ホーム >  コラム >  大人のバグった距離感ラブ(?)コメディ「踏んだり、蹴ったり、愛したり」壱屋すみ先生にインタビュー
ホーム >  コラム >  大人のバグった距離感ラブ(?)コメディ「踏んだり、蹴ったり、愛したり」壱屋すみ先生にインタビュー
コラム
2023年12月22日

大人のバグった距離感ラブ(?)コメディ「踏んだり、蹴ったり、愛したり」壱屋すみ先生にインタビュー

トキメキと大好きがいっぱい詰まった女性のためのWebコミック『シルフ』で童顔三十路クズ男×バリキャリアラサーOLの、大人のバグった距離感ラブ(?)コメディを描いた漫画作品『踏んだり、蹴ったり、愛したり』。漫画家への道、学生時代取り組んだほうがより良かったなと思うことなどを著者の壱屋すみ先生にインタビューしました!

        踏んだり、蹴ったり、愛したり 壱屋すみ先生

■踏んだり、蹴ったり、愛したり

童顔三十路クズ男×バリキャリアラサーOLの、大人のバグった距離感ラブ(?)コメディ!
毎日激務の仕事に追われ、心身共に疲労する日々を送るOL・佳帆には、唯一の楽しみがあった。それは、お気に入りのバーで知り合ったイケメン・泰(あきら)と気兼ねなく飲むこと。
酒、煙草、喧嘩、女遊びetc…付き合ったらアウトな条件満載の泰だが、お互いに恋愛感情もなく、良き友人として関係を築けていると思っていた。 あの夜までは──。
引用元:https://sylphcomics.com/series/fumiai/

勇気を出してお受けしてみてよかった

―今回はインタビューにお答えいただき、ありがとうございます。まずは壱屋すみ先生が漫画家を目指された理由を教えてください。

壱屋すみ:
長らく二次創作メインでそっちの方で漫画を描き始めたのですが、きっかけとしては一枚絵では私が描きたいと思う部分が表現できないことからでした。一枚絵が苦手だったのもそうですが、キャラクターを喋らせたり動かすのが好きだったので自然と漫画を描くようになった気がします。少女漫画もあまり読む方ではなかったのですが読み始めると本当に面白くて、一時期は買った漫画を毎日一冊ずつ読むのが生き甲斐でした。そのくらい漫画というものに惹かれたこともあり、私も創作で漫画を描くようになったと思います。

―創作漫画を描かれていく中で商業デビューに繋がったきっかけを教えてください。

壱屋すみ:
創作漫画を描き始めてから、偶然にもお声がけいただき漫画家になることができました。それまでは正直漫画家になるなんて思っても見なかったので、初めてメッセージを頂いたときは本当に驚きましたし、「私にできるのかな…!?」と不安の方がずっと大きかったのでお受けするかかなり悩んだ覚えがあります。今では、勇気を出してお受けしてみてよかったなと心から思っています。

―確かに最初の一歩は勇気がいりますよね...!創作漫画を描かれていたとのことですが、最初はどのような作品を描かれたのでしょうか。

壱屋すみ:
初めて描いたオリジナル漫画は、pixivにもある『お砂糖と珈琲の馴れ初め話』でした。これをきっかけにまともにコマ割りやトーンを貼って描いた漫画を描き始めたと思います。この二人が初めて作ったオリジナルキャラなのですが、私が一人でめちゃくちゃ楽しくなっちゃって「この二人が付き合うまでの流れを描きたい!!!」と勢いのまま始めました笑。描き方も禄に知らない状態でしたが、ネットでコマ割りなど調べながら見様見真似で描いてみると、想像よりずっと多くの人に見ていただけて、自分のオリジナルキャラが誰かに「かわいい!」といってもらえるのが本当に嬉しくて頑張ってました。

仕事から離れて休む、たくさん寝る、やりたいことをやる

―作品について触れる前にパーソナルな部分についてお伺い出来ればと思います。まずペンネームはどのようにして決められましたか。

壱屋すみ:
休むのが大好きなので「ひとやすみ」から「壱屋すみ(いちやすみ)」に決めました。

―大好きなことをペンネームにされるのは良いですね!続いて、時期や他案件との兼ね合いでバラツキはあると思いますが、大体の執筆スケジュールを教えてください。

壱屋すみ:
めちゃくちゃに作業が遅いのでお恥ずかしいのですが、大体一ヶ月~一ヶ月半で一話を描いています。プロット・ネームを一週間ほど。下書き・線画・仕上げまで一ヶ月くらいです。

―ありがとうございます。各工程において、ネタを考えたり構図を考えたりと悩みのタネは出てくるかと思います。そんな時のリフレッシュ方法・対処法など何かありますか。

壱屋すみ:
とにかく仕事から離れて休む、たくさん寝る、やりたいことをやる、が多いです。休みは自由に決められる仕事ですが、私は定休日を作っています。この日はどれだけやばくても絶対に休む!と決めると休みやすくてよかったです。在宅ワークでなかなかオンオフを切り替えるのが難しいので、そこをしっかり分けられるといいなと思います。

―漫画家は職業柄なかなかオンオフ切り替えにくいと思うので、定休日をきちんと設け休むサイクルにするのは大事ですね。その際、他のコンテンツに触れてインプットされることもあると思いますが、何か取り組まれていることはありますか。

壱屋すみ:
正直あまりコンテンツに触れるほうではないので、最近枯渇してきたな…と感じてから色々見ることが多いです。溜まってた漫画を読んだりアニメを見たり……あとは自分が何に萌えるかを考えることもあります。漫画を描くにあたってフェチってめちゃくちゃ大事だと思ってるのでなるべく具体的に持っておきたいのですがなかなか難しいです…笑

―ありがとうございます。自分が何が好きか何に萌えるか改めて見直して突き詰めて表現すると読者にもその魅力が伝わると聞いたことがあります。インプットの話の流れで、他の漫画家さんから学生時代の経験が役立つことがあると聞きますが、例えば壱屋すみ先生視点で、学生時代にこんな経験すれば...こんなことを知っていたら創作表現にプラスになったかなと思うことはありますか?今、漫画家を目指す学生さんの参考になればと思います。

壱屋すみ:
昔から基本的に外で遊ぶのがあまり好きではなく家にいたので、経験不足はやっぱり痛いな…!と思います。例えばですが、遊園地で遊ぶなどは定番のネタではありますが、やっぱり直接しっかり楽しんでないと、どういうアトラクションでどういうリアクションをするかとかもわからなかったりして。何気なく友達と遊ぶだけでも、創作に活かせるものだな~と今では思います。とはいえ今からでもできることはたくさんあるので、今は昔よりはなるべく経験できそうなことは経験するようにしています。

第一読者である担当さんが感じた違和感はきっと読者も持つ違和感

―ここからは作品についてお伺いできればと思います。まずは『踏んだり、蹴ったり、愛したり』を描かれたキッカケを教えてください。

壱屋すみ:
『踏んだり、蹴ったり、愛したり』は元々趣味で描いていたものを連載した形なのですが、最初は「ちょっと悪そうな男を描いてみたい」、「BLで見かける対等な立場の二人組を描きたい」と思って五百森泰(いおもり あきら)と久栖佳帆(くすみ かほ)というキャラクターを作りました。同性カプの力の差がほぼなく対等に友人の距離で恋愛をしている二人に当時すごく惹かれていて、どうにかこの距離感を男女二人組で再現できないか…!?と思ったのがきっかけです。なので五百森泰という人を作ったあと女性のキャラクターをどうするか悩んだときに、悪い男にも噛みつけるような人が良いと思って久栖佳帆になりました。

―登場人物の皆さん魅力的でしたが、特にメインキャラクターの久栖さん・五百森さん・加瀬さんの性格やビジュアルで意識したポイントを教えてください。

壱屋すみ:
元々シンプルめなビジュアルの男性が好きだったので、五百森泰はザ・王道の黒髪マッシュですが、ギャップが大好きなので童顔だけど三十路で治安が悪いから特徴としてピアスや指輪を目立たせました。
久栖佳帆はザ・いい女なので、前髪をあげさせて大人っぽく、強気な美人を目指しました。
加瀬晴揮は泰さんとは逆の王道として、まさに少女漫画から出てくるような爽やかイケメンを目指して作りました。
性格はキャラデザをしながら考えています。例えば、泰さんは最初ざっくり「悪そうな男」というテーマだけ持ってイラストを描いて、描きながら「この人こういう性格っぽい!」と思ったものをそのまま設定にしています。また別に、最初に描いた漫画の『お砂糖と珈琲の馴れ初め話』のキャラは逆にテーマも何もない状態だったのですが、一番最初に描いたイラストでなんとなくコーヒーカップを持たせた絵を描いて、「女の子は甘党っぽい、男の人はブラックが好きそう」と思ったのでそれを設定にして漫画を描き始めました。私の場合、キャラデザと設定をわけると乖離しがちなので、描きながら思ったことを設定としています。
また、私は対極な二人組が一緒にいるのが好きなので、泰さんと佳帆さんのように悪い男といい女、超甘党と超無糖、のように真反対にすることで「なんでこの二人が一緒にいるの!?」というのを楽しみにしています。

―確かに対極な二人組がいると印象に残りかつ今後どう絡んでいくのか気になりますね。設定に関連して『踏んだり、蹴ったり、愛したり』に出てくる登場人物の名前はどう決められているのでしょうか。

壱屋すみ:
名前は名づけサイトから、キャライメージと照らし合わせて意味やイメージを連想して気に入った名前を付けてます。名字は、なるべく現実にいそうでいない名前が好きなので、珍しい名字を探して主観で雰囲気に合うものをつけています。

―ありがとうございます。久栖さんは漫画作品のメインキャラクターとしては珍しい?喫煙者になります。要素として盛り込んだ理由は何かございますでしょうか。

壱屋すみ:
悪い男の泰さんと、いい女の佳帆さんの共通点として喫煙者にしました。二人が対等に小突き合いながら関わり合うには佳帆さんを完璧なお嬢様にしすぎると難しいなと思ったので、ちょっと口が悪くて喫煙もする女性にしました。あと単純に私がタバコっていうモチーフがめちゃくちゃ好きでした。

―私もタバコのアイテム好きです!対極な二人組にしつつも、どこか共通点を持たせたほうが関わり合う違和感は少ないかもですね。好きといえば第5話のようなショッピング回をはじめオシャレな服装が個人的に好みなのですが、何か参考にされているのでしょうか。

壱屋すみ:
Pinterestというサイトを一番よく見てます!普段からチェックして、キャラに似合いそうな服を見かけると保存するようにしています。あとは担当さんに言われてファッション雑誌も見るようになりました。雑誌の方は、普段着として着る服ではなく魅せるためのモデルとしての服も多く、目立たせたいカラーイラストなどを描くとき参考になります。

―そこからインプット、壱屋すみ先生のアイデアなどが加えられオシャレな服装が描かれているのですね。他にも作品内では服装に限らず、キャラクターの背景などに可愛らしいトーンや動物系キャラが活用されている印象ですが、使うポイントなどはありますか。

壱屋すみ:
動物のトーンは可愛くて好きなので多用しています!笑。なんとなく砕けた印象を作りやすいので、ゆるっとした雰囲気にしたいときによく使います。

―作品内容にもよると思いますが、たまに砕けたシーンがあるとそのキャラクターの意外な一面性やより魅力が引き立つような印象です。
壱屋すみ先生自身もいろいろ創意工夫しながら執筆されていますが、担当編集者の方と作品を作り上げていく中で気をつけていることはありますか。

壱屋すみ:
ネーム修正で提案をいただくことが多いのですが、客観的に考えてみて正しいと思ったものは自分の考えとは少し違ってもそのまま受け入れています。 第一読者である担当さんが感じた違和感はきっと読者も持つ違和感だと思うので、直すときにちょっと違うんだよな~と思ってても、完成したら結果的にいつも良くなっててびっくりしてます。
どうしてもしっくりこないものの場合は、「なぜそう言われているか」を考えたり聞いたりして、頂いた案の要素を盛り込んだ上でしっくりくるように考え直しています。「とりあえずこういう要素を盛り込んでさえいればどう変えてもいいだろう!」みたいな…笑
担当さんが必ず良くないものは良くないと気づいてくださる方なので、安心して描くことができています。

―安心できる信頼関係とても素敵です!今までのアドバイスで印象的なことがあれば是非教えてください。

壱屋すみ:
18話は泰さんと佳帆さん両方の心情がとても大事になる回だったのですが、最初のネームを出したときに私の中では筋が通っているはずが、第三者に伝わらないネームになっていました。アドバイスを頂いて、佳帆さんの感情とセリフをもっと直接的に、泰さんの心情をわかりやすくするために最初の1~2Pを追加することで、二人の感情について私自身にも伝わりやすくなって、最初はなかった加瀬くんのシーンを追加できたりして、演出としてもよくなったなと思っています。

―担当編集者の方と一緒によりよい作品に作り上げていく姿、大変勉強になりました。ありがとうございます。
最後に漫画家を目指されている方に対して、応援メッセージをいただければと思います。

壱屋すみ:
描きたいものがあるということが本当に素敵なことだと思います!どうかその気持ちを一番大切に、描きたいものや好きなものを目一杯詰め込んで、まずは自分自身が一番楽しくなれるような漫画を描いてほしいなと思います。漫画が大好きなので、この世に描く人が増えることが嬉しいです。いつかお目にかかれることを楽しみにしています!




■シルフ創作カップル漫画大賞

『シルフ』がWEB化して初めて開催する大型漫画賞!
主役級のキャラクターが2名いるオリジナル作品ならテーマは自由。爽やかな青春、ビターな恋愛、ホラー、ファンタジーetc…キャラクター同士の掛け合いや関係性の魅力が発揮されている、個性豊かな作品をお待ちしています。「このキャラは、こんなタイプのキャラと一緒にいる時が一番輝く!」そんな推しカップルへの想いを表現してください。
応募期間は2023年11月1日(水)~2024年4月30日(火)まで。
グランプリ賞金100万円&全員講評など、その他の特徴や応募方法は特設サイトをチェック!

特設サイトはコチラ
URL:https://sylphcomics.com/award/couple/

■乙女のためのWEBコミック、漫画家募集中!!

シルフ編集部 漫画家 募集

プロ・アマは不問。年齢、性別、作品のジャンルも問いません。 胸がキュンキュンするような【オリジナル作品】を、小説・ゲーム等を原作とする【コミカライズ作品】を、一緒に作ってくださる方を、編集部一同心よりお待ちしてます!!

募集ページはコチラ

■各種リンク先

壱屋すみ先生 公式X(旧Twitter)アカウント
シルフ編集部 公式X(旧Twitter)アカウント
シルフ編集部 公式サイト



記事制作協力:シルフ編集部