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コラム
2022年8月27日

マンダンラジオ出張掲載版#12 キャラデザの極意・コツを学ぼう

キャラデザの極意・コツを学ぼう


■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ


漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2021年1月30日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!



INEDEX
●キャラデザは力を抜いて
●週刊少年ジャンプの読者もざわつく
●ヒロインの差別化


キャラデザは力を抜いて

安藤正基:
漫画のキャラクターって、我々漫画家にとっては作る苦しみがあるじゃないですか。

ちると:
キャラクターが漫画のはじまりみたいなところがあるからね。

安藤正基:
漫画はストーリーが注目浴びやすいですがキャラクターも重要で、それは人間性の面はもちろん見た目ビジュアルがまず読者さんに一番最初入ってくる情報なわけですよ。正直それで売上が変わってくるといっても過言ではないです。というわけで、キャラデザの師匠をお呼びしたいと思います。平方昌宏先生です!

平方昌宏:
どうも!こんにちはです。師匠は初耳だった(笑)

安藤正基:
平方さんの作られるキャラクター、デビィ・ザ・コルシファ(『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』の主人公)やキルコさん(『新米婦警キルコさん』の主人公)など見た目だけでも魅力的なんですよ。キャラデザって色々ゴチャゴチャ付けるのが良いのか悪いのかバランスが難しいですが、平方さんは洗練、少ないパーツでバシッと決まっているのがとても好きです!

ちると:
新作アニメ企画のキャラデザとか頼まれてもおかしくないぐらい魅力的だよね。

安藤正基:
ということで、今回は「キャラデザの極意を知ろう」というのがトークテーマになります。我々の共通点としてはキャラクターを作ってキャラクターに動いてもらうのが得意じゃないですか。そのあたり深掘りしていけたらなと思います。事前の打ち合わせでもキャラデザについて、ずっとお話が止まらなかったですよね。

平方昌宏:
誰よりも喋ってたよね。そこでも話したけど、キャラデザは意外と力抜いて作った方がいいよねみたいなのがあるよね。キャラ漫画描かれている方のお話聞くと同じところからスタートしていたりとか、あるある話がある。


週刊少年ジャンプの読者もざわつく

安藤正基:
やっぱり平方さんにはキャラクターのデザインで負けねぇみたいなこだわりはあるんでしょうか。

平方昌宏:
負けないというか、一発描きしやすいデザインの方がいいよというのは漫画家同士言われていたし、自分に対しても意識的に気をつけていましたね。僕の師匠の大石先生(『いぬまるだしっ』などの著者)に聞いた話が、例えばキャラクターの下敷きを作りますよってなった時、その下敷きが欲しくならないと駄目だと言われたことがありました。要はキャラクターとして持っていたい、一発でわかる、愛着が湧くキャラクターにしたほうがいいよと言われて、『新米婦警キルコさん』描いたあたりでその意味を理解しましたね。

安藤正基:
新米婦警キルコさん』が週刊少年ジャンプで始まった時は衝撃でしたね。

平方昌宏:
正直連載会議を通るとは思ってなかったですけどね(笑)

安藤正基:
当時、2012年ぐらいの時にあのグルグル目の眉毛がなくて、しかもポンコツでみたいな欲張りセットのヒロインが出てくるなんて驚きでした。

平方昌宏:
読者からも、そういった反応はありましたね。性癖詰め込みすぎとか寄せ鍋とか(笑)

ちると:
今だとレアじゃないかもしれないけど、当時は良い意味で浮いていて時代を先取りしていましたよね。

平方昌宏:
僕自身が驚きましたからね。いいのかな週刊少年ジャンプみたいな。

安藤正基:
週刊少年ジャンプの読者もざわついていたと記憶しています。お絵描き界隈もなんだなんだと注目していた印象です。

ちると:
女の子をウリにしている漫画って『めだかボックス(原作:西尾維新先生、作画:暁月あきら先生)』とか色々あったけど、属性がニッチというか。

平方昌宏:
いやいやわかります。あの時は時間なくて作ったので、変な意味いい加減に作ったんですよね。他の漫画家さんも意外とそういう感じで作るというか、そんなに力を入れて作ってない方がいいキャラクターが生まれることは多いと思いますね。

安藤正基:
僕も八十亀ちゃん(『八十亀ちゃんかんさつにっき』の主人公)は、普通は軽く他の紙に試し描きとか描いたりすると思いますが、そういった工程を飛ばして描きましたね。なんとなく描いてこれでいっかみたいな。直感みたいなところがあるよね。

ちると:
でも直感といっても、インプットがあるからこそかなと思います。平方さんが影響受けたキャラデザとかこの方凄いなみたいなものってありますか?

平方昌宏:
僕はね『新米婦警キルコさん』どこから考えられたんですかというのも聞かれるんだけど、その時は『るくるく(あさりよしとお先生)』の瑠玖羽というキャラクターがいるんですが、パーツが少ないのにキャラデザがビシッとしている感、シンプルなところがめちゃくちゃ良くて影響を受けましたね。後はポケモンもですね。大石先生もべた褒めされていて僕も意識しました。

安藤正基:
僕もゲームのキャラデザには凄い影響を受けていますね。マリオとかのカラーリングも原色バリバリな感じとか。特に任天堂のゲームって主人公が感情を持たない場合が多いじゃないですか。となった時に見た目で勝負になるから任天堂のゲームのキャラデザは極まっていますね。

平方昌宏:
スプラトゥーンとかのキャラデザもめちゃくちゃ好きというか凄いなと思う。感心してしまう。

安藤正基:
任天堂ってデザインが先というか機能が先みたいなところがあると思うんですよ。マリオの特徴で大きな鼻とか帽子とかありますけど、あれもファミコン時代マリオがどっち向いているかわかるようにという理由があったので、限定された状況だから生まれたものというのがあるんですかね。


ヒロインの差別化

安藤正基:
一番目のヒロインって自分の好きなデザインに描けるじゃないですか。2番目や3番目とかのサブヒロインはどこまで差別化されますか?隙間産業だと思うので、出せば出すほど自分好みじゃないデザインが出来上がってしまうと思うのですが...。読者のために諦めて好みじゃないデザインにするのか。ちなみに僕は出来るタイプではありますが、いかがでしょうか。

平方昌宏:
僕も出来るタイプかな。それはそれで楽しめる。ヒロインはどうしたって力抜けない動かし方考えたりするけど、結局はその物語に足すキャラなので、最初はヒロインの違うところを引っ張り出す役割があると思う。なので、比較的無責任に描きやすいところはありますね。ちるとさんは何かありますか?

ちると:
まぁ・・・胸の大きさは変えますね!

平方昌宏安藤正基:
(笑)

ちると:
でもそれはキャラクターの魅力を引き立たせるためにですが。他にも主人公とヒロインの髪の毛のトーン線数を考えたりしますね。このキャラクターは黒髪、このキャラクターは白髪みたいな。基本的にはキャラクターの対比として考えますね。


他にも、キャラクターデザインの話や『五等分の花嫁』などラブコメ作品の話なども語られていますので是非動画もご覧ください!



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■出演者


安藤正基 アイコン

MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊11巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載中。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。

八十亀ちゃんかんさつにっき 書影八十亀ちゃんかんさつにっき 書影ぶんぐりころころ 書影

ちると アイコン

MC漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。7月16日より『マジメサキュバス柊さん』を連載開始。

マジメサキュバス柊さん 書影白魔導師シロップさん 書影先輩!俺の声で癒されないでください! 書影

平方昌宏 アイコン
ゲスト漫画家:平方昌宏

集英社・週刊少年ジャンプにて寂れた島の警察署に元傭兵の音無キルコが配属されてくるドタバタコメディ「新米婦警キルコさん」(全3巻)を連載。その魅力的なキャラクターデザインに多くのファンを生んだ。現在は集英社・ジャンプ+にて悪魔が高校生と暇つぶしをするコメディ漫画「デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い」を連載中。その他の作品に「ベストブルー」(集英社・全3巻)、「街コロマッチ!+」(集英社・全2巻)など。

新米婦警キルコさんデビィ・ザ・コルシファは負けず嫌いデビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い