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ノウハウ
2025年1月30日

MAEDAX式 苦手がなくなる漫画背景 アイレベルとは


※株式会社幻冬舎コミックスより許諾をいただき、『MAEDAX式 苦手がなくなる漫画背景 ~即戦力の漫画背景シリーズ~』の一部内容を再構成・掲載しております

■ はじめに 「背景アレルギーを克服しよう」

漫画背景を学ぼうと思っても、何から手を付けていいのかわからない人。とりあえず教則本や動画配信サイトで勉強してみて、なんとなく背景が描けるようになったものの、自分が描いた背景に違和感を覚えてしまう人。そうした人たちの中には、辛い気持ちのまま背景を描き続け、背景アレルギーになってしまった人も多いのではないでしょうか。そんな人たちの不安を解消し、背景への苦手意識をなくしたいという思いからスタートしたのが「初級講座」という背景作画講座です。僕が塾長を務める漫画背景専門の作画塾「アシスタント背景美塾」にて、2013年より開講。火曜日から木曜日の平日、日中の開催、けっして安くはない受講料にもかかわらず、オンデマンド講座や授業内容を収めたDVD-BOX版も合わせると、のべ5000人以上の方に受講いただきました。「背景を描くのが楽しくなった、好きになった」という反響を多くいただく中で芽生えた「もっとたくさんの人に『初級講座』のエッセンスを届けたい」「背景を好きになってもらいたい」という思いから生まれたのが、本書『MAEDAX式苦手がなくなる漫画背景』です。背景の苦手意識は、パースの知識や作画の技術よりも、その使い方、考え方に潜んでいます。「教則本を何冊も読んだけど、それを自分の漫画にどう活かしていいのかわからない」「一度つまずいてしまうと、どうしたらいいかわからなくなってしまう」という声をよく聞きます。多くの教則本は、技術・技法についての解説がメインで、なかなかその使い方の部分までカバーできていないような印象を受けます。

本書では、パースや背景に関する基礎的な知識をお伝えしつつ、多くの人が素通りしてしまっている、そして苦手意識の種となっている背景の捉え方、技術の使い方を重点的に解説しています。ある程度、背景を学んできた方の中には、知識・技術の解説について、自分が知っているものとは異なると感じる方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、これまで学んできたものを優先していただいても構いません。けれど使い方の部分では、きっと刺激になるものがあるはずです。新たな学びだけでなく、みなさんの持つ知識や技術が、より活かせるようになるというのが、本書の特徴のひとつです。これから背景を学んでいこうという方に向けては、本書を読んでいただくことで、背景について学んだ際の理解度が向上することを意識しました。他の教則本、解説動画などに触れた際、これまで以上に「なるほど!」と思えるようになれば、もっと背景が好きになれるはずです。「キャラクターを描くのも、物語を考えるのも楽しい。けれど背景は苦手」という人も多いかと思います。そんな人の苦手がなくなり、背景も楽しんで描けるようになれば、きっともっと、あなたの漫画は面白くなるはずです。

アイレベル (第1章 立方体からパースを体感する より)

●「アイレベル」という言葉が混乱を招く

「アイレベル」という言葉がよくない!「アイ」なんて入っているものだから、つい人の目の高さ、キャラクターの目の高さにアイレベルがあると考えがちです。アイレベルは「カメラはどの高さにあるか」ということ。カメラは目の高さからはもちろん、低い位置からも、高い位置からも撮ることが可能です。みなさんは、カメラマンとして自分が描きたい絵は、どの位置から見た景色なのかを考える必要があります。

■ 目の高さにアイレベル

● アイレベルはどこまで行っても同じ高さ

ちょうどキャラクターの目の高さにカメラがあるとしてみましょう。アイレベルはカメラの高さ、ということはキャラクターの目はアイレベル上に描かれることになります。この絵の中であれば、どんなに画面の奥に行っても、逆に手前に出てきたとしても、同じ身長のキャラクターの目はアイレベル上に描かれるということです。

● アイレベルは高さの基準

この絵の中では、アイレベルはキャラクターの目の高さにあります。ドアの上枠は人の目より高いですよね。つまりアイレベルより上。どんなに遠くのドアだったとしても、アイレベルより低く描いてはいけません。キャラクターの方がドアより大きいことになり、ドアに頭がぶつかってしまいます。

● 違う身長のキャラクターが出てきたら

遠くても近くてもこの絵の中では、アイレベル上にはキャラクターの目がある。それが理解できたのならば、自由にキャラクターを移動させることができるはずです。でもそれはキャラクターの身長が同じだからでは? 違う身長のキャラクターが出てきたらどうしたらいいでしょうか。女の子のキャラクターを追加してみましょう。女の子の身長を、もともといた男性キャラクターの肩あたりと設定します。男性キャラクターの目の位置は、どこにいってもアイレベル上、自由に移動させることができます。女の子を描きたいところに、男性キャラクターを描いてみる。そのあと肩の高さに合わせて女の子を描いてみて、男性キャラクターを消してしまう。そうすることで、違う身長のキャラクターも自由に移動させることができます。

■ 低い位置にアイレベル

● スケール感を考える

カメラは低い位置に置くこともできます。僕は猫ちゃんが大好きなので、猫の目の高さにカメラを置いてみましょう。アイレベル上、どこまでいっても猫の目の高さは変わりません。アイレベルから、この絵のスケール感を考えてみましょう。地面から猫の目までを30センチと考えてみると、絵の中に高さの基準が生まれます。路地裏に置かれたゴミ箱は、70センチくらいでしょうか。アイレベルを2 倍した60センチに10センチを足す。次にお店の入り口に210センチのドアを描いてみましょう。アイレベルの上に180センチを足す。だいたいの比率でかまいません。

● 猫を移動させる

キャラクターを自由に移動させられるのであれば、ものや動物も同じように動かすことができるはずです。基本的にはキャラクターのときと何も変わりません。猫を移動させてみましょう。アイレベルは猫の目の高さなので、画像の奥に移動しても、手前に移動しても、猫の目はアイレベル上に描かれます。

■ アイレベルの見つけ方

● 描きたい構図からアイレベルを見つける

漫画の主役はキャラクター。みなさんが、描きたいようにキャラクターをぽんぽんぽんと置いたとき、そこからアイレベルが導き出せると構図を考えるのが楽しくなっていきます。では自由に描いたキャラクターから、アイレベルはどうやって見つければいいのか? キャラクターの目の高さにアイレベルがあったとき、画面の手前にいるキャラクターも、奥にいるキャラクターも目はアイレベルの上に描かれていました。それと同じように、キャラクターのどのあたりが、画面の前後で一直線になっているかを確認してみましょう。下の図だと胸あたりが一直線。そこにアイレベルがあるということです。普段、私たちが読んでいる漫画や目にするアニメ、映画、CMなどの映像は、カメラが少し低い位置にあることが多いのです。アイレベルを人の目の高さで考えてしまう一番の弊害は、その構図があまり描かれることがないということです。頭の中に描きたい構図があるのに、アイレベル=目の高さと勘違いしていると、キャラクターと背景がチグハグな変な構図が生まれてしまいます。

■ アイレベルとは


・アイレベルは高さの基準になる
・アイレベルは自由に設定できる
・キャラの一直線になるところにアイレベルがある


■MAEDAX式 苦手がなくなる漫画背景 ~即戦力の漫画背景シリーズ~


プロの漫画家も受講する、アシスタント背景美塾の「初級講座」。平日開催&数万円の受講料にもかかわらず、延べ5,000人以上が受講してきた超人気講座の内容を1冊にギュギュッと凝縮! 背景作画の本も読んだ、パースの本も読んだ…それでも「背景を描くのが苦痛だ!」というあなたの「苦手意識」をあぶり出し、まるっと解決。背景を描くのが楽しくなれる1冊です。

詳細はコチラ

■書誌情報


『MAEDAX式 苦手がなくなる漫画背景 ~即戦力の漫画背景シリーズ~』
著者アシスタント背景美塾MAEDAX派 塾長MAEDAX
定価:2,420円(本体 2,200円+税10%)
電子書籍版定価:2,420円(税込)
仕様:B5
ISBN:9784344855281
発売日:2025年01月30日(木)
発行:幻冬舎コミックス
発売:幻冬舎

【紙の本】
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【電子版】
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■丸善ジュンク堂書店にて、トークイベントも開催!


イベント名:「MAEDAX式 苦手がなくなる漫画背景 ~即戦力の漫画背景シリーズ~」刊行記念 特別講座「本書の活用法」
日時:2月9日(日)14:00~15:30
会場:ジュンク堂書店池袋本店
登壇者:アシスタント背景美塾 塾長MAEDAX
※オンライン視聴チケットもあります。
チケット購入・イベント詳細ページはこちら
https://online.maruzenjunkudo.co.jp/products/j70019-250209