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コラム
2023年11月1日

青春ラブストーリー「スタジオカバナ」馬あぐり先生にインタビュー

スタジオカバナ 馬あぐり 先生

トキメキと大好きがいっぱい詰まった女性のためのWebコミック『シルフ』で歌で色づく甘酸っぱい青春ラブストーリーを描いた漫画作品『スタジオカバナ』。どのようにしてこの物語が紡がれたのか、漫画制作スタイルなどを著者の馬あぐり先生にインタビューしました!

        スタジオカバナ 馬あぐり 先生

■スタジオカバナ

音楽×青春 「歌」で色づく 甘酸っぱい青春ラブストーリー
「言葉にできないから、歌にするんだ――」
真面目が取り柄の女子高生・牧ゆかり。
ある日彼女は、非行少年と呼ばれるクラスメイト・日下優助が「恋の歌」を歌う姿を見てしまう。
普段の彼からは想像もできない甘く切ない歌声に、一瞬で虜になってしまったゆかり。
それが、切ない片思いの始まりになるとも知らずに――。
引用元:https://sylphcomics.com/series/studiocabana/

自分の漫画が単行本になって本屋さんに並ぶかもしれない

―今回はインタビューにお答えいただき、ありがとうございます。まずは漫画家を目指されたきっかけを教えてください。

馬あぐり:
以前から個人サイトで漫画を連載していたのですが、実は最初からプロの漫画家を志願していた訳ではなく、本当に趣味で発表していただけでした。当時描いていた『純情乙男マコちゃん』という作品に連載してみませんかといくつかの出版社様からお声がけ頂いたのをきっかけに、自分の漫画が単行本になって本屋さんに並ぶかもしれないなんて、こんな機会はそうそうないかもしれない…!と思い切って飛び込みました。

―お声がけされたことをきっかけに漫画家を目指されたということですが、最初に行動したことを教えてください。

馬あぐり:
連載のお声がけを頂いて最初にまずやらなければ!と思った事は、CLIP STUDIO PAINT(漫画制作ソフト)に慣れる事でした。笑
当時本当に原稿作成のいろはを知らず、他の作画ソフトでかなり低い解像度で適当に描いてしまっていて…… このままでは商業連載に耐える原稿が作れない……!とCLIP STUDIO PAINTをダウンロードし、連載用のネームを練りながらCLIP STUDIO PAINT作画に慣れるためにweb用の漫画の制作を同時進行していました。
今ではCLIP STUDIO PAINTが無いと何も描けません……笑

―『純情乙男マコちゃん』以外にも描かれた作品はあったのでしょうか。当時の思い出と合わせて教えてください。

馬あぐり:
現在連載している『スタジオカバナ』が、実は先でお答えした個人サイトでの連載作品でした。 当時は個人サイトでweb漫画を発表するのが流行り出していた時で、webリンクやランキングなども充実していてたくさんの方に見て頂きやすい環境だったように思います。
最初は「手書きブログ」で連載していたのですが、CLIP STUDIO PAINTに慣れた今思うとよくあの制約の多いツール(そこが手書きブログの魅力でもあるのですが)で漫画を描けていたな……と当時の自分のエネルギーに驚きます……

描いて辛い時は数時間だけでも漫画から離れてみる

―馬あぐり先生ご自身のことについてお伺いできればと思います。まずペンネームはどう決められましたか教えてください。

馬あぐり:
これはいつも聞かれるのですが大した由来などはなく……笑
ネットでやり取りをしていた友達が当時ハンドルネームを「鹿」にしていたので、じゃあ私は「馬」にする!という流れでこの名前になりました……。ちなみに、「虎」さんもいます。
「あぐり」は、商業デビューするにあたり「馬」のままではエゴサに不便だな……と思い本名から因んで下の名前をつけました。

―ひょんなことから決まったんですね!SNSも発達して読者側も発信しやすい環境なので、エゴサしやすい名前をペンネームにするという意識も必要そうですね。続いて普段の執筆スケジュールを教えてください。

馬あぐり:
大体1話40ページだとして、ネームに1~2週間、線画に2週間、その間にアシスタントさんに背景やトーンを同時進行で入れてもらい、最後に自分で仕上げをし、全工程でだいたい4週間ほどで完成させる事が多いです。

―ほぼ執筆されている状況ですね。漫画を描いていく中で辛いと思った時もあるのかなと思うのですが、対処法・リフレッシュ方法を教えてください。

馬あぐり:
1日だけ、数時間だけでも漫画から離れてみる事でしょうか……私の場合はいったん全て投げ出して推しキャラのらくがきを描くとかなりメンタルが復活します。しかも、難しい構図なんかは一切考えず描きたい顔だけ描いてストレス解消します。笑

―確かにちょっと離れてみると意外と整理ついたり、新たなアイデアが生まれそうですね。関連する質問になりますが、執筆していく中でインプットも重要かと思います。普段取り組まれていることがあれば教えてください。

馬あぐり:
特に意識をして取り組んでいるという訳ではないのですが、作画作業のお供に積極的に映画を見るようにしています。アイディアが枯渇している時に映像作品を見ると想像力に火がつくタイプなので……あと、普段生活してる中でふと経験する出来事……例えばスーパーで野菜が安売りしてたとか、道の石につまづいたとか、どうでもいい事でも「うちのキャラならどう反応するかな…」と常に妄想に繋げたりしています。

―経験した出来事などをご自身のキャラならと想像して話を考えて執筆してみるのは面白そうですね。執筆の話になりますが、馬あぐり先生は漫画制作時に3D機能を活用されています。3D機能は敷居高そうに感じる漫画家志望者も多いのかなと思いますが、活用して良かった点と注意しておくべきことなど教えてください。

馬あぐり:
背景に3Dを活用する事でかなりの時短になり、キャラの位置関係なども破綻なく作画できるのでかなり助かっています。人物作画にも3Dを活用する事があり、難しいポーズの時などはとても重宝するのですが、まず前提として人体の構造を理解していないとただ3Dをなぞるだけでは違和感のある作画になってしまうため、そこを修正しながら描くバランス感覚は必要だなぁと思います。

―大きなメリットありつつも、人体構造を理解しないといけないというのは仰るとおりですね。漫画家志望者の中には年齢的に若い方もおられるかと思いますが、漫画家人生を振り返って学生時代にしておけば良かった、より創作表現プラスに働いていたかなと思うことがあれば教えてください。

馬あぐり:
確かに若いうちにもっとたくさん遊んでおけばとは思いますね……この仕事をしているとどうしても引きこもりになりがちなので…… 作品づくりにはあまり関係ないですが体力があるうちにスカイダイビングをしてみたいです。
ちなみに、私はいわゆる脱サラ漫画家なのですが、社会人経験を経たのはかなり漫画のネタの糧にはなっている気がします。

このチャンスを逃したらもう無い!

―冒頭でも少し触れましたが、前回から『スタジオカバナ』連載まで約2年の間がありました。連載が決まらない焦りや生活への不安など当時の率直な気持ちを教えてください。

馬あぐり:
前回の連載はいわゆる「打ち切り」だったので、精神面的にもかなり自信を無くし、連載が決まらない間は本当に苦しかったです…… ただ、その間「Skeb(コミッションサービス)」でしばらくリクエストを募って生活費を繋いでいたのですが、たくさんの方にリクエストいただけて随分助かりましたし、普段あまり描かないフルカラーイラストの修行にもなったのでそれは良い機会だったなと思っています。

―そんな状況の中、馬あぐり先生ご自身がポスト/ツイートで『スタジオカバナ』を連載してくれる出版社募集をされたと単行本1巻あとがきで拝見しました。当時の心境とシルフ編集部と一緒にやっていくと考えた決め手を教えてください。

馬あぐり:
スタジオカバナ』は、実は今までお声がけいただいた編集さんたちに「この作品の商業連載はどうですか?」と以前からたびたびプレゼンしていたのですが、お断りされ続けていました。笑
ヒロインが報われない期間が長いので、読者に受け入れられなさそう……などの理由を言われた事があります。なので思い入れのある作品ではありつつカバナの商業化は諦めていていました。
しかし打ち切り後連載がなかなか決まらず苦しんでいたところにダメ元でポストしたところまさかのお声がけがあり…!!本当にびっくりだったのですが、このチャンスを逃したらもう無い!いろんな意味で!となり連載を決意しました。

―視野を広げ行動したことで素晴らしい出会いがあったというの良いですね!『スタジオカバナ』は商業化にあたり一度タイトル変更検討されたとのことですが、改めてこのタイトルにされた理由や想いを教えてください。

馬あぐり:
このタイトル自体には実はそんなに深い意味はなく……笑
友達に「なんかいい名前考えて~!」とお願いして付けてくれたスタジオ名をそのままタイトルにしただけで……
なので商業化にあたりもう少し内容的に意味のあるタイトルに変えようか、という話も出たのですが、個人サイト時代からずっと再開を待ってくださっていた読者さんの間でも愛着を持っていただいていたタイトルだったので、そのまま変えない事になりました。個人サイトの更新が途絶えてしまって随分日が経っていた事もあり、「あの時のあの漫画、商業になったよ…!」というのに当時の読者さんが気づいてくださったらいいなぁなんて希望も少しありました……笑

―ありがとうございます。それでは具体的な内容について踏み込んでいけたらと思います。まずは、メインキャラクターの牧さん日下さんらのビジュアルで意識した点、キャラクター構築の流れを教えてください。

馬あぐり:
個人サイトで連載していた時から大分時代が変化していたので、2人のビジュアルは現代に合わせてチューニングをしました。とはいえ昔から愛着のあるキャラクターなので大元の印象は変わらないように、ヘアスタイルの微妙なニュアンスやスカートや靴下の丈など……InstagramやTikTokで最近の高校生の流行りを研究して取り入れた……つもりです……!
流れについて、私はキャラクターから作るタイプなので「このキャラだったらどうかな~」という妄想で詰めていくような感じです。あまりどういう要素をどの程度最初に詰める、というプロセスは意識していません。

―日下さんや白井さんなど少し不安定な性格、歪な関係性が描かれています。描かれる際に意識していることなどあれば教えてください。

馬あぐり:
意識している事……と改めて聞かれると特にないのですが、私個人としては完璧で誰からも好かれるような隙のないキャラより、不完全でダメなところがあるキャラの方が人間味があって好きなので……自分で好きだと思えるキャラを描いているような感じです。
特に白井春雪は嫌われるキャラでもあるのですが、逆に彼女の心境に共感してくださる方や、好きだと言ってくださる方も多くいらっしゃるので、「趣味……合いますね!」と思っています。笑

―私もどこかダメなところがあるキャラクターが好きになりやすいので、個人的に白井さんも魅力的なキャラクターの一人です!共感の話もありましたが、担当編集のみなさまは原稿を送るたびに褒めてくれモチベーションが上がると拝見しました。具体的にどういう点褒められたか、他に嬉しかったやりとりや対応などがあれば教えてください。

馬あぐり:
多くの作家さんが似た症状をお持ちだと思うのですが、ずっと1人で描いていると「これ……本当に面白いのか……?」と疑心暗鬼になってくるのです。笑
その上、描き上げてから掲載されるまでにブランクもあるので、すぐに読者さんから反応が貰える訳でもない。担当編集さんは一番最初に見てもらう読者さんでもあるので、そこでめいっぱい褒めてもらえるとホッと胸を撫で下ろせます。
現在の担当さんは印象に残ったコマをピックアップしながら「この表情、かわいい!!」とか「この表現、上手い!!」とか応援上映のように褒めてくれるスタイルです。笑

―担当さんから褒められると確かに嬉しいですね!素敵な担当さんだと思います。他に作品を執筆していく中で印象深かった担当編集者からのアドバイスがあれば教えてください。

馬あぐり:
アドバイス……と言っていいのか分かりませんが、この作品は本題(三角関係の描写)に入っていくまでの過程が結構長いので、第1話の1番最初のアバン(カラーページ)のモノローグでどう「この漫画はこういう話だよ」と伝えるかかなり悩んでおり、この部分のテキストは実は担当さんにほぼ考えていただいたような形(つまり全修正 笑)になってしまいました…!!さすがのワードセンスが光っています。

スタジオカバナ カラー

―漫画編集者にはいろんなタイプの方がおられますが、どのようなタイプが一緒に取り組みやすいか教えてください。

馬あぐり:
私の場合は持ち込みなどをした事がなく、お声がけいただいた編集さんとしか仕事をした事がないのですが……作品を気に入って声をかけてくださった方とは、やはり好みややりたい事の指針が一致しやすいのでやりやすいのかなぁと思っております。
編集さんにもさまざまな方がいらっしゃり、積極的にアイディアを出して主体となって作品作りをしてくれるタイプの方と、作家のやりたい事に合わせてサポートしてくれるタイプの方とがいらっしゃいますが、私は後者の方がやりやすいと感じています。
人それぞれ合う合わないはあると思うので、まずはいろんな編集さんとお会いして、読み切り1作品からでも一緒に作品づくりをしてみて自分がどっちのタイプが合っているのか見極めていくのがいいのかなと思います。

―ありがとうございます。それでは最後に、漫画家を目指されている方に対して応援メッセージをいただければと思います!

馬あぐり:
私が漫画をwebで発表し始めたころ、漫画の描き方なんて何も分からないまま本当に下手ながらがむしゃらに描いて載せていました。それでも載せていれば誰かが見てくれて、見てくれる事でモチベーションも上がっていってどんどん上達に繋がったように思います。
今はSNSでレベルの高い作品をたくさん目にできてしまうので、もしかしたら「こんなレベルで載せるのは……」と尻込みしている方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは作品を完成させて誰かに見てもらう事が一番大事なのかなと思っています!
みなさまの素敵な作品を目にする機会を楽しみにしています。




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URL:https://sylphcomics.com/award/couple/

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記事制作協力:シルフ編集部