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コラム
2022年10月27日

マンダンラジオ出張掲載版#13 漫画編集者との付き合い方

漫画編集者との付き合い方


■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ


漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2021年2月28日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!



INEDEX
●漫画編集者と何を話せば良いのかわからない
●漫画編集者に鍛えられた

- 漫画編集者と何を話せば良いのかわからない



安藤正基:
多くの漫画家が通ってきた道だと思うんですよ。基本的に漫画家はコミュニケーションが苦手な方が多いじゃないですか。特に新人漫画家時代は漫画編集者相手にすると緊張しちゃうと思うんです。

ちると:
まだまだ社会性も得意じゃない方が多い印象だね。

安藤正基:
今でこそ、漫画編集者さんと良い感じにやりとり出来ていると思うんですけど、ファーストコンタクト、本当に人生で初めて漫画編集者が担当になりますという時の思い出を語りたいと思うのですが、覚えています?

ちると:
覚えているよそれはもう!初の担当編集がついたのは高校3年生の17歳の時かな。少年ジャンプのストキンという漫画賞で5本ぐらい応募していて。ストーリー漫画やバトル漫画とか5本ぐらい投稿した中にあったギャグ漫画の時に担当編集がついた。その時、他に投稿されたネームの本数が4000本ぐらいだったらしいから誇らしかった。ただ、当時の担当編集さんはどちらかといえば無口な方で、自分もどっちが正しいのかわからなかったから、そこで苦労した思い出はある。

安藤正基:
相性はあるよね。最初、少年ジャンプ編集部から電話かかってきた時どんな感じだった?

ちると:
おめでとうございますと言われて嬉しい気持ちが湧いたなぁ。一番喜んだかもしれない。
安藤さんが担当編集ついたのはいつ?

安藤正基:
僕も17歳の時かな。少年ジャンプの手塚賞という漫画賞に投稿していて、最終候補に残りましたという電話をいただいたときは正直パニックになったよね。手塚賞の最終候補になると名だたる漫画家が読んでくださる訳ですよ。僕が出した時は、『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』の鳥山明先生、『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生、『NARUTO -ナルト-』の岸本斉史先生、『アイシールド21』『Dr.STONE』稲垣理一郎先生に少年ジャンプ編集長やジャンプSQ.編集長、手塚プロダクションの方々だった。

ちると:
じゃあ、少年ジャンプの講評欄に一言感想みたいなものが掲載されていた?

安藤正基:
書いてあった。岸本斉史先生だったかな。絵は少年誌っぽくて良いみたいな可もなく不可もなくみたいな(笑)。他の漫画家さんも聞いておけば良かったけど電話口で緊張しちゃって、聞きたかったなぁ。担当編集さんからは手塚賞で17歳は君ぐらいだった若かったよ、最終候補だったけど自信持ってやっていこうみたいな有り難い言葉をいただいた。これからは僕が担当として見ていくから、漫画原稿出来たらぜひ連絡してくださいみたいに言われた。電話切った後、リビングにいた母親に担当がついたことを報告したのも覚えている。これから漫画家人生始まるんだなと実感した。

ちると:
初めて漫画編集者の担当がつくのってめちゃくちゃ嬉しいよね。

安藤正基:
ただ、残念なことにその担当編集さんとは全くうまくいかなかったよね。あの方のこと出身大学ぐらいしか知らないかもしれない。やりとりも、ネームじゃなくて漫画原稿で。出来たら送って落ちてというのを繰り返した。ちるとさんはどう?

ちると:
結構目をかけてくれていたけどお互い無言で雑談したことはなかった。ネームの返事は早かったけど、企画としていけるかボツかのほぼ二択状態だった。担当編集さんが面白いと感じたものは会議に、面白くなかったものは特に理由わからずボツにという。ギャグ漫画だったから直感で判断されていたかな。6,7本ぐらい会議に提出したら無事にジャンプ増刊に掲載決まった。決まった作品は担当編集さんが確信的に、この作品は言われた通りに直せば載るからみたいな空気を珍しく出してきたのが印象深かった。作品が掲載された喜びよりも、その担当編集さんが言ったことが実現してビックリしたというのが大きかった。その後は部署異動で担当さんが代わったけど、自分の作品に惚れているという訳ではなかったというのもあって、正直うまくいかなかった。

安藤正基:
もう大抵の漫画家が逃れられない宿命だからね。自分も担当編集さんとうまくいかずだったから、大学で実施されていたジャンプSQ.の出張編集部にネームを2,3本持ち込みをしたらジャンプSQ.の漫画編集者さんから面白い是非原稿にしましょうという評価と担当付きたいと言われた。それを原稿にしたらその出張編集部の企画で優秀賞いただいてデビューが決まった。


- 漫画編集者に鍛えられた



ちると:
結局、少年ジャンプ自体ではうまくいかなかったけど、ネーム沢山出せたというのは担当編集さんに見込まれて鍛えられたかなと思う。

安藤正基:
集英社に凄く揉まれてきたけど、今思い返すと有り難いと思う。

ちると:
そんなに悪い気はしない。ネーム早いって言われるけど、絶対少年ジャンプの担当編集さんのおかげ。多分一番鍛えられるのは直しへの抵抗のなさかな。直されてしかるべきものという思考になる。一種の諦めじゃないけど。
正しい正しくないじゃないけど、漫画編集者さんはパートナーっぽくなるか、窓口っぽくなるか結構スタイルの違いが出てくると思う。

安藤正基:
勝手なイメージだけど、集英社の漫画編集者さんはあえてあまり漫画家と仲良くしようとはしていない雰囲気は感じる。

ちると:
いっぱい漫画家抱えている身として気をつけているのかな。

安藤正基:
1人の漫画家だけに時間割きすぎると不公平感が出ちゃうのはあるだろうけど、漫画編集者によるかな。ジャンプSQ.の担当編集さんは凄く頻繁に連絡いただけたし。まだネーム出来ていないのみたいな(笑)。でも催促してくれるのは気にかけていただいて有り難いこと。
他にも講談社の少年マガジンの担当編集さんは凄くフレンドリーな、世間話とかしてくれる方で、ネームもとにかく褒めてくれた。衝撃を受けたよね。担当編集さんって褒めてくれるんだ!と。勿論、他の担当編集も褒めてくれる時はあるけど、面白くない時は地べたを見るような目だった印象(笑)。講談社の少年マガジンの担当編集さんはネームが駄目な時も、どうなったら良くなるか一緒に考えましょうかみたいに親身になってくれた。
一迅社の漫画編集者さんからメール最初いただいた時も文章量がエグいぐらい熱量が高かったなぁ。
周りの漫画家さんの話を聞いても、出版社や編集部、漫画編集者ごとに漫画家との付き合い方スタイルは違う、相性はあるし大切なんだなと思った。


他にも、最近お世話になっている担当編集さんとのエピソードや雑談することの大切さ、新人漫画家時代の心構えなど語られているので是非御覧ください!



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■出演者


安藤正基 アイコン

MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊11巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載中。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。

八十亀ちゃんかんさつにっき 書影八十亀ちゃんかんさつにっき 書影ぶんぐりころころ 書影

ちると アイコン

MC漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。7月16日より『マジメサキュバス柊さん』を連載開始。

マジメサキュバス柊さん 書影白魔導師シロップさん 書影先輩!俺の声で癒されないでください! 書影