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ノウハウ
2020年11月24日

【ジャンプSQ.】若手作家が聞く『マンガの極意!』地獄のミサワ先生×左藤真大先生


人気漫画家に新人漫画家が突撃インタビューするジャンプSQ.人気企画「マンガの極意!」。 豊富な経験を培ってきた人気漫画家に対し新人漫画家ならではの視点や切り口によって、より漫画家目線に立った踏み込んだインタビュー内容となっております。今回は地獄のミサワ先生に対して左藤真大先生が取材しました。
※本記事はジャンプSQ.編集部のご協力により、公式サイトの『マンガの極意』から転載しております。

《1》ストーリーの極意「人の力を借りる」!
《2》ミサワ流キャラ&ネタの極意!
《3》発想の元は「カッコいい人」!
《4》ギャグの極意は「才能」…!?
《5》新人にお勧め!自分探し&雰囲気作り


《1》ストーリーの極意「人の力を借りる」!


左藤真大先生(以下、左藤):ミサワ先生には日頃からお世話になっておりますが、改めて宜しくお願いします。最初に、ミサワ先生が漫画家になったきっかけをお聞かせ下さい。

地獄のミサワ先生(以下、ミサワ):奥さん(小説家・松原真琴)に言われたのがきっかけです。元々、知り合いのツテでTV番組のイラストを描いていたのですが「お前の絵、ちょっとひどい。TVのクオリティじゃない」と言われて。特に色が薄くて、TVだと白っぽくて何が何だか分からなかったそうで…。それで、白黒で描ける漫画を勧められたんです。

左藤:では次に、ミサワ先生の漫画の作り方を教えて下さい。

ミサワ:うーん、描き方は特に決まっていない。毎回違うんですよね。話から決めることもあれば、オチだけ決まっていたりとか。スケジュールの方も、思いついたら描くという感じかなぁ。

左藤:『いいよね!米澤先生』(以下、『米澤先生』)と『カッコカワイイ宣言!』(以下、『カコカワ』)で、作り方が変わった部分はありますか?

ミサワ:特にないですけど、『米澤先生』は奥さんがストーリーの大部分を考えていますね。

左藤:そうだったんですか!?ちなみに大部分とはどれくらいですか?

ミサワ:大体全部です。「こういうキャラがいて、こういう台詞を言わせたい」…みたいに描きたいシーンを奥さんに発注すると、うまく繋いで一本の話にしてくれるんです。一回、全部作ってもらったこともあります。

左藤:ミサワ先生の作品は「金持ちは悩むの禁止!」とか、いつも台詞の使い方が独特ですよね。あれは普段からご自分の中にある言葉なのですか?

ミサワ:全然ないです。ただ米澤はそれを言うキャラなので。言わせたいというより「滅茶苦茶言ってんなー」みたいな感覚ですね。

左藤:では『カコカワ』はいかがですか?あちらはお一人で考えていらっしゃいましたよね。

ミサワ:『カコカワ』も基本的に描きたいシーンから考えていました。だから人に助けてもらうかどうかの違いくらい。『米澤先生』は担当さんから「ちゃんとキャラを育てた地続きの作品」という要望が最初にあって、それで描こうとしたら全くできなくて、そこで「人の力を借りる」という極意に気づいたんです。

左藤:確かにそれも「マンガの極意!」ですよね。実際に担当編集やアドバイザーがいたり、あるいは原作者と組んだりとか…。

ミサワ:全く同じですね。

左藤:では、毎回のネームの作り方について教えて下さい。

ミサワ:まず、メモ帳に脚本のような台詞を書いていきます。その際、原稿時のページごとに分けて書いているので、その段階でテンポやコマ割りも大体決まっていく感じです。

左藤:その脚本スタイルはデビュー当初からですか?

ミサワ:最初はコマ割りのネームから描いていましたが、とにかく面倒くさくて。

左藤:そしてネームの後ですが、原稿はデジタルで描かれていますよね。デジタルにした理由はありますか?

ミサワ:スクリーントーンがとにかく面倒くさかったから。線画は途中までアナログでしたが、時間短縮のためと奥さんに言われて、フルデジタルに切り替えました。最初の頃は「アナログの味というものがある!」とこだわって、まずブログで試してみたんですよ。線画がデジタルだと「絵が変わった!」と大騒ぎになると思ったら…誰も気づかない。担当さんですら。それはショックでしたね。


《2》ミサワ流キャラ&ネタの極意!


左藤:ミサワ先生が、あの独特の絵に至ったきっかけを教えて下さい。

ミサワ:あのキャラの絵は、井上雄彦先生の絵を模写して練習している内になっていったものです。

左藤:ええ~。本当ですか…?

ミサワ:はい。中学生くらいから25歳くらいまで、ひたすら井上先生のキャラを模写していましたね。

左藤:つまり、10年くらいずっと模写をし続けて至ったということですね!?…では各キャラにモデルはいますか?

ミサワ:友達とかTVに出ている人をモデルにすることが多いです。『米澤先生』のグーグルストーカー(井上部長)は、実在の友達がモデルです。彼は気になる女の子の家を聞けなくて、待ち合わせの場所とか終電の時間からアタリをつけて調べていたんですよ。二人でご飯とか行っているくせに、住所は恥ずかしくて聞けないとか言って。

左藤:そうして生まれたキャラは、話に応じて当てはめていく感じでしょうか?

ミサワ:『米澤先生』の場合、ただただ自分が好きなキャラを入れていく感じです。僕、嘘つきな人間が凄く好きなんですよ。例えば友人に、僕が過去に話した話題を、さも自分のことのように言ってくる人がいる。しかも色々盛ってきて、自分が話したものより面白かったりして。「こいつ、どういうつもりでこんなに嘘ついてるんだろう」と考えると楽しくて。そんなキャラを出していったのが今の作品です。

左藤:そんなキャラを魅力的に見せるには、何か工夫はされていますか?例えば嘘つきなだけだと、読者に嫌われてしまいますよね。

ミサワ:そうなんですかねー。でも俺は好きですからねー。

左藤:ミサワ先生はネタ探しのために、特別意識してやっていることはありますか?

ミサワ:敢えて言うなら、興味のないものも見るようにしていることかな?実家で親が観ているTVを一緒に眺めるとか。漫画のネタにはならないかも知れないけれど、当時、「ああ、韓流ドラマって本当に流行ってるんだなー」と実感したりして。あとは人の話を聞くことが好きですね。左藤さんともSkypeでよく話していますよね?

左藤:そうですね。この前はTVで見た漫画の評論番組について、僕の「あの出演者、何様なんだよ!」みたいな話を聞いてもらったりして。

ミサワ:僕は人の、そういった話を聞くのが好きなんですよ。よく友人に連絡しては「最近ムカついた話」を聞いたりするんです。

左藤:ミサワ先生って、時々「最近どうですか?」みたいに連絡下さいますが、あれはムカついた話を仕入れるためだったんですね(笑)。

ミサワ:ムカついた話って、どんな人でも熱が入って面白いんですよ。それに、わざわざムカついたフリをする人もいないですよね。だからその手の話は嘘がないというか、その人のことがよく分かるんですよ。

左藤:ではそういった話を集めて、自分の漫画に活かしたりとか…?

ミサワ:全然活きた感じがしないです。もしかしたら単純に趣味なのかも。

左藤:ミサワ先生が日常で、創作意欲が沸く瞬間はありますか?

ミサワ:原稿で忙しい時です。忙しいと他のことがやりたくなるんですよ。

左藤:それで早く今の原稿を終わらせよう、と…?

ミサワ:いや、思うだけです。

左藤:ではネタに詰まった時はどうされていますか?

ミサワ:結局、思いつくまでどうにもならないですね。

左藤:でもミサワ先生は原稿を落としたことはないですよね。

ミサワ:ええ。自分では落としたら終わりだと思っています。一度落としたら、多分描かなくなっちゃうのでは…。


《3》発想の元は「カッコいい人」!


左藤:ミサワ先生はご自身の作品で、特に気に入っているものはありますか?

ミサワ:描いたばっかりの作品は恥ずかしいので読み返さないのですが、古いものを読むと「面白いなぁ」となります。なので全部面白いです。

左藤:ブログは毎日描かれていますが、その都度ネタを探すのですか?

ミサワ:少なくとも、そのためにTVを見たり本を読んだりはしないかも。強いて言うならキムタク(木村拓哉)のエッセイ(『開放区』等)ですね。自分の中には「キムタクがこの世で一番カッコいい」という感覚があって、それを基準にネタを考えている部分があるのかも。

左藤:なるほど。自分の中に基準を持つとネタが生まれやすいのですね。

ミサワ:そうですね…いや、どうだろう。あと手塚・赤塚賞の華やかなパーティーで、尾田栄一郎先生がサンダルで出席されていたのを見て、その飾らなさがすごくカッコよく映ったんです。だから僕もこの前の新年会、クロックスで行きました。

左藤:つまりミサワ先生の場合、映画や本などの「作品」ではなく、人のスタンスや言動に刺激を受けるのですね。

ミサワ:そうですね。どちらかと言えば。

左藤:では漫画の参考に限らず、趣味はありますか?

ミサワ:インターネットですかね。よくもめ事とかを追いかけてます。

左藤:普段から人の言動に面白さを探しているんですね。

ミサワ:そうですね…いや、どうだろう。ただ、見方次第でこの世には面白いものがたくさんあると思うんですよ。それは良い悪いじゃなくて。

左藤:何かを馬鹿にするのではなく、ポジティブに面白さを探すような感じですか?

ミサワ:そうですね。それに「馬鹿にする」という見方も、僕は必ずしも悪いとは感じないんですよ。というのは、人と人の仲が良い時って、お互いに尊敬する部分と馬鹿にする部分が共存している時だと思うんです。尊敬ばかりだと親しくなれない。それに人間には必ず駄目な部分があり、そこを「コイツ馬鹿だなぁ~」と感じてこそ、相手をきちんと見られているのだと思うんです。


《4》ギャグの極意は「才能」…!?


左藤:ミサワ先生は以前「ネタに詰まったら終わり」みたいなことを仰っていましたよね。

ミサワ:あれは適当に言った嘘ですけど、ただ「漫画は結局のところ才能!」だと感じているのかも知れません。これまでの他の作家さんの「マンガの極意!」を読んでもそう思いました。

左藤:では漫画家として成功されているミサワ先生も、やはりどこかでご自身の才能を感じたりしたのでしょうか?

ミサワ:中学の頃から、面白い動きのダンスをすると大体ウケるので、そういう時に感じます。

左藤:ではミサワ先生から見て才能のある新人はどんな作家ですか?

ミサワ:やはり左藤さんが断トツですね。

左藤:いやいや、僕の漫画読んでいないじゃないですか(笑)。ミサワ先生は普段、ギャグ漫画はあまり読まれないのですか?

ミサワ:ほとんど読まないです。影響されるのが嫌なので。だから漫画賞の審査員も受けないようにしているんです。それにこのインタビューもそうだけど、人にどうこう言える立場ではないので。

左藤:でも「赤塚賞の審査委員長だったらやりたい」と担当さんに言っていたそうですが(笑)。

ミサワ:そこまでいくと逆にアリかと。単純に自分みたいな立場の者が審査委員長だったら怒られそうなので。怒られたくて。

左藤:では、ギャグ作家に向いている人はどんな人だと思いますか?

ミサワ:そうですねぇ…そういえば、ある著名な脚本家がインタビューで「俳優が向いている人はどんな人か?」と聞かれて「実家が金持ち」と答えていたんです。見た目とか表現力とかじゃなくて、生活の心配をせずに続けられることの方に重点を置いていたんです。その返しって意表を突いて凄くいいじゃないですか?僕、そういうのを今、言いたいです。


《5》新人にお勧め!自分探し&雰囲気作り


左藤:もし今現在ミサワ先生が新人だったら、どんな方法で漫画家を目指しますか?

ミサワ:分かんないです。

左藤:では、漫画家志望が新人の頃にやっておくべきことはありますか?

ミサワ:担当のことを知ることとか?例えば僕の担当さんは、前回の打ち合わせの指示をあまり覚えていなく、その時その時に面白いものを評価してくれる。つまり、言われたことは全部無視しても大丈夫。これって実は、最初に知っておくと凄い動きやすくなる。もちろん逆に「何で言ったところを直してないの?」と怒る人もいるらしいので、相手ごとに見極める必要があるけれど。技術的なものは…それはもう頑張るしかないです。

左藤:他に新人へのお勧めの極意はありますか?

ミサワ:自分探しはしておいた方がいいかも。

左藤:「自分探し」?

ミサワ:自分は何ができる人間なのか知っておくことです。僕は漫画を描くと決めた時、既にできることが決まっていたんですよ。だって「この絵で描ける漫画」となったら、自然とギャグに行きますよね。さらに幼年・少年誌よりも、絵柄を味として受け入れてくれる青年誌の方が見込みが高い、とか。

左藤:自分の武器や、できる方法論を考えるということなんですね。

ミサワ:結局、自分が好きなものしか描けないと思うんですよ。例えば女の子が好むようなカッコいい少年漫画って、作家自身が男同士の友情をカッコいいと思っていないと描けない。僕にはその感覚がないので、真似しても「こうじゃない」となる。そして漫画業界は読者も熱量を持って集まるので、付け焼刃だとバレるんですよね。

左藤:なるほど。新人に必要なのは、才能と自分探し。なかなか難しいと思うのですが、ミサワ先生はスランプを感じたことはありますか?

ミサワ:いやぁ…描き始めてからずっとです。でも新人時代、ネームができた時は担当さんに「超面白い漫画ができました!」と連絡していました。最初は編集者をビビらせたいんですよ。

左藤:「この作家、凄いヤツだ!」みたいに?

ミサワ:漫画家は雰囲気作りも大事だと思うんですよ。例えばよく分からない作品を描いたとしても、担当さんが「自分が分からないだけで、もしかしたら面白いのかも?」と飲まれてしまうような。だからネームを送る時も送り状の最初に「最高傑作!」と書くんです。

ミサワ:すいません。やっぱ今のネームの下り、全然大事じゃないです。当時ふざけてやっていただけでした。

左藤:でも、そうやって漫画以外でも自分の雰囲気を作るんですね。才能、自分探し、雰囲気作り…。他にミサワ先生流の極意はありますか?

ミサワ:ないです。

左藤:…ではそろそろお時間も迫っているので、ミサワ先生の今後の目標を教えて下さい。

ミサワ:今は『米澤先生』のアニメ化です。描いていて、このセリフって実際に口にして喋るとどうなるのかなー、といつも気になっているので。

左藤:それでは最後に、新人作家にアドバイスをお願いします。

ミサワ:結局は極意とか関係なしに、自分で頑張って描くことに尽きると思います。頑張って下さい!

左藤:最後の最後で全部ひっくり返すアドバイス(笑)。ありがとうございました!


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■プロフィール


●ゲスト 地獄のミサワ先生
ジャンプSQにて『カッコカワイイ宣言!』『いいよね!米澤先生』を連載。
●取材&マンガ 左藤真大先生
『誰しもみんな秘めている』『home & away』で大好評の俊英!


■リンク先


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●ジャンプSQ.編集部公式Twitter

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