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編集長の部屋 2017年5月8日

【編集長の部屋11】BE・LOVE/ITAN 岩間秀和編集長③「世の中に溢れているものに、あえてぶつけていくとはどういうことか、考えてほしい」

トキワ荘プロジェクトのWEBサイトで展開していた人気企画「編集長の部屋」がマンナビへお引越しをしてきました!お引っ越し後の第一弾を飾るのは、『ちはやふる』や『昭和元禄落語心中』などのヒット作で話題の『BE・LOVE』と『ITAN』の岩間編集長です。「何か面白いことをお話しできればいいんですけど」と控えめな岩間編集長でしたが、興味深いお話をたくさん聞かせてくださいました!

世の中に溢れているものに、あえてぶつけていくとはどういうことか、考えてほしい

 

-『BE・LOVE』や『ITAN』では、どのようにして新人漫画家を集めていますか?

90年代~00年代の『BE・LOVE』は新人賞への応募が10~20作品くらいしかない雑誌でした。そして、受賞者該当なしが定番の結果。当時は、新人賞で積極的に新人を獲得することの優先順位が低かったんです。

変わったのは、中里前編集長の時代からですね。きっかけは『ITAN』の創刊。Pixivさんとの共催で新人賞を立ち上げたところ、250作品くらいの応募が来ました。確か、イラスト投稿も受け付けて、それを含めると800通くらいの応募があった記憶があります。まだ『ITAN』創刊前で、誌名が決まっていない頃です。そんな「卵」の段階でも、工夫次第で投稿者の数は増えるし、優秀な作品も多く来る。そのことが分かってから『BE・LOVE』の新人賞にも応用し、結果として応募数はそれまでの倍くらいに増えました。倍と言っても、20作品くらいだったのが40~50作品になったくらいですが、嬉しいことに投稿作品の質も上がりましたね。

あとは、『ちはやふる』や『明治緋色綺譚』など、10代のヒロインで人気を得た作品の影響も大きいです。『ちはやふる』が始まってから、10代の投稿者が増えました。『ちはやふる』のような、主人公が高校生の青春ものでもOKなんだ、と思ってもらえたんだと思います。それまで、新人賞の受賞者の年齢層は30代後半から40代くらいだったのですが、のちに『ケモノみち』を連載する山浦サクさんが10代で受賞した時、2012年ごろでしたが、には、「時代が変わった!」と実感したものです。これは『BE・LOVE』としては画期的なことでした。

-『BE・LOVE』や『ITAN』を目指して来る新人漫画家の傾向みたいなものはありますか?

そうですね。『BE・LOVE』の場合には、既存の作品を意識しすぎているな、と思うことは多いです。日常的な漫画、闘病記のようなものなど、少し前のうちのイメージに寄せてく作品、です。正直なところ、投稿作は『BE・LOVE』の既存作品や誌面のイメージに無理に寄せない方がいいと思っています。もちろん、投稿者の方には応募先である『BE・LOVE』を読んでいてほしいとは思いますが、それよりも自分の武器をアピールしてほしいですね。その個性が『BE・LOVE』の新たなパワーに活性化になりますので。

-『ITAN』の場合はいかがでしょうか?

『ITAN』の投稿者の方は、顕著に「自分なりに自分の好きなものを描こう!」という姿勢が見えますね。ただ、実際には幽霊とか魔女とか狐憑きなど、既視感のある題材・設定が多いです。我々としては、その中で頭ひとつ抜きんでている人が出てきてほしいのです。描きつくされたテーマであれば、その中で圧倒的なキャラクターを描けるとか、誰もが驚くいい意味での裏切りにあふれたストーリー展開をするとか。世の中に溢れているものに、あえてぶつけていくとはどういうことか、考えていただければと。編集部に持ち込みに来てもらえたら、「今、そのテーマを描くのは避けた方がいい」などのアドバイスができますので、ぜひ活用してほしいものです。そうでなければ、誰の足跡もついていない「新雪」に踏み出していってほしいです。

「新雪」の例で言うと、織田涼さんの『能面女子の花子さん』は「新しい!」と思わされた作品です。舞台は普通の高校なのに、女子高生に能面をかぶせるだけでこんなに面白くなるのか、と。実は、織田さんとの出会いは関西コミティアの出張編集部。その持ち込みの作品が4コマ形式の「能面」でした。ご本人はとても姿勢のいいピシっとした女性なのに、なぜこういう漫画を持ってくるのか…というギャップが印象的でした。その後、うちの若手編集者が担当してショートコミック形式に生まれ変わり、見事新人賞受賞でデビュー、そして今や『ITAN』を代表する作品になりました。新しい流れを生む時には、かならず面白い発想の掛け算が存在しますね。能面×JK。JKだけど能面をかぶっている。この方程式は、『ITAN』でも『BE・LOVE』でも、求めていきたいものだと思っています。

「能面」の例でいうと、織田涼さんは自ら能面を彫るくらいに、能にハマっている方です。前出の『ハッピー!』の作者、波間信子さんが「私は漫画界一、盲導犬に詳しいという自負を持って描いている」とおっしゃったことが、今でも記憶に残っていますが、ヒット作が出る背景には、そういった題材への愛着、深掘りが必須だと感じます。それは漫画家さん側だけでなく、編集者側も、です。

-どれくらい新人の作品を載せたいか、といった目安はありますか?

『ITAN』は毎号13作品程度収録しています。今の『ITAN』チーフの考えは別にあるかと思いますが、私自身は3作品程度は新人さんの作品があるといいなあと。36号(2月発売)には新人さんの受賞作が2作品載っているので、できるだけ早期に連載を実現してほしいですね。新人さんの誌面に与えるパワーは、大きいものがありますので。

一方、『BE・LOVE』の場合、読者歴の長い方も多いので、新人作家が馴染むのには時間がかかります。だからこそ、継続的に新人作家さんを起用したいと考えているので、2枠くらいを使って新人作家さんの育成をしていきたいです。ちょうど5月から新人賞出身の森田羊さんの初連載が始まります。『少女マンガはお嫌いですか?』というラブコメなのですが、これがとても面白くて。少女マンガ編集部が舞台なのですが、「そんなことあるかい!」とツッコミを入れつつも、ヒロインの恋の行く末を見守りたくなる作品です。こうした新顔の方の力を、『BE・LOVE』のさらなるの活性化につなげていきたいと思います。

 

一つの作品を、最後まで見据えて描く力を求めていきたい

 

 

-いま新人賞に関して、新しく取り組んでいることや、これから取り組もうと思っていることはありますか?

それほど斬新な話ではないのですが、『BE・LOVE』も『ITAN』も、新人賞は今まで「1話読み切り」を投稿作の条件にしていたのですが、新たに「連載部門」を設けました。やはり漫画は連載、だと思うので、一つの作品を最後まで見据えて描く力を求めていきたいと。自分のキャラクターがどんどん成長していくイメージが投稿者の方にあるかどうか、という点に注目していきたいと思っています。受賞作で即連載、うまく行ったら単行本もたくさん出せるわけですから、ぜひ目指してほしいですね。

あとは、5月末にITAN漫画塾を開催します。これは『ITAN』チーフと新人賞担当者の発案なのですが、以前よりうちの編集部では、少女マンガの編集部のような「マンガスクール」を開いたことがありませんでした。つまり、プロの漫画家さんが投稿者にテクニックを教えるという機会が。雲田はるこさん、田中相さんを講師に、初めて実施します。私も最前列で聴きたいくらいですが、投稿者の皆さんが一番知りたいところ、そしてこちらが求めたいところを、うまく炙り出せる機会になればと思っています。

-一方で、読み切りが掲載される機会が減り、新人が良い読み切りを読む機会もなくなってしまって、読み切りを描く力が落ちている、という話もあります。その辺りはいかがですか?

確かに、以前に比べて、読み切りを苦手とする方は増えたかもしれません。うちも雑誌をたくさん刊行していたときは、読み切り専門の雑誌があり、デビューしてから毎月毎月ひたすら読み切りを描いていただく、ということがありましたが、今は単行本のことを第一に考えるがゆえに、読み切りの機会を設けにくくなっています。そういう意味では、先ほど言ったことと相反してしまうのですが、連載がメインとは言え、マンガ雑誌を読み始める人は読み切りから入るケースがあるので、大事と言えば大事です。ただ、投稿の段階では、構想が膨らんでしまう人は連載で、端的にまとめられる人は読み切りで、と選択肢を用意することで、投稿に対しての敷居を少しでも下げることができたらいいな、と思います。

-昨年、「オトナ少女漫画大賞」をKiss編集部と合同で始められましたが、これはどういった意図があるんですか?

オトナを意識して漫画を描く、ということが投稿者の側にないのでは、と両編集部で考えたのがきっかけです。例えば、恋愛を描くにしても学校が舞台である必要はありません。大人の世界では、舞台は無限に広がっています。そのことに可能性を感じてほしい、と思って始めました。恋愛に限らず、何となく「この雑誌にはこういう暗黙のルールがある」と、ジャンルや雑誌イメージが枷になっている方も多いのではと思い、まずはルールを抜きにして投稿していただきたい、ということを明確に示したかったんです。ですので「オトナ少女漫画大賞」は、実は投稿しやすい新人賞なのでは、と2度実施して実感しました。3回目もまたやりたいと考えています。

-編集長が特別に掲載を決めるなど、こだわってやっていることはありますか?

もちろん決め打ちはありますが、特に最近は、会議にかけたり個別に相談したりと、部員に意見を求めます。実は僕も先日まで、ある漫画家さんと連載企画を練っていたんです。その企画を練る中で、読者の視点を得るために、うちの編集部の大半を占める女性の意見を聞き、それが自分からはまず出ない発想だったので、結局女性の編集者に担当を交代して連載の実現を目指してもらうことになりました。長くこの編集部に在籍はしていますが、やっぱり男性ですから、女性の意見を大事にしたいというスタンスが、こだわりといえばこだわり、ですね。

-こだわりと言えば、岩間編集長のFacebookを見ていると、今日はこの先生のサイン会に行きます、とか外に出ている回数が多い印象があります。それもこだわりでしょうか。

本当はそれがメインでなく、もっと大事な仕事があるとは自覚していますけどね(笑)。僕の性格上、最終的に責任を取るのは自分なので、どこで何が起きているかを知らないと嫌だというか、まずいという気持ちがすごくあるんです。部員にとっては煩わしいかもしれないのですが、知っておきたい、興味があるというのが本音ですね。

 

どんなシチュエーションで読んでも楽しませてくれる、絶対的な魅力がある作品を目指してほしい

 

-新人獲得の話に戻りますが、担当編集者が付くときの決め手のようなものはありますか?

新人賞投稿作の場合、何かひとついいところがあると、最終選考には残すようにしています。物語が多少破たんしていてもキャラクターに魅力があるとか、エピソード作りや構成が上手いとか、絵が魅力的とか、何かひとつのハッタリでいいんです。さらに、その最終選考で、他の作品よりも見るべき何かがある作品には、担当が付く、ということになります。『ITAN』の場合は、上位10~15作くらいに担当がつきます。決め手は、前述の要素でいくと、ストーリー性よりも、やはりキャラクターと画力ですね。つまりは編集サイドではどうにもできない、作家性と言われる部分に、私たちは惹かれます。

-即日新人賞というのも、特徴的ですよね。

即日新人賞は、普段の僕たちの新人賞を凝縮したものだと思っています。その日のうちに投稿作をすべて読んで、講評をすべて貼り出して、選考会を実施して、結果発表をして、と目まぐるしいものではありますが、漫画家志望者の皆さんにも読者の皆さんにも見てもらいたいと思って始めました。新人賞ってこうやって決まるんだ、と。あとは、結果が出るまでの待ち時間の圧倒的短縮もしたかったので。

コミック誌って普通ご飯を食べながら読んだり、移動中にバーッと読んだりしますので、興味の湧かないものは後回しにするか飛ばしますよね。その中で、はた、と目が止まるということは、どんなシチュエーションで読んでも楽しませてくれる、絶対的な魅力があるということです。これに関するエピソードをひとつ。去年の夏に東京のコミティアさんで開催した「即日新人賞その5」。今の『ITAN』チーフの冨澤(絵美)が、120作品くらいの投稿作の中で、合格という意味の○を1作品にだけつけたんです。ふたを開けてみたら、その作品には他の審査員もみんな○をつけていて、結局その作品が『ITAN』の大賞を取りました。あの限られた時間の中で、審査員全員が認めた作品は、確かにスケール感あふれる素敵な作品でした。面白い作品は、どんな状況で読んでも面白い。この作家さんは、今度の6月から新連載を始めます。

-新人漫画家に、一言アドバイスをいただけますか?

まずは締め切りまでに作品をあげることを大事にしてほしいです。プロは締め切りを守れないと大変なことになりますが、投稿者には期限に間に合わないと、次の新人賞に回ればいい。ということで、ズルズル遅れることが多いです。これではプロでやっていけないし、その前に「作品を最後まで描き上げる」ということすら、ままならなくなり、時間が過ぎていくだけになっていしまいます。対策としては、担当編集者がついている場合は、講談社に毎週金曜日にネームなりプロットなりを持っていく、といったノルマを自分に課すのが良いと思います。担当編集者がついていないのであれば、2週間に1度電話をして持ち込みをする、とか。持ち込みのできない遠方の方は、郵送でもデータでもとにかく期限を決めて編集部に作品を送る、など。

そのうえで、新人さんはとにかく「量産」です。デビュー前、もしくはデビューしたてなのに「寡作」だと、起用する上での先の見通しが立ちません。そうなると、戦力外という判断を下されても仕方ないわけで。「量産」するために、自分の中の〆切遵守は必須になりますね。

 

もう一つ、最近は漫画で一攫千金を目指す人が減っていることが気になっています。欲がないと言うか・・・ただ、売れたら本当に儲かり、大きな影響力を手に入れる漫画の世界。そこで得たものが次の作品の糧になるはずです。それは編集サイドに原因があるかもとも思いますが、漫画でぜひ大きな夢を追いかけてほしいものです。一人の手により生まれたものが、世界を楽しませる、これは漫画でこそできることなので。

【編集長の部屋11】BE・LOVE/ITAN 岩間秀和編集長④「編集者は漫画家さんに“躍って”もらえるかが重要」へ続く

ITAN大人気作家・雲田はるこ先生、田中相先生と漫画について語りあえる「ITAN漫画塾」を開催!

第16回ITANスーパーキャラクターコミック大賞(2017年5月19日締切)に投稿いただいた方の中で、最終選考上位作品投稿者の方々のみに参加権を差し上げます。
プロの漫画家に、創作の極意が聞ける貴重なチャンスです!!
詳しくはこちら→http://itan.jp/newcomer/mangajuku.html

◆5月14日(日)の関西コミティア50内で開催する「即日新人賞その6」の事前投稿も受付中!
「モーニング・ツー」「ITAN」の両誌編集者が、応募作をその日のうちに一気に読み→選考会開催→選考結果発表→賞金を現金で贈呈→デビューまで決定(するかもしれない)、“オール即日”な新人賞です!当日投稿もOKですが、5月8日までの事前投稿で送っておけば、当日審査員全員からの講評が貼り出されます!
詳しくはこちら→https://mannavi.net/newcomer/2099/

インタビュー・ライティング:トキワ荘プロジェクト 菊池、福間、川原

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