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コラム
2021年11月30日

漫画家の約9割がデジタル制作。半数以上は3Dを活用 ―漫画家実態調査アンケート―


マンナビでは、漫画業界で活躍されている漫画家の皆様にデジタル制作などに関するアンケート調査を実施しました。2017年の第1回調査時から4年をおいて2回目となります。当時と比べると、パソコンに限らずiPadやスマホでも漫画制作が出来るようになり、漫画家が活躍できる媒体もマンガアプリやWEBサイトにも広がるなど大きく漫画を取り巻く環境が変化しました。本記事では調査結果より、この4年間で漫画家の皆様の制作環境がどのように変化したのか、確認していきたいと思います。
今回は出版社などに所属する編集者の方から担当漫画家の方への依頼に協力いただき、またTwitterでもアンケートを募った結果、計723人の方からご回答いただきました。ご回答いただいた漫画家の皆様は勿論、お繋ぎいただいた編集者の皆様やTwitterでRTや引用ツイートなどで拡散していただいた皆様に御礼申し上げます。


アンケート基礎情報
有効回答:723人(編集者経由159人、Twitter経由564人)
収集方法:出版社や編集プロダクションなどに所属する漫画編集者へ直接メールで協力依頼。および、マンナビ公式Twitterにて募集。
・性別/年代

性別年代


◆漫画家の活動はより多様化


Q1 商業活動について(択一選択)


現在、作品の発表方法が多様化しているため、このアンケートでは、商業活動の経験なし(同人活動のみ)、という回答も一つの漫画家の形として計上しています。商業・同人共に活動なしの場合は有効回答として計上していません。



Q2 同人活動の経験(択一選択)


同人活動について経験がある漫画家は583人(80.6%)、連載中の方に絞った場合でも322人(77.4%)と、多くの方が今までに同人活動に関わった経験があることがわかりました。



Q3 作品の主な漫画形式(択一選択)


韓国をはじめとした海外で勢いがあるWebtoon(縦スクロールマンガ)ですが、今回の調査では5.4%という結果にとどまりました。今後どのように変化していくか注目です。



Q4 時間をかけている主な活動(最大3つまで選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

Q2において、過去を含めると80%の方が同人活動の経験があるという結果でしたが、Q4では34%の方が現在も同人誌即売会に参加しているという回答でした。その他の同人活動に分類できる選択肢も加えると、それ以上の割合の方が何らか同人活動を行っているようです。


◆約9割がデジタルメインで漫画制作、スマホやタブレットも活用


Q5 マンガ制作時のデジタル使用状況(択一選択)


「全てデジタル」は2017年時は57.8%でしたが2021年時は59.9%と2.1%増加、「全てアナログ」は2017年時は4.6%でしたが2021年時は3.3%と1.3%減少した結果になりました。また、2017年時は「一部デジタル」という回答だったものを「概ねデジタルだが、一部アナログ」「概ねアナログだが、一部デジタル」と細分化したところ、デジタル制作の比重が大きいことがわかりました。


年代別でみても、どの世代でも8割以上がデジタル制作メインということがわかりました。



Q6 漫画制作で使用している機器(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

iPadが2番目に多い結果となり、iPhoneやAndroidスマートフォンなども使用されています。2015年以降、漫画制作アプリの充実やモバイルデバイスの処理能力向上もあり、漫画家の制作環境も変化していることがわかります。iPadを使用して制作している人の割合が42.1%と多いことが目を引きます。



Q7 描画に使用している入力デバイス(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

2017年調査時と比べ、液晶タブレットがプラス19.9%、板タブレットはマイナス22.6%と、板タブレットから液晶タブレットに環境がシフトしていることがわかりました。
※液晶タブレット(OSあり)の一例:Wacom MobileStudio Proなど
※液晶タブレット(OSなし)の一例:Wacom OneWacom Cintiq 16など



Q8 デジタルで制作している工程(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

2017年調査時と比べて概ね各工程でデジタル使用率が増加しました。特に3D処理が42.6%から65.5%に、ネームが55.8%から70.8%に、下書きが70.5%から86.3%に増加しています。



Q9 漫画制作で使用しているペイントソフト・アプリ(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

CLIP STUDIO PAINTは2017年調査時の76.1%から95.7%と大きく増加、ComicStudioは33.9%から5.2%と大きく減少しました。2番目にはPhotoshopが利用されていることがわかりました。



Q10 漫画制作で使用している3Dツール(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

74.1%の漫画家が3Dツールを使用しています。背景や小物などに3Dデータを使用することで作業を効率化できるため、デジタルでの制作では3Dデータが活用されています。



Q11 ブラシやトーンなど漫画制作で使用する素材の入手先(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合



Q12 デジタル制作を始めた理由(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

「品質向上/やり直しが効く」「スピードアップ」「コスト削減」というデジタルならではの利点以外に、2017年調査で13.1%だった「納品が便利」が50.9%に、また5.2%だった「遠隔地で仕事をするため」が28.5%と大幅に増加していることから、昨今の環境の変化に対応するためにデジタル化が進んでいることがうかがえます。



Q13 デジタル導入後の作業時間(択一選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

「最初からデジタルだからわからない」というデジタルネイティブの漫画家の割合が、2017年調査時の13.3%から20.5%に増加しました。



Q14 デジタル制作のメリット(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合

デジタル制作を始めた理由と同様、効率化につながる回答が多い結果となりましたが、2017年調査で10.0%だった「入稿が楽」が70.0%に、16.3%だった「アシスタント確保が楽」が19.7%と、制作面での効率化以外にもメリットを感じるケースが増えていることがわかりました。



Q15 デジタル制作のデメリット(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合



Q16 デジタル制作でわからないことへの対処法(複数選択)

※ %の数値は回答者全体における回答数の割合



Q17 デジタル制作への課題(テキスト回答)

最後に、デジタル制作についてのご意見をいくつかご紹介します。

●アシスタントによって知識差が激しい
・ソフトの知識が人によって差がありすぎて、主にアシスタントさんの能力が測りにくい
・デジタル作画をしている人同士でも知識の差が激しすぎる事。デジタル作画をしている人にアシスタントを頼んでもあまり効率的ではないやり方で作業をしていて逆に自分でやった方が早い時がある。パソコン慣れをしていないひとや自分で効率化を考えてない人ほど便利な機能や拡張性のある機能(自作素材など)を勉強しようという意識がないので教えることも難しい。アナログ時代よりもそういう部分で知識共有の意識が低い気がする。

●デジタル制作の初期費用について
・ソフト、パソコンをそろえるのにお金がかかる
・初期投資が高い。在宅アシスタントをする時、設備や電気代や通信費に対するお金を払ってくれる様な雇用主は少ない。

●漫画原稿サイズ・テンプレートについて
・各媒体で原稿サイズが絶妙に違うのである程度統一してほしいところですね
・原稿サイズ(トンボなど)が会社で違うのが気になる。


いかがだったでしょうか。今回は723人とたくさんの漫画家の皆様からご回答いただきました。ご回答いただいた漫画家の皆様をはじめ、担当の漫画家へお繋ぎいただいた編集者さま、Twitterでのアンケートで関係者や漫画家の方への拡散等ご協力いただいた皆様に、改めて感謝申し上げます。集計結果に関するご質問、ご要望などございましたら、こちらまでご連絡ください。前回から4年を経て改めて実施したこの調査で、漫画家の活動や環境の変化などが少しでも参考となれば幸いです。

調査協力:マスケット合同会社

2021年の実態調査アンケート結果はこちら
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2017年の実態調査アンケート結果はこちら
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