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コラム
2023年4月27日

マンダンラジオ出張掲載版#16 趣味だったキャンプをテーマに漫画制作


■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ


漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2021年5月29日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!





―元々趣味だったものを描いた

出端祐大:
ふたりソロキャンプ』というキャンプ漫画を連載しております出端と申します。よろしくお願いいたします!

ちると:
キャンプがテーマの漫画になりますが、これは元々趣味だったのか、描いてから趣味になったのか、いかがでしょうか。

出端祐大:
元々、趣味でしたね。親の影響で、小学生の頃から毎週のように一緒にキャンプに行ってました。ボーイスカウトにも入っていたり、家にカヌーの道具があったりとアウトドアなことを楽しむ家庭環境でした。

安藤正基:
小学生の頃からそういう体験をされているのは陽キャのオーラを感じます(笑)

出端祐大:
いえいえ基本的に僕は陰の人間です。ソロキャンプって外で引きこもっているようなものなので・・・。キャンプ場で人が寄ってくるのも少し怖いぐらいです(笑)

ちると:
ふたりソロキャンプ』を拝見すると説得力を感じますね。主人公の厳さんも少しコミュ障さを感じます(笑)

出端祐大:
コミュ力のなさは確かに自分のそういった側面が反映されていますね。

安藤正基:
そうなると、ヒロインの雫ちゃんというキャラクターの存在が気になります。読者目線役のキャラクターという意味もあると思うのですが、出端さんにはない思想のキャラクターになりますよね。どういう気持ちや立ち位置で描かれているのでしょうか?

出端祐大:
雫が生み出された要因は2つありまして、1つ目は仰る通り読者目線としてキャンプをやったことがない人やこれからキャンプを始めたい人に読んでもらいたいなと。2つ目は僕が単純にラブコメを描きたいというのがありました。

安藤正基:
ラブコメを描かれたいんですね!もっと硬派な拳を交えるような雰囲気が好きなのかなと勝手にイメージしていました。

出端祐大:
やっぱり、女の子を描いている時が楽しいですからね!





―キャンプ場の取材1回で1000枚ぐらいは撮影

安藤正基:
どうしても漫画家目線で作品を見てしまうのですが、『ふたりソロキャンプ』には背景や小道具を描くにあたり、取材されたり写真撮影しに行ったりされている印象があります。砂利が写っているコマなども丁寧に見栄えよく整えられているので、作画の時間など大丈夫なのかなと思ってしまいます。

出端祐大:
取材の時はめちゃくちゃ写真を撮りますね。キャンプ場の取材1回で1000枚ぐらいは撮影していると思います。

安藤正基:
僕も同じぐらい撮影するのですが、作画するときにこのアングルの写真がないことがあるので、絶対使わないだろうなという写真も保険で撮影することもありますね。僕の場合は基本的に街中が対象ではありますが、出端さんの場合はキャンプ場と大体遠くにある場所に取材されると思うので、もう1回撮りに行こうとは中々難しい距離ですよね。

出端祐大:
そうですね。だから余計に撮っておこうというのはあります。

安藤正基:
料理のシーンも出てくるので、連載を続けていく中で新たなレシピを考えないといけないと思うのですが、連載のスケジュール感とかどうなっているんでしょうか?イブニングだと月2回発刊(イブニング休刊に伴い、現在はモーニングに移籍)になるので、大変な印象があります。

出端祐大:
まず大筋こんな話を描きたいなと考えて、それからどういうキャンプ場が良いか調査して取材に行きます。最近は大体ルーティン化されているので、1つのキャンプ場で3話分は確実に使おうと考えています。毎月必ず取材に行ける訳ではなくタイミングもあるので、逆に3話分は使わないと時間的に厳しいですね。
料理のレシピは打ち合わせの時に、どういう料理を出していくか何度か詰めていくスタイルですね。スペイン料理縛りにしよう串料理にしよう、こういう素材を使う流れにしようなどは決めるのですが、ネーム作る時は決めかねていることもあります。ネームチェック後に実際にキャンプ場で作ることを想定したとき、ちゃんと作れるのか考えて練り直したりもします。なのでぶっちゃけ、担当編集さんは料理の完成品がどうなるか最後まで知らないんですよね(笑)

ちると:
そうなんですね!

出端祐大:
ふわふわしているので、ネーム時の調理工程のコマには「調理工程入ります」と書いてますね(笑)

ちると:
それだと僕はネーム通らない・・・。

安藤正基:
担当編集さんから出端さんに対して圧倒的な信頼があるんですね。





―自分の作品で人を動かしたというのはグッとくる

出端祐大:
特定ジャンルをテーマにした作品、趣味系漫画作品はやっていないと有識者にバレるんですよね。なので、趣味系漫画作品描かれたいという方はその時々に合わせて勉強していく姿勢が大事なのかなと思います。安藤さんも『八十亀ちゃんかんさつにっき』執筆時は大変なのかなと思います。

安藤正基:
僕は本当に名古屋に住んでいるだけなので・・・。『八十亀ちゃんかんさつにっき』に関してはドライな視点が逆に良かったのかなと思います。

出端祐大:
当然見せ方にもよると思いますが、ディス要素があると住んでいる方にとっては共感を得られる部分もあるのかなと感じます。

安藤正基:
ただバランスが難しいので『八十亀ちゃんかんさつにっき』連載開始してからは迂闊に描けないなと思います。めちゃくちゃ調べてから描きますね。

出端祐大:
わかります。『ふたりソロキャンプ』ではたまに法律の話が出てくるので、その点は特に間違っちゃいけない、ネーム描くときはいっぱい調べますね。漫画として描く時、少し説教臭くなることがあるのですが、青年誌だからこそ描きやすい表現かなと思います。自分がキャンプ好きだからこそ、啓蒙的な描写は必要かなと思うことがあります。僕自身が決めているものとして、キャンプ場のルールやマナーをちゃんと守っているなら、どんな形で楽しんでも良いのかなと。僕はキャンプ場で電子書籍を楽しんだり映画を見たりして楽しむ人間ですが、中には電子機器をキャンプに持ち込むのはちょっと嫌という方もおられると思うんですよ。ただ、ルールやマナーが守られてかつ周りに迷惑をかけていないなら楽しみ方は自由でいいのかなと考えています。そういう気持ちがあるので、主人公の厳には人のキャンプの楽しみ方を否定させないように意識はしています。

安藤正基:
めちゃくちゃ考えて描かれていますね。あらゆる方向に気を遣われて凄い・・・。

ちると:
じわっと聞き入ってしまいましたね。読者が汲み取ってくれたらより嬉しいと思うのですが、言われて嬉しかった感想とかありますか?

出端祐大:
やっぱり嬉しかったのは「『ふたりソロキャンプ』を読んでキャンプやってみました!」などでしょうか。キャンプ好きの読者さんに読んでもらうのも勿論嬉しいのですが、最近キャンプに行けていなかった読者さんやキャンプをやったことがない読者さんがやってみましたというのは嬉しいです。自分の作品で人を動かしたというのはグッとくるものがあります。



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■出演者


安藤正基 アイコン

MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊11巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。

八十亀ちゃんかんさつにっき 書影八十亀ちゃんかんさつにっき 書影ぶんぐりころころ 書影

ちると アイコン

MC漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。7月16日より『マジメサキュバス柊さん』を連載、完結。

マジメサキュバス柊さん 書影白魔導師シロップさん 書影先輩!俺の声で癒されないでください! 書影

出端祐大 アイコン

ゲスト漫画家:出端祐大
講談社・イブニングにてソロキャンプが趣味の34歳・厳がソロキャンプ初心者の女子大生・雫と出会いひょんなことから一緒にソロキャンプをすることになるアウトドア漫画「ふたりソロキャンプ」(既刊15巻)を連載中。本作は初連載ながら累計発行部数100万部を超えるヒット作。第一部は完結し、コミックDAYSにて番外編を掲載。第二部はモーニングに移籍し連載予定。