【MANZEMI 出張掲載No.5】ペンネーム、どうつける?~つけ方のパターンとは~
4回にわたりネーム作成にまつわるノウハウについて紹介してきましたが、今回のテーマはズバリ、「ペンネーム」。 投稿者やデビューを決めた人の「ペンネームは付けるべきか否か?」というお悩みについて、漫画家を数多く輩出している“MANZEMI”で講師を務める喜多野 土竜(きたの もぐら)先生に、ペンネームのつけ方について説明してもらいます。 これからペンネームを考えるという方、必見です。
■本名か、ペンネームか■
なんといっても、本名がペンネームのメリットは、昔の友人知人にすぐ解ってもらえる点でしょう。鹿児島県は税所(さいしょ)や綾織(あやおり)や元(はじめ)など、珍しい名字が多いですから、地元の人間にはすぐわかります。やはり、生まれてからずっと使ってきた本名には愛着もあります。
では、本名のデメリットは何でしょうか?やはり個人情報が特定されやすいという事でしょう。わずかな情報……例えばSNSにあげた写真や最寄り駅の名前などを手掛かりに、ファンに自宅を探し当てられてしまったり。原稿が入った宅配便がファンによって抜き取られてしまったなんてこともあったと聞きます。そういえば、病院の待合でペンネームと同じ本名を呼ばれて、恥ずかしい思いをするなんてことも。一方でペンネームには、意識的に公私を分けられるという効果があります。この作品を書いているのは、本名の●●とは別の人格のペンネーム○○だ……と思い込むことで、舞台の上の役者のように、別の人間を演じられるようになるのです。
■ペンネームのつけ方■
基本的にペンネームは好きにつけてよいですし、嫌になったら改名すればよいのです。しかしながら、つけ方にはいくつかパターンがありますのでご紹介します。
・本名をもじる
例えば、手塚治虫先生は昆虫が好きだったので本名の治に虫の字を加えて「おさむし」と当初は読ませていました。後に、治虫で「おさむ」と読ませるように変化していますが、平凡な名前のアクセントになっています。また、藤子不二雄先生のように、共同ペンネームで本名の藤本と安孫子を合成した例もありますし、みなもと太郎先生は源太郎という名前の読みを変えて、名字と名前にした例。石田衣良先生は、本名の名字の石平をもじった例となっています。
・読みやすさへの配慮
・他のモノにあやかる
・ペンネーム自体が洒落
また、なだいなだ先生は回文であり、同時にスペイン語のnada y nadaが「何もなくて、何もない」の意味だそうです。このように、あやかりや洒落が複合する作家も多いのです。ちなみに喜多野土竜も、前述の他にビートたけしさんの本名北野武と、読みが重なるので選んだ部分もあります。縁起をかついで「喜びが多い」の喜多にして、永久保貴一先生や斉藤むねお先生と字数を合わせて5文字に。ついでに『東海道中膝栗毛』の弥次喜多も掛けてあります。
このように、ペンネームのつけ方にはいろんな複合パターンもありますので、色々と考えてみるのもいいかもしれません。
さて、ここまでは、名づけパターンについて紹介してきました。全くのオリジナルペンネームを考える方法については改めて次回お伝えします。
素敵なペンネームも考えつつ、素敵なマンガをたくさん描いていただくことをMANZEMIでは応援しています。
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【MANZEMI 出張掲載No.1】意外と奥深い!ネームの基本について
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