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コラム
2022年12月26日

大注目の「LINEマンガ」のオリジナル作品を連載中!漫画家の練馬ジム先生にインタビュー!

練馬ジム LINEマンガ

話題の人気作品が読める電子コミックサービス『LINEマンガ』のオリジナル作品で、幅広い年代の女性読者から支持を得ている『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(以下、『おっパン』)。練馬ジム先生がジェンダー問題やセクシュアリティな分野に切り込んだ作品で、注目度が高まっている作品です。今回は『おっパン』を描かれた練馬ジム先生(ネーム担当はシシ先輩先生、作画担当はシッチ先生)に作品を生み出した経緯や、ネームと作画と分かれて作業する時に気をつけていることなどインタビュー!読者は勿論、これからマンガ家になりたいと考えている方やネーム・作画どちらかに特化してデビュー目指す方にも参考になることが語られているので、是非ご覧ください。

-本日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございます!早速ではございますが、今作を連載されたキッカケを教えていただけますか?

シシ先輩(ネーム担当):
マンガを描きませんかと打診されたのは同人誌即売会だったと記憶しています。今お世話になっている担当編集者から同人誌即売会でお声がけいただいた後、メールでもマンガを描きませんかと打診されたのがキッカケです。その時はスケジュールが合わなかったのですぐお仕事出来なかったのですが、何回か同人誌即売会まで足を運んでいただき気にかけていただきました。そこでも直接お話させていただいたのですが、BLじゃないマンガを描きませんかと仰ってくださったのが初めてで新鮮な印象を持ちました。丁度、新しい方向のチャレンジもしてみたいというのもあったので、一緒にマンガ制作することになりました。

-何回も同人誌即売会の会場まで足を運ばれたんですね。担当編集者の熱量に惹かれたところも?

シシ先輩(ネーム担当):
そうです。何回も足を運ばれる編集者は珍しかったので、熱量が凄いなと惹かれたところもあります。こんなに気にかけていただけるなんて!と。

-熱量も大事な要素ですよね。そこから連載へと繋がっていきましたが、雑誌の連載とLINEマンガ(電子コミックサービス)の連載の違いや意識されていることなどございますでしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
雑誌の連載とは違ってLINEマンガ(電子コミックサービス)だと1話あたりのページ数が8~10ページと短いです。読者視点だとすぐ読み終わってしまうボリュームなのでより読み応えがあるようにしています。なるべく読者が引っかかるポイント、面白いと感じるポイントなど満足度を意識するようにしています。

-確かに印象に残るよう意識されているのかなという場面が描かれていたと思います。それでは、マンガの内容についてお話移らせていただければと思います。『おっパン』を描かれたのは、元々BLマンガを描かれていたその延長線上としてチャレンジしたという経緯でしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
そうですね。ただチャレンジするにあたって正直不安もあったので、自分が得意としてきた"おじさん"をメインに描こうと考えていました。物語を進めるにあたって、あえて問題を起こしてほしいなと思いコミカルな要素を盛り込み動かしやすいキャラクターというのも意識しました。この作品のテーマでもあるLGBTQにスポットを当てたのは、難しいイメージを皆さん持たれているにも関わらず、一方知らないと世間から怒られるという緊張した空気感があるのかなと思っているんです。そういう風に感じてしまっている方々に対して、良い意味でも少しでも楽に捉えていただけたらという思いからこのテーマにしました。私たちのTwitterのフォロワーや同人誌即売会に訪問してくださるファンの中にもLGBTQの方々がいらっしゃったのでその点も影響がありました。私たちにとっては身近な存在で特別なことではないという感覚があったので、他の方々に対しても伝われば嬉しいなと考えています。

-LGBTQの方は10%くらいいらっしゃる(著者調べ。諸説あり)というシーンが描かれていましたが、確かにその比率だとクラスには3~4人いる計算になります。
描くにあたって、キャラクターには問題を起こしてほしいと仰っていましたが、どちらかといえばマンガの主人公は問題を抱えている子に寄り添うみたいなフラットな存在で描かれることが世間的には多いと考えています。この作品に出てくるおじさんの沖田誠はLGBTQに対して否定的な偏見を持たれていますが、物語を進めるキーマンとしてあえてメインに描かれたということでしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
私自身もまだどうしたら良いのか自問しているところではあるのですが、例えば"身体は女性で心は男性でゲイ"という方みたいに、LGBTQと一括りにしても人によってそれぞれなんです。話をしないと実際その人がどのような人なのかはわからないということがあると考えています。結局LGBTQのことを一生懸命考えたとしても、本人に聞かないとわからないと思うので、あえて突っ込んでいけるようなキャラクターにしたほうが良いのかなと思い、アグレッシブな性格にしました。わからないことはわからないと聞けるようなキャラクターにしたかったです。

-確かにそういうキャラクターの存在って貴重ですよね。こういう問題を起こすキャラクターは描き方を間違えるとただ嫌われる存在となってしまう中々難しい役柄だと思います。昔ながらの考えや偏見を持たれている一方、謝罪したいというシーンなど真面目な部分も描写されたりとバランス良く描かれているように感じました。

シシ先輩(ネーム担当):
そう感じていただけて良かったです。最初は原稿で描いていても「現実世界にこんなおじさんがいたら嫌だな」と辛く感じていたのですが、担当編集者からもっと愛されるキャラクターにしましょうというアドバイスをいただいたのを思い出しました。

-最初の構想段階では、もっと嫌な尖った性格だったんですね。

シシ先輩(ネーム担当):
最初の構想だとかなり尖っていたので、担当編集者からこれでは愛されない、もっと愛されるキャラクターにしましょうとアドバイスをいただいて修正しました。

-これ以上尖った性格だと単純に嫌われる存在になってしまったかもしれませんね。うまく魅力を整えた担当編集者の敏腕ぶりが発揮されたところでもあるんですね。

シシ先輩(ネーム担当):
本当に結構尖らせていたので、今思えばよく止めてくださいました。セクハラの描写も私としては気にしない範囲が広かったので、ネームの段階ではもっと酷いことをさせていたりしました。当初のネームと比べると大分まろやかなキャラクターになったと思います。

-お二人が出会われたエピソードもお伺いできればと思います。どのようなキッカケで出会われたのでしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
私が当時好きなキャラクターを語り合えるような仲間が欲しいなと思っていた時があり、その時アルバイト先の方から友達をご紹介いただいたのがシッチさん(作画担当)でした。絵が上手いと事前に伺っていたこともあり、自分自身でも今思えばなんなんだと思いますが、熱量が有り余ってその好きなキャラクター描いてとお願いしてしまいました。

シッチ(作画):
本当凄く突然お願いされたので当時はビックリしました(笑)ただ、もう10年以上前の話で当時はTwitterとかがなく、個人サイトがメインだった時代だったので、逆に描いてほしいという生の声を聞けて嬉しかった気持ちがありました。

シシ先輩(ネーム担当):
お願いした何日後かに個人のメールアドレスに送ってくれたよね。描いてみたよみたいな。

シッチ(作画):
好きなものを共有する場所だったり、発信するような場所が今の時代みたいに溢れていた訳ではなかったので嬉しくて送りました。

-そこで好きなものを共有する喜びみたいなものがお互い生まれた感じなんですね。

シシ先輩(ネーム担当):
勿論今は段階を踏んで、絵を描くのはお願いするようにしています(笑)

-そこから一緒にマンガ制作するとなるとまた違った話になると思うのですが、どういう経緯で一緒にマンガ制作されるようになったのでしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
一緒に同人誌・合同誌を出そうという機会がありました。私も一人でマンガを描いていた時期があったのですが、絵をいっぱい描くのが大変で絵のクオリティもそこまでではないと正直感じていました。そんな悩みを持っていたことを打ち明けたらシッチさんから良かったら絵を描こうかと提案してくださって、そこから分業体制で同人誌を描くスタイルが出来上がりました。私が将来マンガ家になれたらいいなとぼんやり考えていた時期、シッチさんが仕事を辞めたいと感じていた時期というのが重なったこともあり、私から良かったら一緒にマンガ家にならないかと提案しました。

-マンガ家にならないかと提案され、いかがだったでしょうか。

シッチ(作画):
当時は仕事を辞めたいという感情がとても強かったので、その反動かこんなにマンガを描ける環境にいれるなんてという嬉しさがありました。不安感というよりは、よりマンガを描いてみたいという欲求が強かったです。なので、仕事を辞めた後は一緒にマンガ制作しながらアシスタントもしていました。

-そういった経緯で組まれるようになったんですね。作業はネームと作画で分業体制と伺っておりますが、完全に分けているケースとお互いの範囲も意見出し合うケースがあると思いますが、そのあたりいかがでしょうか。

シッチ(作画):
昔は結構お互いの作業範囲について意見を出し合っていました。でも喧嘩になるので、今は基本的に分業体制にしています。

シシ先輩(ネーム担当):
お互いの作業範囲は分けてますね。それでも意見を貰う時、ネームの場合は私がきっちり主導権を握るようにしています。逆にシッチさんから作画について意見聞かれた時は滅茶苦茶気を遣うようにしています(笑)

シッチ(作画):
そうだね(笑)でもやってみて感じたのは、お互いの作業がどのくらい大変なのかわからないことがどうしてもあるんです。例えば、ネームの時にこのキャラクターの言動を変えたほうが良くないかと提案すると、関連したコマを変えたり描き直ししたりと雪だるま式に作業量が多くなるんです。作画の場合でも同様に、アイテム追加程度ならまだしも、出来上がった後に修正とかになると正直ふざけるなとなってしまうので、お互い言い過ぎないようにはしています。

シシ先輩(ネーム担当):
ちゃんとお互いの仕事に対して、尊敬の念を欠かさないよう、ありがとうの気持ちを持つようにしています。


シシ先輩さんの作業環境(左)/シッチさんの作業環境(右)

-尊敬する気持ちというのは大事ですね。マンガ制作するにあたり、どうしても詰まってしまう悩まれることもあるかと思いますが、その時はどのようにリフレッシュされているのでしょうか。

シッチ(作画):
一番はご飯食べてお酒飲むことですね。手軽でよくやってます。

シシ先輩(ネーム担当):
他には大きい公園で簡易テント張って、マンガを読んだりもします。たまに外で過ごすとリフレッシュできます。

シッチ(作画):
散歩もよくしますね。週に1回は散歩するようにして、遠いスーパーで良いお肉を買って帰ったりしてます。

シシ先輩(ネーム担当):
二人で遠くのスーパーに行くこともあるよね。

-お二人で散歩されるんですね。その時はお互いのネームや作画の話はせずに、他愛も無い雑談をされているのでしょうか。

シシ先輩(ネーム担当):
雑談がメインですね。ただ、仕事の話もします。例えば、私からは前回の作画のこの部分とても良かったとか、良い感想は伝えるようにしています。

-褒め合うようにされていると。

シッチ(作画):
大事なやりとりだと思います。

シシ先輩(ネーム担当):
自分の仕事に対して興味を持たれていないのは悲しいので、ちゃんと興味関心があることは伝えるようにしています。私はシッチさんの絵が好きという前提はあるのですが、たまに不安に感じられることがあるようで。

シッチ(作画):
そうですね。やっぱり、お互い興味があるというのはちょっとずつでも言ったほうがいいのかなとは思いました。

シシ先輩(ネーム担当):
私の方も今回の話面白かったよと言われると凄い嬉しいですね。

シッチ(作画):
そうだったんだ!やっぱりまだまだわからないところもあるね。仕事の話だとどうしても伝えにくいところもありますが、言わないと伝わらないんだというのが改めてわかりました。担当編集者からも完成原稿出した時にこの表情良かったなど感想いただくので、やっぱり感想を伝える行為は大事なのかなとは思いました。

シシ先輩(ネーム担当):
確かに。一時期はちゃんとお互いが読んでいるのか不安になった時期がありました。

-険悪な時期もあったんですね。

シシ先輩(ネーム担当):
思っちゃいましたね。興味ないのかなとか面白くないのかなとか勝手にネガティブに感じてしまうので、そこで嬉しい一言あるだけで安心ですね。コミュニケーションは大事です。

-ご一緒に住まわれているお二人でもコミュニケーションが大事ということであれば、別々に暮らされている方々はよりコミュニケーションを大切にされたほうが良いんですね。ちゃんと絵が上手いよお話面白かったよみたいな。最後にマンガ家志望者と読者に対して、それぞれメッセージをいただければと思います。

シシ先輩(ネーム担当):
マンガ家志望者に対してのメッセージですが、私の場合は一人でマンガを描けないので、既に一人で描ける方は凄いなと感じています。自信を持って挑戦してほしいです。

シッチ(作画):
私からも一人でマンガを描いている方はそれだけで十分凄いので突き進んでほしいという思いがあります。また、ネームしか出来ない、作画しか出来ないという人でも気の合う仲間を見つければ二人組で描く選択肢もあります。今の時代なら仕事をしながらマンガをちょこっと描くというのも出来ると思います。色んな道がいっぱいあると思うので、立ち止まるよりはアクション起こしていった方がいいのかなと思います。

シシ先輩(ネーム担当):
読者に対してのメッセージですが、改めて作品を見つめ直しました。そこで感じたのは、カミングアウトするハードルが下がってほしいなと思いました。『おっパン』を読んで、身近な人にカミングアウトされてもそうなんだと良い意味で気軽に思えるようなったら嬉しいと感じます。あまり身構えず、こういう考えもあるんだと、より身近に感じてほしいなと思います。

シッチ(作画):
マンガなので誇張表現しているところもありますが、世の中には女性・男性・どちらにも当てはまらない・どちらにも当てはまるなど色んな人や考え方があると思います。皆さん色んな理由があって発言されている方がほとんどなので、自分自身も相手に嫌な言葉をかけることがないよう気をつけたいですし、一方的な攻撃が世の中からなくなればいいなと思っています。みんな色んな考えを持って生きているんだなということにちょっとでも触れていただければと思っています。

-本日は貴重なお話を伺うことが出来ました。ありがとうございました!





■おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!

沖田誠48歳。世間の常識・偏見で凝り固まった彼には“最近の若者”が理解できない。上司にお茶を注がない女性、メンズブラ愛用の部下、そして可愛いものが好きな息子…。そんなある日、ゲイの青年・大地と出会う。初めてのセクシュアリティに思わず拒絶してしまうが、次第に彼の魅力に気付き、友達になることに。そして知る、「その人の趣味や指向を他人が干渉するのはナンセンスだ」と。そう正に、おっさんの履くパンツがなんだっていいように! ──人としての成長を誓うおっさんは、無事“自分の中の常識”をアップデートできるのか!?各所で話題を呼ぶホームコメディ!

おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! 1巻おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! 2巻おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! 3巻

作品URL:https://lin.ee/71qYgEe/pnjo
『LINEマンガ』にて毎週月曜日に連載中


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