マンダンラジオ出張掲載版#6 漫画家とアシスタントの関係
■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ
漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2019年1月20日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!
安藤正基:
ゲストは僕の師匠で緊張していますが...荻野純さんです!
ジャンプSQ.で「γ -ガンマ-」というマンガを連載されていたときに僕がアシスタント1年半ぐらいさせていただいた時の先生です。
荻野純:
はいこんばんは~
安藤正基:
今回はアシスタントは漫画家に絶対服従なのか?というトークテーマでやりたいと思います。正直今でも荻野先生にはビクビクしていますが(笑)
荻野純:
やっぱりね、色々な命令をしないといけないからね。×のところを黒く塗れとか、やれトーンを貼れとか(笑)
安藤正基:
荻野先生の職場は今時珍しいフルアナログで漫画制作されているんですよね。ローソンとかで売っている筆ペンを大量消費しながら塗っていた記憶があります。
荻野純:
あれローソンでしか売っていないんだよね。
安藤正基:
あの筆ペン塗りやすかったですよ。ずっとアナログのときは呉竹の筆ペンで塗っていたので、こういうのでも塗ってよかったんだと。
荻野純:
今やもう存在しない文化だけど(笑)
安藤正基:
荻野先生の絵を見てもらえばわかると思いますが、めちゃくちゃキレイな絵なんですよね。だから、最初デジタル制作だと思っていました。僕はまだデジタル制作じゃなかったので、いい機会だから荻野先生に教えてもらおうとハイテクな職場を夢見たら愛知県のド田舎の部屋で描いてて。パソコンのパの字もないような職場で、アレ!?と(笑)
そもそもキッカケがジャンプSQで僕が活動していたときに荻野先生と担当さんが一緒で、担当さんから「安藤君、名古屋だったよね?名古屋で漫画描いてる漫画家さんがいるから手伝いに行ける?」と電話がきまして。
荻野純:
安藤君は愛知の左側で、僕は愛知の右側の山の方だよね、裏に森がある家に連れてかれて(笑)
安藤正基:
僕の中での荻野先生の作業環境のイメージがガラガラガッシャーンと崩れました(笑)でも、めちゃくちゃ楽しかったです。荻野先生のところで学んだことを僕も自分のアシスタントさんに受け継いだりしているので。
荻野純:
具体的にどういったところを?
安藤正基:
技術面もそうなんですけど、アシスタントさんに対する接し方みたいな。どの漫画家さんもそうだと思いますが、自分がアシスタントしていた漫画家さんのところをマネすると思いますよ。少しイヤらしい話、お金の話とか(笑)
そういえばアシスタント時代、荻野先生に怒られたことなかったかな?僕が気付いていないだけかもしれないですが。
荻野純:
怒るようなことを安藤君がそもそもしていないのと、あと原稿手伝ってもらっているのに怒ったりはしないよ。
安藤正基:
でも、先生側からすると、こういう風にしてほしいんじゃないんだよな~とかないですか?
荻野純:
自分の面倒な作業を一緒にやってくれているんだから言うことないよ(笑)
安藤正基:
荻野先生の漫画は映画を見ているような感覚が強かったというコメントありますね。
荻野純:
ありがとうございます!僕自身が漫画はあまり読まなくて演出の勉強の一環で映画を見たりしているので、そういう風に感じてもらえるのは嬉しいですね。
安藤正基:
荻野先生にいっぱい映画教えてもらいましたからね。僕が逆に映画をあまり見ず、漫画ばっかり見ていたので勉強させていただきました。「ベイマックス」「アメリカン・スナイパー」「シェイプ・オブ・ウォーター」「カリフォルニア・ダウン」とか結構見ましたね。
もう1つコメントがありますね。「同じ先生のもとでアシスタントした漫画家さん同士のつながりはどんな風なんでしょうか。友達的ですとか部活仲間的ですとか単なる仕事仲間的ですとか」。そうですね、荻野先生の現場は僕の母校の大学から派遣された人が多くて先輩がいるんですよね。
荻野純:
しかも安藤君は当時一番年下だったしね。
安藤正基:
僕より後に入られた方でも先輩は先輩なので、基本的には子分的な立ち位置でした(笑)でもみなさん優しくて、僕が入る前からいらしていた相羽紀行さんがチーフ的な方、ムードメーカーみたいな太陽みたいな方でした。
荻野純:
クオリティ面、作業面でもとても助かったよね。
安藤正基:
ただ「γ -ガンマ-」の現場で出会った方とずっと仲が良いという訳ではなかったですね。色んな道に行かれたりして。僕が雇っているアシスタントは元々友達に手伝ってもらっている形で。『片田舎のおっさん、剣聖になる』連載されている乍藤和樹君と『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline』連載されている平野稜二君に基本入ってもらって、バカ話しながらやってもらっていますが。
荻野純:
あの時はまだ安藤君は大学生で、他の人たちは卒業するタイミングとかもあったしね。
安藤正基:
帰りの電車で少し話すぐらいとかでしたね。愛知のド田舎だったので帰るので必死で(笑)打ち上げとかではゆっくり遊んだりしましたけどね。
荻野純:
仲は良かったけど、それ以降遊ぶという感じじゃなくなったのは寂しいところではあるけど。良い関係だったけど割り切った感じ、部活みたいな感じに近いかな。
安藤正基:
アシスタントは漫画家に絶対服従かという話ありますが、荻野先生の職場ではそういうことなかったですね。荻野先生がお笑いが好きで「作業止めても良いからこの面白い番組見て!」とかありましたね(笑)そういうスタンスは僕も真似していますね。作業中に面白い動画とかあったら一緒に見たり、そういう緩い感じは引き継いでいますね。
荻野純:
僕はアシスタントさんに楽しい職場だと感じてほしいから、僕が集中しているときでも楽しんでほしいというのはありますね。
安藤正基:
荻野さんに昔言われた記憶があります。「僕のところで慣れると他のところ大変だと思うよ。他はこんな緩くないから」と
荻野純:
僕も他のところ入ったことあるわけじゃないからわからないけどね。真面目にやっているところがほとんどだと思うよ(笑)
他にも当時のアシスタント時代のエピソードを漫画家とアシスタント双方からの視点で語られています。
是非動画もご覧ください!
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■出演者
MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊10巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載中。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。
ゲスト漫画家:荻野純
コミック百合姫にて「セメルパルス」連載中。過去作には集英社ジャンプSQ.にてヒーローをサポートする地球防衛軍ヒーロー課に勤務する姉妹2人を通して描く英雄譚「γ -ガンマ-」(全5巻)やジャンプ+にて体が透明になる術を身につけた少女の苦悩を描いた「透明人間の骨」(全4巻)を連載。
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