いました。
笠間三四郎
月刊少年マガジンの新人賞受賞により漫画家デビュー。出張編集部や漫画投稿サイトを活用、読切などを通じてジャンプ+にて『デッドプール:SAMURAI』を連載。現在はマガポケにて『脳筋王子、庶民になる。』を連載中。作画担当の植杉光先生とは長年のご友人。
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-出張編集部は効率的に持ち込みができて魅力的
インタビュアー:
本日は2019年10月からジャンプ+で『デッドプール:SAMURAI』を連載(既刊2巻、完結済)、2022年9月からマガポケにて『脳筋王子、庶民になる。』を植杉光先生と一緒に連載しております笠間三四郎先生に、デビュー前後のお話や持ち込み、漫画投稿サイト、出張編集部のお話などを伺っていきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします!
笠間三四郎:
よろしくお願いいたします!
インタビュアー:
まずは漫画家になろうとしたキッカケから伺いたいと思います。
笠間三四郎:
元々漫画が好きというのもあり、最初は漫画編集者になりたいなと思っていたんですよね。それに加えて在学中、幸運にも当時とある漫画雑誌の編集長だった方にお話を伺う機会がありました。 その編集長からは「在学中に一度自分で本を作ったり出版に携わって経験を積んでみたら?」とアドバイスをいただき、それを受けて実際に自分で漫画を作って本にしたら思っていたより楽しいことがわかって、漫画家への道にシフトしたという流れになります。 勿論、漫画家としてデビューするのはまた難しいことはわかっていたので大学在学中に読切掲載など結果が出なかったら、普通に就活しようと自分なりに期限を設定しました 。
インタビュアー:
ありがとうございます。漫画家デビューを目指すにあたり、最初は持ち込みに挑戦されたのでしょうか?
笠間三四郎:
そうですね。ただ、初めて持ち込んだ編集部では散々でした。持ち込みを見てくれる編集者の方が遅刻されたり、ようやく作品を見ていただけたと思ったら酷評されて打ち合わせが5分で終わったりして(笑) そういう実体験もあり、出版社に直接持ち込むスタイルは一日潰れやすく時間の無駄だぞと感じ、COMITIAという同人誌即売会で開催されている出張編集部を活用してみようと行動しました。出張編集部は少年誌や青年誌、雑誌や漫画アプリなど色んな編集部が並び、何社でも自分の作品を持ち込むことが出来るので効率的で惹かれました。何社か回っている中で月刊少年マガジン編集部(講談社)の編集者の方が、作品への反応が良かったり話しやすかったというのもあり一緒に作品作りすることになりました。笑いのツボが同じかなという安心感や対応がとても良かった印象を抱きました。
インタビュアー:
いろいろな編集部を巡れるということで、出張編集部活用されている漫画家志望者も増えましたね。出張編集部で持ち込む先の選び方は何かあったのでしょうか。
笠間三四郎:
なりふり構わず時間が許す限り行ける編集部のところは行きました。必死だったというのもありますが、読んだことがない雑誌の編集部のところに持ち込んだ時は雰囲気が合わないと編集者から一蹴されたりもありました。今思えば全く仰る通りですが(笑)。月刊少年マガジン(講談社)は『ノラガミ』(あだちとか先生)などの作品をよく拝見していたという理由で持ち込みました。
インタビュアー:
そこから月刊少年マガジン(講談社)の編集者と漫画作品を作っていったと。
笠間三四郎:
そうですね。でも、運がいいこともありました。月刊少年マガジンの増刊にあたるマガジンRで『パンティーVSブラジャー』という下ネタ&ギャグ漫画でデビューしたのですが、当時マガジンRの責任者チーフの方がそういう下ネタ&ギャグ系の漫画が好きだったらしいです。その後押しもあったのか、月刊少年マガジンの新人賞で特別奨励賞&マガジンRチーフ特別賞を受賞しました。
-ジャンプルーキーに漫画を投稿、そこから連載へ
インタビュアー:
その受賞をキッカケに連載を目指す流れだったと思いますが、いかがでしょうか?
笠間三四郎:
ありがたいことにデビューはさせていただいたんですが、改めてもう1回新人賞に挑戦しようかという話になりました。担当編集者的にはもう少し鍛えたいという考えがあったと思うのですが、僕自身大学在学中に連載獲得できる目処がないと将来が怖いなと感じてしまって。そういう心情もあり、より連載が目指せる場所で活動したいと考えるようになりました。ちょうどその頃、漫画投稿サイトのジャンプルーキー出身でその後ジャンプ+で連載に繋がった四谷啓太郎先生や成田成哲先生と知り合いになれまして、いろいろお話伺うと勢いがあるデビューに近づけられるとのことからジャンプルーキーに以前ボツになった漫画作品を投稿しました。
インタビュアー:
今でこそ、ジャンプルーキーなどの漫画投稿サイトに作品投稿したり、Twitterで自分の漫画を投稿するなどスタンダードになっていますが、当時は漫画をWEBに投稿して見られるということにあまり抵抗はなかった感覚でしょうか?漫画家志望者や学生さんに話を伺うと、恥ずかしくて出しづらいという話を伺ったことがあります。
笠間三四郎:
僕自身は恥ずかしいなどはなかったですね。むしろ僕を見てくれ!と全然積極的でした(笑) ジャンプルーキーをキッカケにデビューした漫画家さんの四谷啓太郎先生や成田成哲先生と知り合いになれいろいろお話を伺えたのは大きかったかもしれません。四谷啓太郎先生からの応援後押しは勿論、成田成哲先生は研究熱心で閲覧数の取り方や投稿時間帯の狙い方などノウハウもいただくことが出来ました。お二人にはとても感謝しています。
インタビュアー:
ジャンプルーキーに投稿された『学校のワイダン』は第二回少年ジャンプに絶対載るギャグ賞最終候補として残り、閲覧数も多くノウハウが受け継がれている印象を感じました。
笠間三四郎:
他にもサムネイルは意識したほうが良いとアドバイスをいただきました。YouTubeなどと同じように目を引くものにしないとそもそも見てもらえないので、目が留まりそうなキーワードが映るコマをサムネイルにするなどの工夫をしてみました。 ノウハウのお陰もあり無事ジャンプ+の編集者さんに担当として付いていただき、『TELTEL坊主』という読切をジャンプ+掲載したり、友人の植杉光と一緒に『ツギハギクエスト』を短期集中連載など挑戦させていただきました。
インタビュアー:
そこからジャンプ+で『デッドプール:SAMURAI』を読切掲載、ネットニュースなどで取り上げられるなど大変好評の中で連載開始となりましたが、携わるキッカケはなんだったんでしょうか。
笠間三四郎:
最初、MARVELのキャラで何か読切描かないかという打診は植杉単体に来たお誘いだったのですが、僕が「死ぬほど好きなキャラいるから原作やらせて!」って頼みこんで相乗りさせてもらいました(笑)
インタビュアー:
MARVEL作品だと事前の監修作業も大変だったかと思います。
笠間三四郎:
大体8割ぐらいボツはいただきました(笑) 連載スケジュールとの兼ね合いもあるので、1つのシーンに3パターンぐらいネタの案を用意して監修依頼するなど工夫をしました。『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平先生)とのコラボ企画や紙の単行本ならではの表現演出などいろいろ挑戦が出来て、MARVELや堀越耕平先生やジャンプ+など関係者の皆様には本当に感謝でいっぱいです。
インタビュアー:
ありがとうございます。それでは最後に漫画家志望者に向けてアドバイスやメッセージをいただければと思います。
笠間三四郎:
漫画デビューするにあたって漫画編集者と繋がれる機会として主に持ち込み・漫画投稿サイト・出張編集部の3パターンがあると思いますが、個人的におすすめなのは出張編集部です。漫画をよくするには直接アドバイスをいただくのがいいのかなと思っているのと、出張編集部の場合は最初に持ち込んだ編集部から評価が悪くても、すぐに他の編集部に持ち込めて効率がいいからです。
編集者は本当に十人十色で合う合わないは当然あるので、どうしてもこの雑誌がいい! 等の考えがなければ1人の編集者に固執しすぎずいろいろな編集者と付き合うのが良いと感じます。人によってその基準はバラバラだと思いますが、僕自身は打ち合わせが楽しいかとボロクソにアドバイスがいただけるかが基準だったりします。
また、担当から言われたアドバイスや指示で納得できないものをもらうことが多々あります。その際、「よくわかんないけど、担当が言ってたからなぁ~」と納得できないまま直すのはやめた方がいいと思います。納得できない指示をされたときは、納得できるまで質問したり考えたりしてみて欲しいです。それでも納得できないなら指示には、そのまま描いても面白くならないと思うので無理に従わなくて大丈夫です。新人のうちは担当さんの言うことは絶対だと思い込んでしまいがちですが、担当さんも完璧じゃないので必要なアドバイスを取捨選択してほしいです。
最初は難しいかもしれませんが、是非頑張ってください。
インタビュアー:
出張編集部や漫画投稿サイトなど色んな持ち込み手段が増え、そこからデビューし連載獲得まで繋がれますし、是非編集者とコミュニケーションをとって頑張ってほしいですね。『デッドプール:SAMURAI』はめでたく完結し、現在も植杉光先生と一緒にマガポケで『脳筋王子、庶民になる。』を連載されておりますので、本記事を閲覧されている方は合わせてそちらの作品もチェックしていただければと思います。本日は大変貴重なお話ありがとうございました!
笠間三四郎:
ありがとうございました!
-笠間三四郎先生が携わった作品
●ジャンプルーキー!投稿作『学校のワイダン』
第二回少年ジャンプに絶対載るギャグ賞最終候補
あらすじ:おっぱいが揉みたすぎて、気付いたらこんな漫画を描いていました。
https://rookie.shonenjump.com/series/FlR8CfEDuXw
●ジャンプ+で読切掲載『TELTEL 坊主』
あらすじ:ジャンプ+が誇る新進気鋭の新人作家さまさまが贈る、煩悩だらけのエロ坊主と誘拐犯(!?)が繰り広げる勘違いコメディ28P!!
●ジャンプ+で短期集中連載『ツギハギクエスト』
あらすじ:最下層激弱モンスターが伝説の剣を引き抜いた!?性根も腐りきったクソ野郎ゾンビ・リビは、剣を狙うモンスターたちに狙われるが、襲ってくるモンスターたちもポンコツばかりで…。史上最低主人公が贈る痛快RPGギャグ!!
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●ジャンプ+で連載『デッドプール:SAMURAI』(既刊2巻、完結済)
あらすじ:MARVELから少年ジャンプ+に殴り込み!?アメコミヒーローの中でも特にハチャメチャな無責任ヒーロー「デッドプール」がついに連載化!!!!アベンジャーズを引き連れて、ジャンプキャラまで巻き込んだなんでもありのスーパーコラボマンガ!
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●マガポケで連載中『脳筋王子、庶民になる。』
あらすじ:『デッドプール SAMURAI』のコンビが送る、超ハイテンションファンタジーコメディ!善良かつ腕力最強、なのに何事にもまっすぐすぎる性格が災いして、逆に迷惑な王子、レイギスと、なぜか不幸体質のメガネ女子の側近、パレット、そして傲慢かつド天然、どこか憎めない超お嬢様、エレーナが織りなす、ドタバタ異世界(?)コメディ!!
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-漫画家デビューを後押しいただいた先生方の作品
●筋肉島(成田成哲先生)
あらすじ:人々が己の肉体を突き詰め、筋肉のみで発展した島―「筋肉島」。調査隊として派遣された司馬毅は、そこで筋肉の奇蹟を体験する!!『アビスレイジ』の成田成哲が贈る、筋肉見聞録!!
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ジャンプルーキーへの投稿作
●悪魔のメムメムちゃん(四谷啓太郎先生)
あらすじ:ヤレない・エロくない・がんばらない。稀代のポンコツ淫魔・メムメムちゃんが魂求めて奮闘するちょいエロコメディー!!
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ジャンプルーキーへの投稿作
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