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コラム
2022年6月28日

マンダンラジオ出張掲載版#11 連載漫画が打ち切りになった時の気持ち・考え方




■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ


漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2020年12月27日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!





■ジャンプ+で連載していた漫画が打ち切りに


ちると:
今年も終わりますね~(※2021日12月27日放送時)。
まぁ僕の『先輩!俺の声で癒されないでください!』(ジャンプ+)連載も終わりましたけどね。

安藤正基:
あっ・・・でも大団円という形で連載を締めくくれたということですよね?

ちると:
・・・いや~お疲れ様でした!

安藤正基:
まぁこれを話さずに2022年迎えられないということで...今回のテーマはこちら『打ち切りってどんな気分!?』

ちると:
今回ばかりはね。大人のガチ泣き見れるかもしれないよ(笑)ただ、安藤さんも連載打ち切り経験されていますよね?

安藤正基:
僕も『八十亀ちゃんかんさつにっき』とほぼ同時期に講談社で『ぶんぐりころころ』っていう漫画作品を連載していたんですけど、なんと2巻で打ち切られまして。これは濁りのない打ち切り作品でした。でも、12ページの連載で月1回更新だったから、連載期間としては2年ぐらいはやってましたね。

ちると:
改めて表紙見るといい表紙だけどね。

安藤正基:
めちゃめちゃ頑張ってね。コクヨさんにキャンパスノートのデザイン借りて作ったんだけどね。自分で言うのもアレだけど、結構面白かったと思うんだけどなあ。

ちると:
安藤さんの中でも結構自信を持って出した漫画作品じゃない?

安藤正基:
そうだね。『八十亀ちゃんかんさつにっき』は当時Twitterでバズって連載しませんかとお話をいただいた漫画作品で、『ぶんぐりころころ』は連載会議に出して決まったものだしね。
ただ、なかなか1巻振るわずっていう感じでした。一応重版してもらいましたけど。重版って聞くともう大丈夫感がありますが『ぶんぐりころころ』は最初4桁しか刷っていなくて、重版含めても5桁にならないぐらいの数。

ちると:
世知辛い。

安藤正基:
連載の継続ライン超えていなくて、2巻も1巻の初版よりもさらに少なくなってという感じだから、全然何にもならなかった。でも凄い思い入れはあるし好きな作品だけどね。『ぶんぐりころころ』はちるとさんと考えた作品だったしね。

ちると:
深夜早朝、通話で話したね。

安藤正基:
アイデア帳みたいなのをiPhoneにメモしていて、その中に文房具の漫画があって。これ何か出来ないかなと話したよね。そこから練って無事に連載に。思い入れは凄い強いんだけど、どれだけ熱込めたかって関係ない。

ちると:
そこらへん、やっていくと関係ないってわかっちゃうよね。


安藤正基先生からもコメントをいただきましたネタ出しの対処法についてはコチラ!
漫画のネタ出し・詰まった時の対処法【漫画家調査レポート】





■期待されてるから早めに連載終わる漫画家もいる


安藤正基:
『先輩!俺の声で癒されないでください!』が終わるってなった時、どういう気持ちになった?

ちると:
正直、連載中盤ぐらいからかなり辛かった。ジャンプ+だと売上が出る前に人気がおおよそ分かっちゃう媒体だから。

安藤正基:
閲覧数とかいいジャン数とかね。

ちると:
単行本を発売しました売れませんでしたという感じでいきなり傷つくじゃなくて、じわじわ閲覧数が減るとかが見えちゃうのがあるから、メンタルにきたね。打ち切りになった時は先に読者への申し訳なさの方が出た。4作品目だったけど、今まで長期連載したことがあんまりなくて、読者を振り回してるんじゃないかっていう気持ちが強いかな。俺は作品を早いサイクルで回すのは別にいいんだけど、読者が嫌じゃないかなとか感じた。愛想をつかさないかなって心配でしたね。

安藤正基:
描いている身からすると食べないといけないという。

ちると:
結構難しいのが生活があるからという言い訳があるじゃない?生活があるから連載を続けなきゃいけないというのと、生活があるから連載を終わらせないといけない、どっちもあり得る。

安藤正基:
盲点かもしれないけど、続けることで死んでいく漫画家もいるっていうのがね。

ちると:
打ち切りの面白いところで、部署異動と言われた方がいいときもある。

安藤正基:
我々はアシスタントさんも雇っているので、ぶっちゃけ漫画描くだけじゃ食べていけない。漫画の単行本が売れないことにはっていうのもあるしね。さっきも言ったんだけど『ぶんぐりころころ』みたいに1年半かけて2冊出して部数が数千部とかだと全然食べていけないよね。続けてほしかったと言っていただけるのは嬉しいですし、僕自身も出来る限り続けたくはあったんですけど、2巻でこの部数だと3巻どうなるのみたいな。もう巻き返せなくなる。

ちると:
色んな人がいるとは思うけど、期待されてるから早めに連載終わる漫画家もいると思うの。

安藤正基:
そうだね。この作品続けるよりは、次の作品でもっとという考えね。

ちると:
具体的なエピソードがあるわけではないけど、この漫画家この作品でお金を稼いでという判断なら連載は続くし、この漫画家は実力があるから次いった方がいい時は早めに打ち切りすることもあるよねっていう説。

安藤正基:
打ち切りってネガティブなイメージばかりつきまとうけど、10週打ち切りとか3巻打ち切りとかよくある話だけど、それを続けたらどうなるか。たらればの話になっちゃうけど、そこから大人気になるのは難しいし、なにより漫画家が耐えられないのが大きいと思う。人気が出ていない売れていない作品を続けられる漫画家ってそんなに多くないからね。




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■出演者


安藤正基 アイコン

MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊11巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載中。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。

八十亀ちゃんかんさつにっき 書影八十亀ちゃんかんさつにっき 書影ぶんぐりころころ 書影

ちると アイコン

MC漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。7月16日より『マジメサキュバス柊さん』を連載開始。

マジメサキュバス柊さん 書影白魔導師シロップさん 書影先輩!俺の声で癒されないでください! 書影