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コラム
2021年11月25日

【双葉社/KoiYui】コミカライズ作品担当の編集者が語る!作画に挑戦したい漫画家へ





-原作つきコミックが急増!作画に挑戦したいあなたへ

かつて原作つきのコミックといえば、週刊青年誌に多かったように思います。私も過去に週刊誌の編集部に在籍していましたが、ショートや四コマ以外の週刊連載の担当作のほとんどが原作付きでした。原作と作画にそれぞれ締め切りがあり、原作が上がってきたら漫画家さんはすぐにネームに入り、作画を進める。その間に原作者は次話のシナリオを書く…もちろん原作が数話先行していることが理想ですが、なかなか理想どおり行かないもので、常にギリギリだったことを覚えています(私自身は紙の雑誌畑を離れてからずいぶん経っているので、かなり古い記憶です…)。

一方で、昨今急増しているのは漫画用に描き下ろされた原作ではなく、異世界ものや女性向けなど、既存小説のコミカライズです。今回はこの、既存小説のコミカライズの作画に焦点をあててお話してみたいと思います。





-作画ってコマが割れて絵が描ければOKなの?

漫画の仕事がしたい、でも物語を作るのが苦手、という方も多いのではないでしょうか。実際、デビューはしたものの話作りがうまくいかないので、原作付き作品の作画を担当したいと漫画家さんからご連絡いただくことも多々あります。

もちろん小説コミカライズのお仕事は小説の内容を漫画に落とし込むということなので、そういう方に向いているお仕事だとは思います。ですが、他者が書いた完成された作品をひとつの漫画作品として昇華させるということは、そう容易なことではないことも覚悟しておいていただきたいところです。

小説をそのまま頭からコマに落とし込んでいく、これでは「漫画」にならないということは想像できるでしょうか(そもそも「そのまま」落とし込むのであれば小説を読めばいいわけで、漫画にする意味がないですね)。

それでは「漫画にする意味」とはなんでしょうか。文字情報を絵で視覚化し、読者の想像にゆだねられていた情景や登場人物の姿――表情、髪型から服装までを視覚化すること。そして漫画ならではのテンポでストレスなく読めること…などなど。当然ですがすべてを文字で表現する小説と、絵と文字(セリフ・モノローグ、ナレーション)で表現する漫画ではテンポも読者が想像する量も異なります。

漫画表現と小説表現の違いを挙げるとキリがないですが、例えば「腰まで伸びたストレートの黒髪。まっすぐに切りそろえられた前髪からは大きな瞳がのぞいていた」みたいな容姿を説明するの文章は、そのシーンに黒髪ロングで前髪ぱっつんの女の子が居ればもう説明は不要です。一方で、小説でセンテンスのあと1行空いて、次の行の冒頭が「翌日。」と始まればもうその1行で1晩過ぎていることが分かりますが、漫画では時間経過を表現するコマが必要になります。

その他、小説を漫画化するときによく困ることの一つとして、「場面転換なしの会話劇が長い」ということがあります。たとえばカフェで座っている2人の人物がひたすら会話しているシーン。つまりセリフはあるけれど絵替わりがまったくないシーンです。こういうシーンを漫画でストレスなくテンポよく読ませるためには、カメラワークのバリエーションが必要になってきます。これ、意外と難しいです。もちろんそのシーンの要点を抑えつつ長くなり過ぎないようにする工夫も必要ですし、人物のヨリヒキ、俯瞰、アオリ、窓の外の景色、グラスを持つ手、飲み物を飲む口元…いろんなところにカメラワークを動かしながら会話を進めていく必要があります。そういう構図や演出のバリエーションをストックしておくことが重要です。




漫画家を目指すみなさんは、なにか面白い小説を読んだ時、自然に脳内でキャラクターを生成し、動かしているのではないでしょうか。それは一般の読者の方でも同様ですが、特に原作付きコミックの作画担当を目指す方には、その脳内再生を意識的に行って欲しいと思います。教室の窓から見える夕焼け空にはどんな雲が漂っているのか、親友と好きな子が被ったけど口に出せないときの主人公の表情はどんな風なのか、そのときの心情描写に要するコマの間は、通常の会話の間とどのくらい違うのか…そんな絵作りをしながら小説を味わってみるといいかもしれません。そういう習慣が、いざ小説をコミカライズするときの漫画の演出に役立つのではないかと思います。





-原作と作画のマッチング、どこを見ているの?

基本的にコミカライズする小説を決めてから漫画家さんとマッチングしています。そのマッチングについてよく質問を受けるので、ここでも少し触れてみたいと思います。

どういう面に着目して原作と作画をマッチングしているか、というと、第一は醸し出す雰囲気が合っているかどうかです。上手い上手くないよりも、雰囲気が大切だと思っています。私たちの編集部で制作した作品のうち、作品の雰囲気と作画を担当された方の雰囲気が特にマッチしていたと思っているのは「liar」(袴田十莉/原作もぁらす)「Perfect Crime」(月島綾/原作梨里緒)「オオカミ王子の言うとおり」(上森優/原作ももしろ)あたりでしょうか。



第一は雰囲気、では第二は…? 急に現実的になってしまいますが、コンスタントに一定量の原稿仕上げつつ長期連載に耐えられるか。これがとても重要なことです。ですので、原作の総量(長さ)とその分量のお仕事が可能な作家さんであるかどうかという点は重視しています。完成した小説という、あらかじめ全体像とゴールが見えているものが原作である以上、連載期間は最低でも半年、1年以上のものが大半となります(月刊連載の場合です)。一般的な文庫本1冊の分量の小説をコミカライズすると、よほどの改変やエピソードカットを行わない限り、最低でも紙のコミックス3~4冊分くらいの分量になります(わかりやすいようにあくまでざっくりと言っています)。コミックス3冊分を月刊連載するとなると、どのくらいの期間になるか…これは各作家さんの月産量によって変わりますが、いずれにしろ結構な長期連載になることはお分かりいただけると思います。

連載、それも長期連載は体力も集中力も必要です。原作があるとはいえ、小説を読み砕いて理解し、漫画作品として演出するのは大変な作業です。逆に言えば今後の漫画家人生の中で必要になっていく漫画の演出力や連載への対応力の練習にもなるわけで、間違いなく良い経験になるでしょう。





-作画を担当するにあたって覚悟しておくことは?

マンナビさんから、作画を担当するにあたって覚悟しておくことは? という質問をいただきました。大前提として仕事を完遂する覚悟が絶対条件ですが、もう少し具体的で現実的なことを聞かれているのだと思うので、二つ挙げておきます。

一つ目は金銭面でのお話です。オリジナルの漫画であれば、電子配信のロイヤリティ、紙の印税はすべて漫画家さんに入りますが、原作付きの場合は、原作者さんと漫画家さんでそれらを分配することになります。その上で長期連載、多めのページ数(電子コミックの場合は雑誌形態のもの以外は台割があるわけでもないので、1回の配信のページ数は多ければ多いほど良いです)となるので、アシスタントさんをお願いする必要も出てくるかもしれません。そういった意味でオリジナルで読み切りを描くのとは違う苦労が出てくる可能性もあります。ただし、電子コミックでは紙の雑誌で描くのとは違い、配信した作品の売り上げに応じてロイヤリティが支払われるので、人気に応じて金銭事情は変わってきます。

二つ目の覚悟すべき点は、編集者とマンツーマンで仕上げていく通常のオリジナル作品と比べると、キャラクターデザイン、ネーム、まれに完成原稿でも修正(リテイク)が多く発生する可能性がある、ということです。これは原作者の意向を確認しながら進めるためで、コミカライズの過程において担当編集者と原作者がチェックすることになるからです。

原作者にも「こだわり」があり、原作となった小説はその人の生み出した「大切なもの」です。私はコミカライズの際には原作者さんに必ず「作品を大切にお預かりする」と言っています。原作者さんの想いが詰まった小説を、より多くの人に知ってもらい、楽しんでもらうために丁寧に漫画の形にしていくということをお伝えてしています。

「丁寧に漫画の形にする」と言っても小説を頭からそのまま漫画するのではない、ということは先に述べました。しかし、原作者さんの中には「こだわり」が大変強い人もいらっしゃいます。主人公の髪型はこれにしてほしい、とか、このエピソードは絶対入れてほしい、とかここだけはセリフを変更しないで欲しいなどなどリクエストが来ることが多々あります。もちろん、それが漫画の作法に合わない時やどうしてもテンポが悪くなる場合などは編集者が前もってそれができないことをご説明していますが、原作者が譲れない部分はできる限り活かすようにしています(もちろん全く口出しせずすべてお任せします!という原作者さんもいらっしゃいます)。

 昨今では電子コミックで配信した作品がTVドラマ/アニメ化したり、紙のコミックスにもなって重版を重ねたりと次々とビッグヒットが生まれています。特に女性向けと異世界ものの小説コミカライズは間違いなく今勢いのあるジャンルです。厳しいこともたくさん書いてしまいましたが、ぜひチャレンジしてみていただければと思います。当編集部でも現在、新人賞とプロアマ不問の作画コンテストを開催中です。あなたのご応募、心からお待ちしております!!





■漫画コンテスト情報
KoiYui新人賞
締切:2022年3月31日
少女〜女性向けボーンデジタルコミックレーベルKoiYuiで初の新人賞を開催!!入選以上は即デビュー決定!! その他、受賞に届かなかった人でも有望な投稿者には積極的に担当がついて作品作りをサポートいたします!プロの漫画家を本気で目指す皆さん、たくさんのご応募をお待ちしております!
KoiYuiコミカライズコンテスト
「S彼氏上々」「オオカミ王子の言うとおり」といった大人気作品の原作を手掛けるももしろ氏の書きおろし小説「雲上男子が少々あざとい」の第1話を漫画化してご応募ください!

KoiYui編集部では、常時持ち込み&投稿を募集しています!
少女漫画・ヤングレディース・原作つきコミカライズなどの漫画家さんを大募集!プロアマ不問、他ジャンルで執筆されている漫画家さんも大歓迎です。
●完成原稿、過去作品、同人誌など、いずれの形でもOKです。 ネームのみでも受付可能ですが、絵柄の分かるものを同封してください。
●過去作品での持ち込みの場合は、現段階での絵柄がわかる人物カットなどを。 二次創作の場合は、オリジナルの絵柄が分かる人物カット等を添えてください。
●ページ数に制限はありません。
持ち込みなどの詳細は下記をご覧ください。
https://www.futabasha.co.jp/KoiYui/mochikomi.html

※本記事は双葉社コンテンツ事業部様より寄稿していただきました