『国際コミック・マンガスクールコンテスト2023』受賞作品決定。業界を支える国内外の企業が協力
総合グランプリ
コミック部門賞
マンガ部門賞
縦スクロールコミック部門賞
バンドデシネ部門賞
作画部門 グランプリ
イラスト部門 グランプリ
世界中の学生から個性豊かな作品が集まるコンテスト「国際コミック・マンガスクールコンテスト」が今年も開催され、7月10日に審査結果が発表されました。89の国・地域の1481校の学校が参加登録し、1900点を超える作品の応募がありました。今回は協賛各社から応募者へ計21件のオファーがあり、それぞれ夢を叶えるステップに進まれたとのことです。
「国際コミック・マンガスクールコンテスト2023」のゴールドスポンサーとして、集英社・KADOKAWA・BookLive・Ki-oon・pixiv・ワコムと大手出版社や電子書籍サイト、クリエイターを支援するサービス・製品を提供する企業らが協賛しています。
新型コロナウイルスの影響によって生まれた巣ごもり需要が落ち着きつつあるものの、国内のコミック市場は拡大し続けています。近年はヒットタイトルを活かした海外展開やWebtoonや縦スクロール漫画といった新たな表現方法に取り組む企業も増え、国内クリエイターに限らず海外クリエイターの獲得も視野に入れた活動が見受けられるようになりました。
受賞作品に対して、審査員と協賛各社からの丁寧なアドバイスが贈られました。次回以降参加を検討している方は勿論、現在漫画家を目指している方にも有用な内容がまとめられていますので、是非参考にしてみてください。
審査員コメント
Justine Cunha
グラフィックノベル作家、キャラクターデザイナー、アートディレクター
ArtStation / Instagram / linkedin
世界中の応募者の皆さん、ご参加いただきありがとうございます。学生である皆さんのレベルの高さにはいつも感心させられていますが、それも毎回上がっていて、今ではほとんどプロの域に達して、大変喜ばしいです。しかし、デッサンの技術や伝えたいストーリー以上に、重要なのは舞台設定であることをどうか忘れないでください。舞台設定があるからこそ物語としての整合性や、狙った意図や感情を伝えることができます。熟達した作家になるためには作品に自分の魂の一部を込めることが必要で、自分の感情や経験について語らなければなりませんが、自分自身をさらけ出すことをためらうと、読者にはそれが伝わるので、完璧な絵を描こうとする以上に重要な要素になります。私が読んだ限りでは、そう遠くないうちに、この本棚に皆さんの作品を加える日が来ると思います。皆さんの本を買うのが待ちきれません。これからも精進して、あきらめないでください。
戸谷 太一
集英社第3編集部ダッシュエックス文庫・タテマンガ編集部
https://www.shueisha.co.jp/
今回、投稿者の皆さまの作品を拝見していて、独創性あふれる作品ばかりで楽しく審査し、また自分自身非常に勉強になりました。普段あまり拝見することのない表現形式の作品にも接する機会を頂き、いつもはマンガやウェブトゥーンの様な表現に親しんで仕事として向き合っている自分にとっても大変良い経験となりました。現在、私たちはジャンプTOONというウェブトゥーン・縦マンガの編集部を立ち上げ、それら作品の制作に取り組んでいます。本アワードを通じて出会うクリエイターの方と一緒にジャンプTOONの未来を作っていきたい、そう願っています。今回はありがとうございました。皆さまのこれからのさらなるご活躍を祈念します。
土方 隆
KADOKAWA コミック第二統括部コミック第四編集部 兼 タテスクコミック編集部 コンテンツプロデューサー
https://group.kadokawa.co.jp/
こんにちは。今回の審査も多くの才能に触れることができ、とても楽しかったです。テーマとページ数の縛りのせいなのか、逆に、皆さんのいろんなアプローチの仕方を見れてとても参考になりました。すぐにデビューできる力をもった方もいらっしゃいましたが、まだまだご自身の思惑通りの描き方ができていない、という作品もまた多くありました。この領域でまだまだチャレンジを続けるならば、是非、描くことを止めないでいただきたいと思います。描かずに上手くなることは決してありません。逆に言えば、描けば、いろんな部分で改善し、そして成長を続けられると思います。特に表情というものにこだわって描いていただくことを強く望みます。音声のないメディアですから、キャラクターの表情はいろんなことを語ってくれます。皆さんのこれからの将来とチャレンジに期待をしております。今回の審査、とても楽しくさせていただきました。ありがとうございました。
鹿島 拓也
BookLive コンテンツ本部 コミック編集2部 部長
https://booklive.jp/
https://www.manga-nino.com/
皆様制作お疲れ様でした。毎年多くの作品が全世界から集まるコンテストですが、すべての作品のレベルが年々上がっている実感があります。受賞した皆さんの作品は、その中でも群を抜いて素晴らしい内容でした。本当に面白かったです。インターネットの普及で世界がとても身近になりましたが、育った国や土地により、様々な文化や宗教観が創作の根幹にあり、選考中は常に世界の広さを感じることができました。惜しくも受賞できなかった方々も、プロを目指すのなら「他者に作品を見せること」が第一歩ですので、既に皆さんはその一歩は踏み出しています。表現することへの挑戦には苦難もあると思いますが、これからも表現を磨き続けていってください。
池田 春菜
pixivマンガ編集部
https://www.pixiv.net/
「創作」を取り巻く環境が日々変わっていく中で、変わらず熱量の高い作品が届いていました。マンガという形式は他の創作物に比べて、「イラスト」「ストーリー」「キャラクターデザイン」「コマ割・構成」など要求される技術が多く、自分一人で完成させようとすると苦しく感じる瞬間が多かったのではないでしょうか。自分にとってどんな原稿であっても、このコンテストに応募するためであっても、作品を「作り上げた」という事実は大きな財産になると思います。これからも胸を張ってマンガを描き続けてくれると嬉しいです。
Kim Bedenne
Ki-oon東京オフィス代表
公式サイト:http://www.ki-oon.com/
Twitter:https://twitter.com/kim_ki_oon
こんにちは。たくさんのご応募ありがとうございました。今年はほとんどプロと言えるレベルの応募がありました。特にコミックとバンド・デシネ部門での 「Inside the shadow」、「La luz del mar」、「Sa couronne」。絵も色も、本当によくできていました。しかし、読者をすぐに主人公たちと結びつけるためには、もう少し努力が必要な面があると思います。どんな仕事であれ、私にはこれが最も重要なことのように思えます。良い悪いに関係なく、強い個人的動機を持った興味深いキャラクターを作ることです。それが達成されれば、感情はより伝わりやすくなります。いずれにしても、本当にお疲れ様でした。
矢野 幸治
ワコム クリエイティブビジネスユニット JP ビジネス/JPAP マーケティング バイスプレジデント
https://www.wacom.com/ja-jp
応募作品を拝見し、世界中の学生の皆さんの熱意を感じるとともに、「光と闇」を表現する自由な発想に感銘を受けました。今後も、講評や他の投稿作品も参考にしながら、さらに魅力あふれる作品を描いていって欲しいと願います。コミック・マンガ市場の広がる中、皆さんの活躍の場も自国にとどまらず、広がっていくかと思います。そんな皆さんが、自由に表現して、作品制作に没入できる制作環境を整えられるよう、ワコムも陰ながらサポートしていきます。
学校:School of Visual Arts
ペンネーム:VIIIN (China)
作品名:Inside the Shadow (英語)
受賞コメント:
こんにちは!まず、今年のコンテストの総合グランプリに選ばれたことをとても光栄に思います!光と闇というテーマを見てまず頭に浮かんだのは、光と影は互いが存在することで自身も存在しており、善と悪もまた同じであるということでした。そこで、固定観念を破るために、勇敢なヒーローと優しいドラゴンを登場させました。コインに表と裏があるように、邪悪そうな怪物も、ある面では親切と捉えられます。同時に、テーマである光と闇のストーリーを描くため、マンガの時間帯を夕暮れに設定し、色と光の明暗の変化を使って物語を進めました。審査員の皆さんに評価していただけたことを非常に嬉しく思っています。まだまだ改善できる点もありますが、努力を続けます!最後に、コンテストの間応援してくれた先生、家族、友人、そして審査員とClipStudioPaintの皆さんに感謝いたします。ありがとうございました!
学校:Virtual University of Pakistan
ペンネーム:BlueBird0202 (Pakistan)
作品名:The Circle of Life: memento mori (英語)
受賞コメント:
コミック部門賞に選んでいただき、審査員の皆様に心から感謝しています。小さい頃から漫画が大好きだったので、とても嬉しいです。これまで自分で漫画を発表したことがなかったので、とても緊張しました。今回のテーマでは、光と闇の関係を深掘りしたいと思いました。相反するものであるというだけでなく、どのように共存しているのかを描きたかったのです。私の漫画では、生と死を通して光と闇を表現することで、これを実現しようとしました。これまでストーリーから考える経験がなかったので、今回の作品はとても大変でした。苦労も失敗もたくさん重ねました。でも最終的には、とても充実した経験になりました。完璧な作品に仕上がったとは言えないし、まだまだ学ぶことがたくさんあります。ですが、本コンテストを通じて多大な自信と勇気をいただきました。今回初めて漫画を描きましたが、また描いてみようと思っています。いつか私も、アートの世界で自分の居場所を見つけるという夢を実現できるよう、自分のスキルを向上させるために努力を続けていきます。
学校:日本工学院
ペンネーム:富大貴 (Japan)
作品名:Lucia(中国語)
受賞コメント:
まず、審査員の皆様が多くの優秀な作品の中から私の作品を選んでくださり、本当に光栄でとても嬉しいです。実は、マンガ創作を学ぶ前はずっとイラスト関連の仕事をしていました。好奇心からマンガを学ぶことを始めたところ、思いがけず魅了され、マンガを描くのは本当に面白いことだと気づきました。私は日常の生活に関連するものを描くのが好きで、恋人たちのちょっとした出来事でテーマを描きました。交際をスタートした男女の未熟さやお互いを試す様子は、まるで広大な暗闇の洞窟の中を探検しているような感覚です。タイトルの「Lucia」という言葉は、スウェーデンの伝統的な祭り「聖ルチア祭」に由来します。その祭りは一年の最も夜が長くて暗い日に行われ、暗闇を経験した後に光明を迎えるという意味が込められていると思います。
学校:Information and Communication Technology High School
ペンネーム:Bactewia(Philippines)
作品名:Lost(英語)
受賞コメント:
12歳の頃から、自分のウェブトゥーンかマンガを作るのが夢でした。そのストーリーをよく友達に話したり、キャラクターを描いたりもしていたのですが、とても恥ずかしがり屋だったので、それを完成させたり、オンラインで公開したりすることはありませんでした。だから、このコンテストを見たとき、自分のウェブトゥーンを作り、自分の夢を追ういい機会だと思いました。ソラジマさんのコメントには一番励まされました。私のストーリーを細部まで分析していただきました。それを読んだことで私の創作意欲が高まり、アートと物語の両方のスキルを向上させていきたいと感じました。このコンテストはとても面白かったです。学校の授業や他のコンテストにも参加しており、時間を管理しなければなりませんでしたがマンガを創作し、時間を管理する中で多くのことを学ぶことができたと思います。改めて、このコンテストに参加できてとても楽しかったです。
学校:ESA Saint-Luc Liège
ペンネーム:Felizs_art (Belgium)
作品名:Sa couronne(フランス語)
受賞コメント:
このような賞を受賞できたことは言葉では言い表せないほど光栄で、評価してくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいです。私が本コンテストに参加したのは、競争の世界を初めて経験することでより制作の調子を上げていくためでした。先生方から「影と光」というテーマが提示されたとき、私はすぐにこのテーマを象徴的に、つまり、影と光の関係性を人間関係の中で表現したいと考えました。私が2人の主人公、AroとAinaでやりたかったのはこれです。Ainaは私の母国語であるマダガスカル語で「生命」、Aroは「守るもの」を意味します。つまり、命に代えても己に生命を与える光を守る影という訳です。物語をスムーズに読み進めるための構成はもちろん、テーマに沿うために光や影にもこだわりました。将来は、自分の殻を破ることを恐れないアーティストになりたいと思っています。そしてアクションがあり、少し壮大で、ファンタジー要素もあるこの作品を通して、少し目標に近づくことができたと思います。また、私は自他共に感動できる物語を創りたいです。このプロジェクトに貴重なフィードバックをくださった先生方、そして家族やクラスメートに感謝します。また、改めて審査員の方々、スポンサーの方々に刺激的で寛大かつ建設的な講評と、素晴らしい賞を下さったことに感謝いたします。ありがとうございました。
学校:Escuela de Artes Plásticas y Audiovisuales
ペンネーム:JOHEN (Mexico)
作品名:Estimada persona con vida(スペイン語)
受賞コメント:
まず始めに、この作品を受賞作として選んでくださった審査員の方々に感謝いたします。このコミックは友人と一緒に制作したのですが、この作品がグランプリを取るとは思いませんでした。このコンテストへの参加は初めてではないので、今回は過去の参加で学んだことを実践してみました。私たちは立華さんの作品に基づいて作品に挑みました。なぜなら、落胆するような環境の中でも希望が描かれているからです。私たちはストーリーの構成を少し変えて、違った表現で伝えようとしました。また、主人公の中で光と闇を感じた瞬間を表現するために色彩を工夫し、主人公2人の性格の対比を示すことで今回のテーマ「光と闇」を表現しようと思いました。私たちの作品が選ばれたことで勇気をもらいました!このコミックの世界を続け、今後の企画に向けて向上していくための後押しになります。ありがとうございました!
学校:Universidad Tecnológica de México
ペンネーム:minsik.tea (Mexico)
受賞コメント:
この度は、国際コミック・マンガスクールコンテストのイラスト部門グランプリを受賞し、大変光栄に思っております。この知らせを受けたときは感無量でしたし、今でもどこか現実ではないような感じがして、奇しくも作品の『Gaia』で伝えたかった雰囲気を自分で体験しています。私は今回のテーマである「光と闇」を受けて、見た人それぞれが最も惹かれた部分によって解釈が変わるような、そんな物語を描こうと思いましたが、人生における光と闇も、意識する部分によって見え方が変わることを伝えたい、という想いがありました。このコンテストに参加したとき、私は自分が納得いくイラストさえ提供して、願わくばアーティストとして成長できれば良いと考えていましたが、Clip Studio Paintを提供している皆様と、私を励ましてくれた友人と家族のおかげで、これからの明るい未来に胸を膨らませています。このコンテストの審査員の皆様とClip Studio Paintの皆様、改めまして、私をイラスト部門グランプリに選んでいただき、本当にありがとうございました。