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イベント 2017年2月21日

【イベントレポ】ラノベとマンガ、最強編集者対談(3)出版社の強みは「ミツバチ機能」と「パトロン機能」だ

漫画持ち込み・投稿・新人賞ポータルサイトのマンナビ編集部は、株式会社ストレートエッジ代表取締役・三木一馬さんと、株式会社集英社JBOOKS編集長・浅田貴典さんの対談イベントを開催しました。参加者をサイト立上げのクラウドファンディング出資者と、マンガ編集者に限定したクローズドイベントです。会場いっぱいの来場者、その約3分の1が副編集長クラス以上という濃密な空気のなか行われたトークイベントの模様をお送りします。(登壇者プロフィールは最下部)
(1)媒体の垣根を越えなければ「読者」は増やせない
(2)いまの若い編集者に必要なのは「集中できる環境」

 

ネット時代の新人発掘とマンナビ

浅田:今日はマンナビのイベントということで、そんな中でどうやったら新人と編集者は巡り会えるのか、という話をしなければなんだけど、ぶっちゃけ「好きな作家と仕事していたら、たまたまそうなった」という感じなんですよね。

三木:それはジャンプが凄いって言う――自慢ですか?(笑)

浅田:いやいや(笑)。この作家さんの「この部分」が好きだなあって惚れ切って、でももっとコレがあったら良いのにな、というポイントは常に見つけて提案して、というのが僕のやり方なんですけど。その場合、過去作品のなかで自分が好きなものと照らし合わせているんですね。目の前にあるネームと、自分の指針となる過去作品とを照らし合わせて、なんか違和感がある、それはどこだ? どこだ? と自問自答して、それが自分がスパッと簡単に言い切れる言葉に落ちてきたら作家さんに伝える、それを繰り返してきた感じですね。

三木:なるほど。それ素晴らしいメソッドなんですが、見つけ方、新人発掘という話だとどうですか? やっぱり最強レベルの新人たちから、俺はこの人がいい、という感じで選ぶ? (笑)

浅田:いやいや(笑)。そこは数が重要で、週刊少年ジャンプの場合だと新人賞の数がすごく多いんです。月例賞、手塚赤塚賞や、ギャグ漫画の賞があり、それ以外にも僕が立ち上げメンバーだったストーリーキングというネーム部門と作画部門に分けたものがある。応募作の下読みで「ヒカルの碁」のプロトタイプ「九つの星」に、最初に丸をつけたのを覚えてます。 新人賞をたくさん作り、「枠」を作ることでそこに新人がやってくる。そこは数の力なんですよね。

J-BOOKSでも年3回の定例賞に加えて、ジャンプホラー小説大賞を立ち上げました。それはテーマを示した方が作家さんは書きやすいだろうという話なんです。意外となんでも書いて良いと言われると、ジャンプという名前に引きずられてしまうのか、いわゆるパブリックイメージなジャンプっぽいファンタジー系能力バトルマンガ的な作品が多くなっちゃうんですよね。それだと逆に売りようがなくなってしまう。テーマを絞ることで売り方も明確になる、という一気通貫の流れを作れたとは思っています。

 

出版社には「ミツバチ機能」と「パトロン機能」がある

浅田:いま問われているのは、「なぜ出版社と仕事をしなければならないのか」ということですよね。ひたすら僕はその答えを考えたんですが、まだ意外と出版社は価値があるという風に思ってます。出版社にしかできない機能として「ミツバチ機能」と「パトロン機能」があるんです。

ミツバチ機能とは、当たり前ですが編集者が複数の作家さんを担当しているというのが、良い点なんです。まず新人編集のときにベテランの先生につく。そこで様々な言葉のやりとりがあり、性別・年齢問わず様々なタイプの作家さんの担当をする。そうやってキャリアを積んで、発表された作品に現れない、作家の考えを知ることができます。発表された作品は、実は第4稿かもしれません。第1~3稿は理由があってボツにしているわけです。その部分は打ち合わせをした担当編集者にしかわからない。 作家とのやりとりで「言葉」が蓄積されていくんですよね。それを次の世代の作家さんにお渡しする、そんな作業は編集者というスキルを形作るのにとても有効です。そしてその育成では出版社という枠組みもかなり有効ではないかと。

もう一つの学びは「新人賞」です。新人賞の受賞作以外を見ることはすごく勉強になります。なぜつまらないのと自分は感じているのか? というところを、自分の中で体系化していくという作業が必要。受賞作とそれ以外の差異はどこだ?ということも。比較が有る方が、気付きは得やすいんですよね。それも次世代の作家に伝えていくことになる。

2つめのパトロン機能は、三木さんも仰っていたように売れている作品の収益を、つぎなる原石に対して投資するということですね。例えば尾田栄一郎先生でも、連載まで丸4年掛かっています。その間奨励金をお渡しして研究生として担当編集が付き合い続けたんです。そこも出版社ならではの意義ですよね。

こういった機能があること、そこには意義があることを、各出版社、編集部はもっと言って良いと思うんです。それは作家にとってのこの時代に「なぜ出版社と」という理由になるんじゃないでしょうか。そして、各編集部それぞれが持つ特徴や強みももっと言って良いと思います。僕たちの持つ魅力を伝えて、作家さんに選んでもらうんだ、そうなれるよう自分たちを磨き上げてアピールするという作業が必要だということです。もちろん、誠実に作家に向き合う編集者を揃える、というのが大前提ですが。

三木:同感ですね。あとは新人から選ばれない、新人賞に応募が少ない=原石が集まらないというケースもあると思います。僕はありがたいことに電撃文庫というバリューに恩恵を受け、たくさんの素晴らしい才能と出会うことができました。僕はあぐらをかいていたと思います。

【イベントレポ】ラノベとマンガ、最強編集者対談(4)コンテンツではなく作家を選んで欲しいへ続く

※ 文:まつもとあつし、編:マンナビ編集部


[登壇者プロフィール]

三木一馬(みき かずま)さん

徳島県出身。上智大理工学部を卒業後、旧メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。01年に電撃文庫編集部に配属されると『灼眼のシャナ』をはじめ数多くの作品を担当。売ったライトノベルの部数は6000万部を超え、ライトノベル業界のカリスマ編集者として知られている。14年に電撃文庫編集長に就任後、16年4月1日にエージェント会社「ストレートエッジ」を設立。代表作『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』など

 

浅田貴典(あさだたかのり)さん

集英社ジャンプ j BOOKS編集長。集英社ジャンプ j BOOKS編集長。1995年に集英社に入社し、週刊少年ジャンプ編集部に配属。『ONE PIECE』(尾田栄一郎)、『ZOMBIE POWDER.』『BLEACH』(久保帯人)、『Mr.FULLSWING』(鈴木信也)、『アイシールド21』(稲垣理一郎、村田雄介)、『タカヤー閃武学園激闘伝―』(坂本裕次郎)、『切法師』(中島諭宇樹)、『P2!―Let’s play pingpong!』(江尻立真)の立ち上げに、担当編集として携わる。 他に漫画雑誌「ジャンプSQ.」創刊立ち上げ、電子書店「ジャンプBOOKストア!」開設に尽力。現在は書籍の部署に所属し、小説「NARUTO秘伝小説シリーズ」などの立ち上げ等を指揮している。
ジャンプ j BOOKS HP→ http://j-books.shueisha.co.jp/
ジャンプ j BOOKS twitter→ https://twitter.com/JUMP_j_BOOKS

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