マンダンラジオ出張掲載版#1 漫画家はコミュ障でも良いのか!?
■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ
漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2018年10月20日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!
安藤正基:
僕が安藤正基と申します。一迅社の月刊ComicREXで『八十亀ちゃんかんさつにっき』という名古屋を舞台にした4コマ漫画を連載しています。以前、その漫画の主人公である八十亀ちゃんが名古屋市の観光文化交流特命大使というキャラクターに選ばれました。
ちると:
それもだけど『八十亀ちゃんかんさつにっき』で驚いたのは教科書に載ったよね。
安藤正基:
名古屋市の中学校で使う社会科の授業の副読本に4コマを載せさせてもらいました。まさか俺の漫画が教科書に載る日が来るとは。
【八十亀ちゃん教科書に載る!】名古屋市立中学校の全生徒に社会科の教科書として配布される郷土の歴史を学ぶ副読本「ナゴヤ歴史探検」に、八十亀ちゃんの描き下ろしパラレル4コマを3本描かせていただきました。
— 安藤正基?⑩巻5/27発売! (@aichidoughnut) April 13, 2018
こちら一般にも販売されますので気になる方は是非!https://t.co/94ahT6pJLA pic.twitter.com/U2VpY7R2cm
ちると:
俺も将来的な目標だねそれは(笑)
安藤正基:
あなたの自己紹介もしてくださいよ(笑)
ちると:
はい、少し前まで『とっても優しいあまえちゃん!』っていう漫画をKADOKAWAで描いていましたちるとと申します。他にも同人誌とかで今度コミティアで『白魔導師シロップさん』を出そうかなと思ってます。今、連載準備中です。(2018年10月時点)
-漫画家はコミュ障でも良いのか
安藤正基:
ということで「漫画家はコミュ障でも良いのか!?」っていう話。どういうことかというと、恐らく漫画家って部屋に籠って1人で作業しているイメージが多いじゃないですか。
ちると:
まぁ大体はそうだね、イメージ。
安藤正基:
となると「じゃあ、俺でもなれるんじゃね?」となるじゃないですか、世のコミュ障たちは。
ちると:
そう思うでしょうね。俺も正直、そういうイメージで入ってきた節はありますね。
安藤正基:
学校というコミュニティであまりうまくいかなかったから、現代社会に放り出されるのが怖くて。ちょっと絵が描けるから漫画家なら人と関わらなくても良いでしょという浅はかな考えで、自分も目指し始めた節はある訳ですよ。
ちると:
浅はかだったね~
安藤正基:
浅はかだった。そう思いますか?
ちると:
ただ単のコミュ障だと難しいよねとちょっと思いますよね。
安藤正基:
コミュ障にも程度があるからね。喋れるタイプの人見知りと喋れないタイプの人見知りがいるじゃないですか。
ちると:
めちゃくちゃわかる。
安藤正基:
頑張れば喋れる人を装えるコミュ障と、もう片方は見たまんまの本当に頑張っても無理というコミュ障。ちるとさん、わりとコミュニケーション上手な方?
ちると:
俺、自信を持って言えるのがあって、やろうと思ったときに最初だけ強いタイプですね。面接とか一回きりの人脈には強い自信があります。でもそこから義理とかが積み重なってきて、付き合いが長ければ長くなるほど弱体化していきますね。
安藤正基:
上手い人はまず浅い付き合いから始めるってことだよね。距離感が正しいというか、自分の中で分析してちゃんと接するようにしている印象。ただ、我々のようなコミュ障はわからないから全員に同じテンションでいって、疲れちゃうかもしくは向こうに必死感が伝わって離れてしまうという。
-漫画家はコミュ障だと大変!
安藤正基:
結論から言うとコミュ障だと大変っていう。
ちると:
だろうね。
安藤正基:
なぜかというと大前提として、漫画家はアシスタントを雇わないといけないんですよ。アシスタントさんは黙ってても背景描いてくれるマシーンではないので、ここをこういう感じにしてほしいんですけどというのを言わないといけないんですよ。絵というものを伝えるのって、すごく難しいんですよね。かといって、伝わり過ぎるようにこっちがラフをしっかり描くのは意味がないじゃんという。それで口で上手く、なんとかという漫画に出てきたあれに似た感じとか、そういう語彙力で伝えていかないといけない。そういう点で、コミュニケーションできない人間はここで血を吐いてしまうんですよ。
ちると:
連載始まったら、急にそのフィールドに乗せられるからみんな苦労すると思う。
安藤正基:
今はアシスタントさん雇っていない作家さんも多いけどね。もう1個あって、担当編集とやりとりしないといけない。担当編集とは打ち合わせで、漫画の次の話とかを相談する訳じゃないですか。こういう話にしたいんですけどというのを事細かに伝えないと他人には自分の考えが伝わらない訳ですよ。だから、相手が伝わっているのか伝わっていないか汲み取らないと打ち合わせがぐちゃぐちゃになる。
ちると:
なるね。
安藤正基:
それでいざネームにして描いたら、こういう感じになったんですかこうじゃないんですがとなって、描きなおされてタイムロスが出ちゃう。だから、コミュニケーションをとれない人ほど、そういうところで時間とられちゃって苦労しそう。全くなくても、漫画描くのが天才的なら、いつかこれでOKですになるかもしれないけど、我々みたいな凡人漫画家はちゃんと打ち合わせして、ちゃんと意見の擦り合わせをしないと、永遠ネームを描きなおすはめになっちゃう。なので、それが出来ないと漫画家って厳しい。
ちると:
だろうな。やっぱり色々考えているんだけど、あったに越したことなさすぎる。天才にコミュ力あったほうが強いだろうと単純に。
安藤正基:
そうそうそうそう(笑)天才にコミュ力あったらもうそれで勝てない。
ちると:
なくていいことは逆にあるのか、というのを考えちゃう。なんか、端から自分の世界を構築できるぐらいじゃないと自分の中の世界を構築できるぐらい。でもやっぱり、コミュ力ない人は気の合う担当を頑張って探さないといけない。そこに比重がかかっている気がする。
安藤正基:
本当に担当編集とのコミュニケーションの相性って一番大事だと思っている。
ちると:
こっちから合わせられる人はいるけど、編集の中でも合わせられない人がいる。コミュ力ある人は多くの担当の種類扱えるけど、そうじゃない人はこういう担当がいないと合わないという人がいて、それに見つかるまではコミュ力ない人は頑張らないといけない。
安藤正基:
そうなんだよね。ただ、結局コミュ力ない人の方が多くの編集さんとぶち当たらないといけないという本末転倒な感じだよね。
ちると:
コミュ力ある人はある程度の担当を対応できる気がする。相性が多い。
他にもサイン会の裏話やデジタルアナログ作画の描き心地の違い、最近注目している漫画の話や出版社パーティの話などもありますので、是非アーカイブをご覧ください!
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■出演者
MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊10巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載中。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。
ゲスト漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。
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