縦スクロール漫画の教科書：Chapter1　コマの使い方

スマホの普及に伴い、新たな読み方として注目されている縦スクロール漫画（Webtoon）。従来の右から左に読み進める形式ではなく、上から下へと読む形式となります。漫画アプリやWEBコミックサイトなど通じて、作品に触れた方も多いと思います。
ただ新たな形式のため、縦スクロール漫画を描くにあたり、制作ノウハウがまだまだ少ない状況です。今回は『縦スクロール漫画の教科書　プロに学ぶ構図・着彩・演出の基本&上達テクニック』に収録されている制作ノウハウを５つ、１ヶ月ごとに公開させていただきます。より詳しく縦スクロール漫画を学びたい勉強したいクリエイターは『縦スクロール漫画の教科書　プロに学ぶ構図・着彩・演出の基本&上達テクニック』をお手にとってみてください。

縦スク漫画は画像が流れることから映像に近い性質を持ちますが、「漫画」であるかぎりコマの役割も重要です。スクロールを意識したテンポのよいコマ割りをしましょう。

縦スクロール漫画のコマ割りは大胆に！

コマ間を空けることで得られる効果
縦スク漫画でコマ間の長さを調整すると、さまざまなシーンの演出で効果が得られます。
実際の縦スク漫画でよく使われるコマ割りの具体例を見てみましょう。

左：場面転換
前シーンから間隔を空けることで、場面の切り替わりを示す。
中央：情景描写
コマ間のスクロールを生かして、スムーズに心理描写や回想へと移行。
右：タメやヒキ
コマの間を大胆に空け、次の展開へのタメやヒキをつくる。

大ゴマは画面から出てもOK
縦スク漫画における大ゴマは、見開き漫画で半～１ページをダイナミックに使う感覚と似ています。実際に読まれるときは画面に収まりきらなくてもOKという気持ちで、大胆に縦幅のスペースを使いましょう。

TIPS キメゴマは１画面分を意識
バトルの決着シーンやホラーのハイライトシーンなど、見せ場となるようなコマは、読者に強く印象づけたいところです。縦スク漫画のキメゴマは、スマホ１画面分にほぼ収まり、キャラや状況がどうなっているのか把握できるように見せましょう。

基本的なコマの使い方

フカンから入っていくパターン
物語の導入や新たなシーンの始まりでは、まず物語が展開する舞台を提示してから、キャラを動かしていくのが基本です。まずはフカン（俯瞰）の構図による広い視点からスタートし、徐々に視点を狭めていくことで設定→状況の順に情報を得られ、導入がスムーズになります。

コマの大・中・小はシーンに応じてバランスよく使い分けを
基本的なコマの種類は「大ゴマ」「中ゴマ」「小ゴマ」の３種類に大別できます。それぞれのコマの特性を踏まえつつ構成を練りましょう。

テンポを生み出すコマの使い方

コマのカットインを生かす
映像を見ているかのようにスクロールさせることを意識して、縦に長く連なる絵や背景を下地とし、その上からカットインの要領で小ゴマを配置しましょう。縦スク漫画ならではの独特な演出やテンポ感が生まれます。

キメゴマへうまく誘導
ここぞという表情などのキメゴマは、絵をよりダイナミックにする、直前にヒキを入れるなど、ネーム段階でメリハリをつける工夫をしましょう。

記事制作協力：株式会社サイドランチ／株式会社エムディエヌコーポレーション

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