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コラム
2022年12月15日

マンダンラジオ出張掲載版#14 漫画のネタを温める意味




■マンダンラジオ 漫画家2人が漫画について語るラジオ


漫画家として活躍されている安藤正基先生が中心となって、漫画に関するアレコレをテーマに様々なゲストを招いて、ゆるく楽しく語り合うラジオ企画!毎月下旬頃にYouTubeにて配信中!
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※2021年2月28日にYouTubeにて配信された内容を許諾を得て一部記事化内容を再構成しております。是非、本編アーカイブもご覧ください!

安藤正基:
僕が連載していた『ぶんぐりころころ』は絶望の2巻で終了、打ち切りになったことがありまして。上のコマは単行本のあとがきに描いたものになりますが、「出したい文房具ややりたい話はまだまだあったのですが・・・お話はここで一旦区切らせて頂きたいと思います」と見苦しいこと描いたことがありました。こんな感じでネタを温める意味、提供できる場がなくなる可能性も漫画家にはついて回ると思います。

ちると:
まぁあるよね。

安藤正基:
ちるとさんも『先輩!俺の声で癒されないでください!』の連載終わっちゃいましたが、やりたかった展開や出したかったキャラクターはいなかったんでしょうか。

ちると:
めちゃくちゃあるよね。原稿にしていないネームが悲しいぐらい余っている状態。温めるってなんだろうね。

安藤正基:
僕がスランプに陥っていた時、当時の担当編集に言われたことがあるんだけど「温めるなんてもったいない。温めてて他の人に取られたらどうするの?」って。確かにそうだなと思った。大枠のネタ、作品の根幹に関わるネタを後生大事に温めて身が固まった時にやろうみたいな感覚でいると誰かに取られるかもしれないという恐怖が出てきた。そのネタを温めている間に失敗することもあるので、温めずやったほうが良いと思うんだよね。僕は温度感は下がっちゃうタイプなので熱量が高いうちに絶対やったほうがいいと思っている。ちるとさんどうです?

ちると:
僕も温めない方がいいと思っている。なぜかというと、最終防衛ラインが作られたという安心感がよくないと思う。良いアイデアがあるからそれを出さなければ自分の中に何か残っている状態が保てる。でも漫画家は安全な状態にしない方が面白い漫画が描ける側面はあると思う。むしろゼロになってから勝負かなと。

安藤正基:
そこから絞って何が出てくるのか。

ちると:
勿論違うと言われると思うけど、俺はそう思っている。非常食としてとっているアイデアは存在している時点で...。尖った言い方かもしれないけど、安心した状態でのネタ出しは温いと思っちゃう。言いすぎかな(笑)

安藤正基:
わかるよ(笑)

ちると:
あの手この手全部通じなくて、今俺が成功したいけど通れない壁というのが成長ポイントだと思う。そこで得られたアイデアとかって絶対何かあるはず。

安藤正基:
本気出せばいつだって出来るという人ほど沼にハマると思う。

ちると:
温めているネタがあるときに思いつくネタって、温めているネタより面白くないと思っているのよ。その2番手の漫画を出し続けようという姿勢がよくない、その時に一番おもしろいと思っている漫画を出さないと意味がない。尖っているとは思うけどね。勿論、器用な人は温めて実力つけてヒット飛ばす漫画家もいるけど、その時の全力を出したいなと。

安藤正基:
響いたなぁ。僕も最近は連載でも心掛けるようにしているけど、面白いネタ思いついたらいつかやろうじゃなくて来月やろうという思考にしている。

ちると:
感覚の問題だけど、今一番面白いものを描いているというのが結構大事に感じる。


他にもスランプだった時の話や漫画の専門学校に行くべきか、どういうメリット・デメリットがあるからなども語られていますので是非ご覧ください!



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■出演者


安藤正基 アイコン

MC漫画家:安藤正基
一迅社の月刊ComicREXにて「八十亀ちゃんかんさつにっき」(既刊11巻)という名古屋を舞台にした漫画を連載。2019年~2021年にわたりTVアニメ3期放映。過去にはメーカー公認文房具コメディ漫画「ぶんぐりころころ」(全2巻)をマンガボックスにて連載。

八十亀ちゃんかんさつにっき 書影八十亀ちゃんかんさつにっき 書影ぶんぐりころころ 書影

ちると アイコン

MC漫画家:ちると
KADOKAWAにて成人男性が女子小学生に甘える漫画「とっても優しいあまえちゃん!」(全4巻)やニコニコ静画にて「白魔導師シロップさん」(全2巻)、少年ジャンプ+にて「先輩!俺の声で癒されないでください!」(全2巻)を連載。7月16日より『マジメサキュバス柊さん』を連載、完結。

マジメサキュバス柊さん 書影白魔導師シロップさん 書影先輩!俺の声で癒されないでください! 書影