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イベント 2017年2月22日

【イベントレポ】ラノベとマンガ、最強編集者対談(4)コンテンツではなく作家を選んで欲しい

漫画持ち込み・投稿・新人賞ポータルサイトのマンナビ編集部は、株式会社ストレートエッジ代表取締役・三木一馬さんと、株式会社集英社JBOOKS編集長・浅田貴典さんの対談イベントを開催しました。参加者をサイト立上げのクラウドファンディング出資者と、マンガ編集者に限定したクローズドイベントです。会場いっぱいの来場者、その約3分の1が副編集長クラス以上という濃密な空気のなか行われたトークイベントの模様をお送りします。(登壇者プロフィールは最下部)
(1)媒体の垣根を越えなければ「読者」は増やせない
(2)いまの若い編集者に必要なのは「集中できる環境」
(3)出版社の強みは「ミツバチ機能」と「パトロン機能」だ

コンテンツではなく作家を選んで欲しい

三木:昔はあぐらをかいていたと思いますが、今は違います。これからの時代は――理想を言えば選んでほしいという気持ちはありつつも――このご時世、ちょっと話題になると様々な出版社、もしくはそこ以外からも、すぐ声が掛かります。それこそエッセーとかショートストーリーとかTwitterの一コママンガとかでもですね。そしてみんなが商売にしようとする。本当はそこを僕たち出版界の人間が、「いやそっちじゃなくて、こちらへどうぞ」と言ってこっちに来てもらいたいけれども、なかなか選んでもらえない。だからこそ、僕たちもアンテナを高く張り、選球眼を養って、Twitterに網を張り――ということをやらないといけないのかもしれませんが、実は僕はそういう文化があまり好きではなくて……。これからもやらないし、即戦力発掘のためには皆さんもやるべきなのかもしれないけれど、僕は飽き性なので一回そこで発掘したら、また次もってなかなか思わなくて(笑)。そういうのってチキンレースになりますし、その流れで見いだされた才能の2作目が果たして売れるのか、というのも気になります。なぜなら、2作目を保証しない人たちが声を掛けてますからね。それって作家にとっては単なる記念出版になってしまうし、その媒体元にとっても将来的によくない。

本当はコンテンツが美味しいから選ぶんじゃなくて、作家を選んでほしいんです。でも、昨今の飛び道具的な面白さのエンターテインメントってコンテンツでしかみていない。目先の売上、利益を選んでしまう人たちがいるのも否定はしません。でもそれは将来的にこのカルチャーの首を絞めることになるのではないかと思います。そういう意味ではこのマンナビはしっかりと作家をみることのできるマッチングサイトになってほしいな、と思ってます。

浅田:ネット時代の新人って、当たり前ですけど、小説とマンガでちょっと事情が違う、というのはありますね。小説の新人さんは1つ1つの作品を書く労力はマンガに比べると少ない事が多いので、ある程度兼業ができる。働きながら作品を発表して声が掛かるのを待つ、というサイクルが商売としても上手く回っているという面はあります。逆にいえば、兼業してデビューした作家さんに2作目を作りませんか、という流れにならないと1作限りで終わってしまうということになりがちですね。

一方マンガは、作画コストが低いジャンル――簡単に言ってしまうと日常を描くエッセイマンガ系については小説と同じような状況だと思います。これは小説と同じサイクルが上手く回っていると思います。ネットによって「一生に一度だけ生み出せる」タイプの作品が見いだされやすくなったとも言えるでしょう。それは良いことだと思うんですよね。

ただ、作画コストが高いジャンル――三浦健太郎先生のベルセルクなんかは、兼業でやり続けたら30ページ描くのに1年くらいかかっちゃいますよね(笑)。そういう人の受け皿は必要で、やはり先ほど言った出版社のパトロン機能――誰かが才能を見込んでおカネを費やし続けるという作業がないとそういう作家を守れなくなるはずです。そこが機能しないと、小説やマンガにしても制作コストが低い作品で市場が埋め尽くされてしまって、1作品限りの作家さんを次々と消費し続ける、という状況になってしまうのではないでしょうか。これまでのマンガ文化を支えて来たような多様性の有る作品が生まれてこなくなる、という心配はありますね。

三木:そういう心配をどのくらいの読者が共有してくれるのかはわからないですけどね。面白い作品が読めればいい、作家が暮らせようが暮らせまいがどうでもいい、という人が大多数だとは思いますから。

浅田:ただ本当に大切なのは中堅以下の作家さんでも、こちらを目指したら暮していけそうと思えるかどうか、だと思うんですよね。一生の仕事として「漫画家」を選べない、と思われているのではないか。でもそうでなければ突き抜けた作品って生まれない。そこは数も多様性も担保するようにしなければ、という風に思います。

三木:ネット上の才能に声を掛ける=青田買い、は僕もあまり好きではありませんが、否定はしません。そういう商売も大事だと思います。でも、そういう人たちにおこがましくもアドバイスさせて頂くと、「自分の媒体は認識されていない」と思った方が良い、ということですね。つまり、オファーをするときに「自分の媒体が相手に知られている」と思わないで欲しいということです。もちろん文面をコピペして宛先を間違える、なんてもっての他ですよ(笑)。相手は媒体を知らないという前提で、自分の媒体のカラーや戦略をしっかり説明できること。あなたのコンテンツをここで展開したいんだ、だから依頼をした、ということが伝えられないとダメですね。

浅田:たしかにコピペで声を掛けているだろう、ということありますよね(笑)

三木:そこは最低限の話ですけど、媒体に身を置くのであれば媒体とコンテンツについて、しっかり位置づけを明確にした上でアプローチすべきですね。作家もめちゃくちゃ迷って、暗中模索をしているわけなので、そういうプランを持っている編集者って有り難い存在であるはずなんですよ。

 

〓まとめ〓

いかがでしたでしょうか? 出版社を離れた立場から語る三木さんと、出版社の中で意欲的な取り組みを続ける浅田さんのトークは予定時間を大幅に超えて熱を帯びたものになりました。来場した方も熱心にメモを取る姿が見られました。お話しにあったように媒体と新人賞、編集者と作家の関係が変化するなかで、マンナビも次世代を築き上げるような作品が生まれる場として成長していきたい、という思いを強くしました。お二方、そして来場頂いた皆さま、ありがとうございました。

※ 文:まつもとあつし、編:マンナビ編集部

 


[登壇者プロフィール]

三木一馬(みき かずま)さん

徳島県出身。上智大理工学部を卒業後、旧メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。01年に電撃文庫編集部に配属されると『灼眼のシャナ』をはじめ数多くの作品を担当。売ったライトノベルの部数は6000万部を超え、ライトノベル業界のカリスマ編集者として知られている。14年に電撃文庫編集長に就任後、16年4月1日にエージェント会社「ストレートエッジ」を設立。代表作『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』など

 

浅田貴典(あさだたかのり)さん

集英社ジャンプ j BOOKS編集長。集英社ジャンプ j BOOKS編集長。1995年に集英社に入社し、週刊少年ジャンプ編集部に配属。『ONE PIECE』(尾田栄一郎)、『ZOMBIE POWDER.』『BLEACH』(久保帯人)、『Mr.FULLSWING』(鈴木信也)、『アイシールド21』(稲垣理一郎、村田雄介)、『タカヤー閃武学園激闘伝―』(坂本裕次郎)、『切法師』(中島諭宇樹)、『P2!―Let’s play pingpong!』(江尻立真)の立ち上げに、担当編集として携わる。 他に漫画雑誌「ジャンプSQ.」創刊立ち上げ、電子書店「ジャンプBOOKストア!」開設に尽力。現在は書籍の部署に所属し、小説「NARUTO秘伝小説シリーズ」などの立ち上げ等を指揮している。
ジャンプ j BOOKS HP→ http://j-books.shueisha.co.jp/
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