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コラム 2019年11月8日

紙からWEBへ、神尾葉子先生が『花のち晴れ』で見せる継続と挑戦

(C)神尾葉子/集英社

大ヒット少女漫画『花より男子』の新章『花のち晴れ~花男Next Season~』をWEB雑誌「少年ジャンプ+」に連載中の神尾葉子先生に、媒体の違いによるストーリーや構成の工夫、デビューから現在までの経緯や長く第一線でマンガを描き続けるコツについてお伺いしました!

取材日:2019年7月30日
インタビュー:神尾葉子先生 / 担当編集・藤田 恭介さん

Profile:神尾葉子
東京都出身。『はたちのままで待ってる』でデビュー。1992年から連載した『花より男子』が空前の大ヒット。第41回小学館漫画賞を受賞した。
現在は「少年ジャンプ+」で『花より男子』の新章となる『花のち晴れ~花男Next Season~』を連載中。

『花のち晴れ~花男Next Season~』
https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049550198
「少年ジャンプ+」
少年ジャンプの人気マンガ家による新作や歴代ヒット作が毎日無料で読める本格マンガ雑誌サービス。
https://shonenjumpplus.com/

 

「少年ジャンプ+」の連載は、無料で面白いものを読んでもらえるチャレンジだと思いました。

 

―「少年ジャンプ+」という新しい媒体で『花のち晴れ』の連載をすることになった経緯を教えてください。
 
神尾 半年間休みました。初めてこんなに長く休んで、今までできなかったことを楽しんでいましたが、それも最初だけで。元々ワーカホリックな人間なので何かやらないと不安になってきたりして。そんなときに「少年ジャンプ+」の編集部が立ち上がって、副編集長さんから「一緒に仕事をしませんか?」と声をかけていただきました。

そのときは「少年ジャンプ+」に掲載するマンガを描くということについて、正直迷いました。無料でマンガを見せるということは、今は当たり前のように広がってきていますけど、当時(2014年)はまだ業界的にも抵抗がありました。

もちろん、無料で読めるから単行本を買ってもらえないという心配はありましたが、反対に無料でもすごく面白いものを読めると思ってもらえるというチャレンジでもあるなと思ったんです。

「少年ジャンプ+」は読者層も幅広いため性別にかかわらず、男女どちらの目線でも描ける媒体だということも魅力を感じました。少女マンガのような恋愛主体のストーリーではなく、学校同士の争いなど『花男』でできなかったことができる環境だということもあり、挑戦してみることにしました。それから半年くらいかけて準備をしました。

『花のち晴れ~花男Next Season~』
大ヒット作『花より男子』(花男)の終了から9年、満を持して登場した新シリーズが『花のち晴れ~花男Next Season~』。『花男』のメインキャラクターが卒業してから2年後の英徳学園が舞台。新世代の主人公・江戸川 音(おと)と神楽木 晴(ハルト)を中心にストーリーが展開する。2018年にテレビドラマ化もされた。

 

―主人公のふたり、晴(ハルト)と音(おと)について、キャラクターを作る際に考えたことを教えてください。

神尾 晴は完全無欠とはほど遠い、ヘタレでカッコつけという、少年マンガの主人公をちゃんと描こうと思いました。本当の自分はダメなんだけど、大きく見せたいとか、誰かに憧れているとか、その年頃の男の子にはあると思うんです。今(単行本14巻現在)は、だいぶ成長してちょっとかっこよくなってきてしまいましたけどね(笑)。
音の方は、男性から見てかわいく感じる女の子じゃないといけないなと思いました。それが難しくて、できているかちょっと心配ですが努力しているところです。


―ストーリーを考えるときに気を付けていることはありますか?

神尾 「少年ジャンプ+」の読者の方がそれを望んでいるかはわかりませんでしたが、『花男』と同じように、ちょっと起こりえないファンタジーな設定の中で、でも“恋愛感情はリアルに描く”ということを少女マンガのときと同じように考えています。


―WEB雑誌と紙の雑誌の連載で違いを感じること、意識されていることはありますか?

神尾 紙の雑誌でも意識する点ではありますが、WEBのマンガは紙よりさくっと読めてしまうため、特に連載の「引き」に気を付けています。読者の方が次回の配信を楽しみにしてもらえるような、続きが気になるジェットコースターのような話の展開を心がけています。
WEBマンガは電車の中で読んだり、何かしながら読むということが多いと思うんです。そういうときに読んでも面白いと思ってもらえるマンガにしたいです。

あとは、少女マンガではとにかく華やかな画面にしたいと思って描いていましたが、今の「少年ジャンプ+」は幅広い層の読者さんだったり携帯で読む人が多いので、戻って読んだりするような複雑なコマ割りにならないように、とにかくわかりやすい構成にするというのを一番心がけています。WEBの連載は一度読みにくいと思われてしまうと読まれなくなってしまうと思うんです。


―「少年ジャンプ+」では、隔週20~30Pの連載ですが、どのようなスケジュールで制作されているのでしょうか?

神尾 実は長くマンガ家をやっていける秘訣がありまして、オン・オフのスイッチがあるんです。2週間ある場合、5日くらいマンガについては何もしないで、遊びに行ったり、映画を見に行ったりして、そこからだんだん1~2日でネームをはじめて、打ち合わせや下絵に5日、最後の2日にアシスタントさんに来ていただいて仕上げます。

性格が軟弱なので、ずっと仕事をしていると嫌になってしまうんです。
『花男』の仕事をしているときは、連載のマンガ原稿のほかにカラー表紙やふろくの仕事があったので、同じ隔週連載でもずっと仕事をしているような状態でした。だからずっとやめたいと思っていて…(笑)。

今のWEBの連載では、各回の目安はあるものの、ページ数を自分で決められるんです。20ページ前後で話の進み具合や読み応えを考えて増やしたりします。連載なので、続きが気になるところまで調整して描けるのはありがたいです。


―ページ数を調整できるのはWEBの連載ならではですね。

神尾 それがすごいなと思います。紙の雑誌の場合は1ページの増減でも大騒ぎになるので、今はすごく甘やかされている感じがしなくもないんです(笑)。

担当 WEBの場合は厳密な台割(雑誌の総ページ数・収録コンテンツを管理する設計図)がないのでページ数がある程度自由に決められますが、新人さんの場合は自由度が高いとかえって難しいこともあります。神尾先生はずっと雑誌で描いてきた方で構成力があるので、決まったページに収めようと思えば収められるんです。必要なページかどうかの見極めがしっかりできる方なので、安心してお任せできます。

神尾先生の制作作業環境
マンガのモノクロ原稿は、アナログとデジタルの併用。アナログで線画を描いて、原稿をスキャンしてからComicStudioでトーンなどの仕上げ。
表紙やイラストなどのカラー原稿は、アナログではなくフルデジタルで、線から塗りまですべてCLIP STUDIO PAINT上で行われている。
ペンタブレット:Wacom DTK-2200/K1 Cintiq 22HD

 

心に余裕を持って「無理をしない」のが長続きするコツ

―マンガ家としてデビューするまでに描いた作品やデビューの経緯を教えてください。

神尾 マンガを描こうと思い立った日のことは、今でもよく覚えています。当時は高校生で、すごく暑い日で、「これからの人生をどうやって生きようか」と考えていたんです(笑)。それで、「そうだ、マンガを描いてみよう!」と思い立ちました。それまで、私はマンガを読むのはすごく好きだったんですが、コマを割ってちゃんとマンガを描いたことはなくて。そんな状態で、ネームから仕上げまで1週間で作品を仕上げて、「別冊マーガレット」のマンガ賞に応募しました。

スクリーントーンも網と線の2枚しか使っていなくて、当時のトーンは小さかったので1ページに1箇所くらい貼ってあるようなひどい状態です。今思うと、あれでよく賞が取れたな…という感じですね。


―その後はデビューして連載…と?

神尾 そうです。連載は別マでなく「週刊マーガレット」でした。読み切り二作目くらいで連載が始まってしまい、当時は学生でしたし親にマンガを描いていることを言っていなかったので、週に30ページを描き上げるのは大変でした。学校に行って帰ってきてマンガを描いて…という、連載中は寝ているのか起きているのかわからないようなひどい状態です。
アシスタントさんというのもいないので、姉をつかまえて手伝ってもらっていました。姉にはトーンを貼ってもらっていたんですが、真ん中から使い始めるんです!すごく高いのに!頭にくるんですけど手伝わないと言われたら困るので黙っていました(笑)。

その後、新創刊の「マーガレット」(隔週刊)に移り、2年くらいで『花男』の連載がはじまりました。
当時の担当さんには本当にお世話になりました。


―漫画制作には、様々な工程がありますが、その中で一番好きな工程は何でしょうか?

神尾 作業で好きなのはネームの前段階でお話を考えているときでしょうか。
あと好きなのはペン入れですね。苦しいネームと下絵の段階でどんな構図や絵にするのかは考え抜いてあるので、何にも考えずに、YouTubeのゲーム実況や映画・ドラマを見ながらペン入れをしたりしています。もちろん大事な顔など集中して描きますが、何か耳で聞きながら描くことが多いです。


―アイディアにつまったら何をしますか?

神尾 映画を見たり本を読んだり…、アイディアにつまるというのはネームが進まなくなる状態で、それは話の展開に納得がいっていないということだと思うんです。なので、一回立ち戻って考え直したりします。あとは何もしない(笑)、明日の自分に任せる(笑)。だから、余裕が必要なんです。


―漫画家にとって最も必要だと思うことなど、漫画家を目指す人へ最後にひとことお願いします。

神尾 一番大事なのはマンガを描くことを好きでいること、好きだったら努力を惜しまないし、続けられます。今はマンガ家をやるといっても雑誌に掲載されるだけじゃなくていろんな間口がありますよね。だから自分が楽しめて、お金が稼げたら一番じゃないでしょうか。

自分で考えて作ったものをたくさんの人に読んでもらう、楽しみにしてもらう。こんな楽しい仕事はないなと思うんです。なので、最初は大変かもしれませんけど、途中までではなく、とにかく最後までがんばって描いていただきたいです。


―ありがとうございました!

担当さんが語る神尾先生のすごさ

ゲーム、YouTube、Twitterなど、とにかく好奇心がすさまじく、全方位にアンテナを貼り続けているのがすごいなと思っています。常に若いというか、これが長年描き続けている作家さんの力だなと感じています。

 

▼神尾葉子先生がCLIP STUDIO PAINTで描く動画「神楽木晴(花のち晴れ~花男 Next Season~)」をチェック!
https://www.youtube.com/watch?v=6WsBxV1TB1c

 

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