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イベント 2017年2月15日

【イベントレポ】ラノベとマンガ、最強編集者対談(1)媒体の垣根を越えなければ「読者」は増やせない

漫画持ち込み・投稿・新人賞ポータルサイトのマンナビ編集部は、株式会社ストレートエッジ代表取締役・三木一馬さんと、株式会社集英社JBOOKS編集長・浅田貴典さんの対談イベントを開催しました。参加者をサイト立上げのクラウドファンディング出資者と、マンガ編集者に限定したクローズドイベントです。会場いっぱいの来場者、その約3分の1が副編集長クラス以上という濃密な空気のなか行われたトークイベントの模様をお送りします。

 

[登壇者プロフィール]

三木一馬(みき かずま)さん

徳島県出身。上智大理工学部を卒業後、旧メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。01年に電撃文庫編集部に配属されると『灼眼のシャナ』をはじめ数多くの作品を担当。売ったライトノベルの部数は6000万部を超え、ライトノベル業界のカリスマ編集者として知られている。14年に電撃文庫編集長に就任後、16年4月1日にエージェント会社「ストレートエッジ」を設立。代表作『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』など

 

浅田貴典(あさだたかのり)さん

集英社ジャンプ j BOOKS編集長。集英社ジャンプ j BOOKS編集長。1995年に集英社に入社し、週刊少年ジャンプ編集部に配属。『ONE PIECE』(尾田栄一郎)、『ZOMBIE POWDER.』『BLEACH』(久保帯人)、『Mr.FULLSWING』(鈴木信也)、『アイシールド21』(稲垣理一郎、村田雄介)、『タカヤー閃武学園激闘伝―』(坂本裕次郎)、『切法師』(中島諭宇樹)、『P2!―Let’s play pingpong!』(江尻立真)の立ち上げに、担当編集として携わる。 他に漫画雑誌「ジャンプSQ.」創刊立ち上げ、電子書店「ジャンプBOOKストア!」開設に尽力。現在は書籍の部署に所属し、小説「NARUTO秘伝小説シリーズ」などの立ち上げ等を指揮している。
ジャンプ j BOOKS HP→ http://j-books.shueisha.co.jp/
ジャンプ j BOOKS twitter→ https://twitter.com/JUMP_j_BOOKS

 

エージェントとしての存在感を高めるストレートエッジ

イベントではまず、三木一馬さんが、KADOKAWAから独立して起業したストレートエッジとそこでの新たな取り組みについてお話しをされました。

「これからはレーベルや雑誌にすべての選択を委ねるのではなく、作家に寄り添いコンテンツに委ねていくべきではないか」というのが三木さんの考え方です。

現在ストレートエッジでは電撃文庫などで活躍するこれらの有名作家の先生方に加えて、著名イラストレーターとのエージェント契約を結んでいます。(イベント後の1月28日には、『俺を好きなのはお前だけかよ』のブリキさんも加わったことが三木さんのTwitterで発表されました)

 

J-BOOKSの挑戦――ノベライズから出版の未来のカタチを探る

 

続いて、週刊少年ジャンプで「ONE PIECE」など数々のマンガ作品を生み出し副編集長も務めた集英社の浅田貴典さんが現在の取り組みを紹介してくれました。浅田さんはJ-BOOKSというレーベルの編集長としてジャンプのマンガ作品のノベライズをはじめ、TVアニメのコミカライズやオリジナル小説など様々な取り組みを進めています。

J-BOOKSは「マンガ、アニメ、映画のファンがさらに喜んでくれるカタチで情報を届ける」という考え方が中心にある、と浅田さんはいいます。そのため、ただ単行本を作るだけでなく、「もとの作品に完全に寄り添う」という考え方のもと、例えば宣伝施策として毎回アニメの放送終了にあわせて、ノベライズ作品のTwitter告知をするなど工夫を凝らしています。

漫画作品のノベライズ小説では、書店のマンガコーナーにノベライズ小説の陳列を働きかけたり、オリジナル小説では、想定読者にあわせて各書店チェーンの配本をきめ細やかに傾斜させたりなど、地道な努力を続けているそうです。

「これからはコミカライズありきがデファクトになる」と浅田さんは言います。作品に触れるきっかけが小説からという読者は少なくなっていき、コミックがその入り口になる、というわけです。マンガと小説がWin-Winになるようなスキーム・組織作りに浅田さんは取り組んでいくと決意を示しました。

 

媒体の垣根を越えなければ「読者」は増やせない

 

出版社を離れクリエイターに寄り添うエージェントとして活躍する道を選んだ三木さん。一方で、出版社のなかでジャンプという強力なレーベルと連携しながら、ノベライズ・コミカライズという手法を確立しつつある浅田さん。ここからは好対照な二人のやりとりを中心にイベントは進行します。

三木:社交辞令抜きで浅田さんをめちゃくちゃ尊敬しています。僕は出版をある意味諦めた人間で、媒体での勝負から敗走したんです。媒体依存では新しい読者を増やす、という取り組みが自分ではムリだと思ったからなんです。

媒体に依存しなければ読者を増やすことができる、とは思っています。とはいえ、読者という定義もいまは曖昧になっており、紙や電子書籍の特定の媒体を読んでいる人を『読者』だと仮定すれば、それはなかなか増えないと思うんですね。切り売りされた作品をネット媒体で読む人は増えていますが、それはおカネを払っていない人が大多数なんです。彼らも『読者』とカウントするなら、メチャクチャ増えている。ただし、おカネを払う人は減っている……というのが現状です。

そういう風に考えると媒体に固執していると、自分のやり方的にこれからも苦戦を強いられると思って、敗走した。ところが浅田さんは媒体の偉い人でありながら、他の媒体ともうまく組もうとされているわけです。


(イベントで示されたJ-BOOKSの新潮社との取り組みの1つ)

浅田:それは僕がそういう性格だからとしか言いようがないですね(笑)

三木:浅田さんがJ-BOOKSに移られてからというもの、週刊少年ジャンプになぜか小説が載っていますからね(笑)。逆に言えばなりふり構わずというか、媒体の垣根を越えてのコンテンツの売り方、プロモーションをどんどんやっている姿勢が素晴らしいなと思っています。

【イベントレポ】ラノベとマンガ、最強編集者対談(2)いまの若い編集者に必要なのは「集中できる環境」へ続く

※ 文:まつもとあつし、編:マンナビ編集部

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